初めての業務システム。業者の選び方から見積もり方法まで導入を成功に導くポイントとは
業務システムを導入すれば、大幅な業務効率化が可能です。しかし、業務システムの導入について不明点が多々ある担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、システム開発業者の選び方や業務システム導入の際の注意点について解説します。
システム開発業者はどうやって選ぶ?
システム開発業者はどのように選んだらよいのでしょうか。まずは、その辺りについて見ていきましょう。
開発するシステムの種類に応じて
一つ目に挙げられるのは、開発するシステムの種類に応じて適切な業者を選ぶ、という点です。システム開発業者にはそれぞれ得意分野があるため、それに沿った選定ができればまず間違いありません。
その際に大事になるのは、各業者の過去の開発実績です。自社で開発したいシステムに似たものを過去に開発している場合、その業者は比較的その分野に明るいことが期待できます。
価格に応じて
二番目は、価格を元にして選ぶという点です。システム開発の価格が安ければ安いほど導入がしやすく、また成果に対するコストパフォーマンスも上げやすいため、見積もりをとって一番安い業者に決める企業も多いのではないでしょうか。
ただ気をつけたいのは、あまりに安すぎる場合はどこかしらに負担を抱える可能性もあるという点です。システム開発にかかる費用は主に人件費ですが、人件費を削減した結果未熟なエンジニアが多く開発に携わったり、工数そのものが削減される恐れもあるでしょう。
システムは安定稼働して初めて意味をなすものなので、あまりに安すぎる場合は避けた方が無難かもしれません。
コミュニケーションや雰囲気など、協業性を重視する
相手企業のコミュニケーションや雰囲気などから、協業しやすそうかどうかで判断する手もあります。この辺りは目に見えないため何を基準にして判断するのかが難しいところなので、まずは自社がどのような業者を求めるのかを明確にしておく必要があります。
たとえば
- 業務構造が特殊なため、ヒアリングに時間をかけてくれるところ
- 打ち合わせにかけられる時間が少ないため、要望を一度で理解してくれるコミュニケーション能力を有しているところ
などが挙げられるでしょう。
業務システムを導入する際の注意点
では、次に業務システムを導入する際の注意点について解説します。最適な業務システム導入のために、下記のような点に気をつけましょう。
しっかりと業務を洗い出しておく
業務システムは、一般的に「既存の業務をシステムによって簡略化し業務効率化を図るもの」です。そのため、最適な活用をするためには自社で行っている業務を洗い出し、どの部分をシステムに依存するのか、またどの部分をさせないのかといった点を明確にしておく必要があります。
その辺りが曖昧だと、せっかく導入してもあまり効果が上がらなかったなどの不具合が発生するかもしれません。業務効率化のために導入したシステムが業務効率を向上させてくれないのであれば、いっそのこと導入しない方がましという話にもなってしまうため、まずはしっかりと社内の業務を洗い出しておきましょう。
期間や予算をオーバーしないようしっかりとした見積もりを
次に挙げられるのは、適正な見積もりを取り、適切な業者に発注するという点です。業務システム導入プロジェクトには期間や予算が設けられているのが通常なため、それをオーバーしないようにしなければなりません。
同じようなシステムを作る場合でも、業者によって期間や価格は大きく異なります。自社が求める期間・予算内に納めてくれる業者を選ぶのは当然ですが、その中で更に高いパフォーマンスが見込める業者を選定するのがよいでしょう。
もちろん、前述の通りあまりに安すぎる見積もりは避けた方が無難かもしれません。その辺りのバランスもしっかりと見極める必要があります。
開発業者との意思疎通を密にしておく
もう一つ注意したいのは、開発業者との意思疎通をなるべく密にしておくという点です。要件の定義が終わればあとは開発業者に任せっきりになるケースもありますが、開発に入った後も、可能であれば担当者とコミュニケーションを取っておくことをおすすめします。
開発業者はシステム開発のプロではありますが、自社が携わっている業務のプロではありません。そのため、開発時に何かしらの疑問が発生する場合もあるかもしれず、それを現場のみで判断されてしまうと、後々「こうしてほしかったのに」という軋轢が生まれる恐れもあります。
それを防ぐためにも、なるべく疑問点を尋ねやすいような関係を築いておくことをおすすめします。もちろん、それとなく開発の進捗を尋ねることもできるでしょう。
業務システム導入を成功に導くポイント
それでは、最後に業務システム導入を成功に導くポイントについて見ていきましょう。業務システムをスムーズに導入するには、下記のような点に気を払うことが大事です。
過不足のないニーズに応じた選択をする
業務システムを導入する際は、過不足なくニーズに応じて正しい選択をしましょう。求めている機能に対して少なすぎるのはもちろん問題ですが、多すぎても効率化を阻害してしまいます。
機能が多いとできることも多くなるわけですが、その分使い勝手が悪くなる傾向があります。使い勝手が悪いシステムは現場に敬遠され、最悪使われずにそのまま放置される恐れもあるのではないでしょうか。
「必要な機能を必要なだけ」というシンプルな姿勢が重要です。
長期的な視点で検討する
システム導入の際は、なるべく長期的な視点で検討しましょう。基幹システムの寿命はおよそ14年程度と言われているため、短期的な視点で導入を決めてしまうと後々コストパフォーマンスが悪くなってしまう可能性があります。
システムは長く使い続けられればられるほど費用対効果が上昇し、「投資して正解だった」という結論になりやすいものです。もちろん、システムの寿命が切れてまで使い続ける必要はありませんが、必要十分な機能をなるべく長く使うことは意識すべきポイントです。
そのためには、自社が携わっている業務の未来予想図を描き、それを元にシステムの設計や導入を行う必要があります。口で言うほど簡単なことではありませんが、経営判断においても未来予想は必須事項となるため、その延長線上で考えればよいでしょう。
現時点で分からないことが多い場合は、システムの設計に拡張性を持たせておくという手もあります。
予め導入のシミュレーションを行う
最後に挙げられるのは、予め導入のシミュレーションを行うという点です。いきなり現場にシステムを導入し「さぁ使って下さい」と号令をかけてしまうと混乱を招き、最悪システムが放置されて従来のワークフローのままという恐れもあるでしょう。
予め導入のシミュレーションを行い、実地体験だけでなくシステムを導入する理由やメリットを啓蒙しておくことが重要です。システムを使いこなすことができれば現場の負担も軽くなるため、従事者にとってもシステムの導入はメリットが大きいはずです。
自分達に利点のある行為を無碍に扱う人はまずいないため、しっかりとした啓蒙やシミュレーションを行い、必要性を理解してもらいましょう。
まとめ
業務システム開発の際は、自社のニーズをしっかりと汲み取ってくれ、かつ納期や価格を予定内に見積もってくれる業者を探す必要があります。簡単には見つからないかもしれませんが、長い付き合いになる可能性も高いため、妥協せず納得のいく業者を探しましょう。