基幹業務におけるシステム管理の目的と重要性

システム開発

システム開発というと、最近はWEBをベースにしたECサイトや顧客獲得を目指したシステムに目が向くことが増えています。

また、社内の情報共有やナレッジの構築、全社でのスケジュール管理など、経営者と従業員の関係性や従業員同士のコミュニケーションを助けるシステムの導入に興味を持たれることも増えています。

しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。それは企業におけるシステム開発でもっとも重要なのは「基幹業務」であり、基幹業務をベストな状態で維持するように管理することが、企業が安心して活動できる源となるのです。

今回は基幹業務におけるシステム管理の目的と重要性について紹介していきます。

基幹業務のシステム管理とは

企業の内部向けシステムには、大きく分けて2つあります。ひとつは経営や業務をスムーズに行うためのシステム。もうひとつは、先ほど少し触れた経営や業務に直接関係していないシステムです。

まずはこの2つの違いを復習しておきましょう。

基幹業務と情報系業務の違い

経営や業務をスムーズに行うためのシステムを「基幹業務系システム」と呼びます。経営や業務に直接関係していないシステムを「情報系システム」と呼びます。

基幹業務系システムの特徴

全社に関係する業務システムや経営統合システムです。

  • ERP
  • 生産管理
  • 販売管理
  • 給与システム
  • 会計システム

など、停止すると取引上も含めて大変困った状態になります。

基幹業務系システムが停止すると、業務の効率化も止まります。手間の多い仕事を手作業で行うことにもなりかねません。経営者も簡単に利益や週単位の業績をチェックすることができません。

情報系システムの特徴

中小企業なら全社、大手の場合は部署単位で使われることが多いシステムです。

  • グループウェア
  • 営業支援システム
  • Slackなどの社内SNS

社内のコミュニケーションや情報共有がメインとなっているシステムですので、万が一停止したとしても基幹業務系ほどのダメージはありません。2つのシステムを見比べるとわかりますが、企業活動になくてはならない、1分足りとも止まることが許されないのは基幹業務系システムです。

システム管理の種類を整理しよう

基幹業務系システム管理には種類があります。どれも企業活動にとって止まっては困るものばかりです。

経営に関する資源管理

・販売管理システム
商品やサービスの販売を記録するシステムです。このシステムは企業活動でもっとも大切な売上の管理を担っています。また商品やサービスの受注、請求、入金までも統括して管理していますので、止まってしまうと請求処理すらできなくなります。

・仕入管理システム
過剰な仕入れは企業へダメージを与えます。そんなことにならないために、仕入管理システムによって適切な仕入れを行うことが大切です。このシステムが止まってしまうと、市場状況がわからなくなり、適切な仕入れ発注ができなくなります。その結果、過剰在庫または在庫不足が生まれ、売上や利益に影響が出てきます。

・在庫管理システム
製造業の方にとって在庫の管理は最重要課題です。余剰在庫が続くとお金をまわすことも難しくなります。

・生産管理システム
納期までに商品を作り納品する。そのためには各工程がスケジュール通りに進んでいるのかを把握する必要が出てきます。また各工程で必要な人件費や原価などが曖昧だと、いくら売っても利益が出ないということにもなりかねません。このシステムが停止すると、生産の流れが適切ではなくなるため、無駄の多い生産を続けることになるでしょう。

・給与管理システム
人材確保のためには、給与が適切に継続して支払われないといけません。でも給与管理システムが止まると、全従業員分の給与処理を手作業で行うことをイメージしてください。果たして10日間で支払いまでできるでしょうか。

・会計管理システム
経営に役立つ情報提供として会計管理システムが存在しています。財務状況を正しく知ることで、企業の健康状態がわかります。

技術的な資産資源管理

・ネットワークの管理
今や会社のシステム管理がネットワークにつながっていないということはありません。そのため、常にネットワークで起こりえるトラブルを察知し対応することが必要となります。

セキュリティや性能の管理。場合によってはハードウェアなどの設備も管理することが必要となります。

・システム全体の管理
先ほどお伝えしたような業務管理システムが、いつもスムーズに動くため、万が一の時にも短時間で復旧できるようにするための管理があります。

・業務運用の管理
夜間に動いている処理、月に一度だけ動く処理を管理しています。こういった処理は、リアルタイム性は求められていないのですが、企業経営に影響する情報を扱うことが多いため、止まることが許されません。

システム管理が実施するタスクとは

主に次のようなタスクがあります。

業務管理システムの運用管理

販売管理や会計管理など、経営に直接つながるシステムが毎日スムーズに動いているかチェックします。

不正なアクセスのチェック

ネットワークにつながっているということは、外部からや内部で権限のない人の不正アクセスを監視することもタスクの一つです。

バックアップ

経営に関係のある大切な情報は、定期的にバックアップすることが重要です。決められたスケジュールで正しくバックアップ出来ているか管理します。

資産の管理

この場合の資産とは、ソフトウェアのライセンス数や使用できる有効期限などです。

企業がシステム管理を重要視する目的とは

企業がシステム管理を重要視する目的とは

ここまでお読みなったのなら、どうして企業がシステム管理を重要視するのか、その目的もわかっていただけたのではないでしょうか。ここで重要視される目的についてまとめておきます。

企業システムの効率化

企業活動とは利益を生み出すことです。利益を生み出すためには売上も大切ですが、日頃からの作業や工程の効率化が必要です。

  • 増え続ける情報
  • 速いサイクルで登場する機器
  • 業務プロセスの整備と最適化

目立つことではありませんが、なくてはならない目的です。

顧客サービスの向上

効率化の次は顧客サービスの向上です。今や顧客情報をノートや台帳だけで管理し使っているところは、ほとんどないに等しいです。多くの企業ではシステムに取り込み使っていますから、企業としては売上を最大化するための材料として、顧客情報のシステム管理を重要視する必要が出てきます。

企業の健全な活動継続のため

健全な企業活動を継続するという目的があります。会計情報や人事や給与情報を適切にシステム管理することで、いつまでも企業が安心安定したまま社会へ貢献することができます。
ERP(経営統合システム)などを導入し、経営の判断へ活用するためには、日頃からのシステム管理が大事なのです。

安定したシステム管理を継続する方法

安定したシステム管理を継続する方法

いつまでも安定したシステム管理を継続することは、企業の健康を守ることにもなります。ここでは、どのようなポイントに注意して、システム管理を継続するのか。方法について紹介していきます。

リスクと投資のバランス

基幹業務には、企業の信頼や活動における重要な情報が存在しています。企業のコンプライアンスとしても、もっとも慎重に扱わなければなりません。いくら業務管理システムが止まることなく動いていたとしても、外部や内部から情報漏洩していては、企業の信頼が落ちていくばかりです。
このような問題を引き起こさないよう、リスクと投資のバランスに注意しておきましょう。

事業スピードへの対応

企業活動に影響を与える市場の動向。従来とは比べものにならない速度で変化しています。この変化に企業のシステム管理も対応していく必要があります。そのためには投資が必要となります。事業スピードへの対応と安定した稼働というバランスにも注意してください。

クラウド化を視野に入れた災害時の準備も必要

最近では自社内にサーバーや高価なルーターと呼ばれる機器を持たないという方法もあります。
AWSなどのクラウドサービスを利用することで、

  • リスク
  • 変化への対応
  • 24時間365日の安定稼働

負担の大きい3つを外部へ依頼することができます。プランによってはバックアップ対応や機器の自動拡張なども行ってくれます。また、クラウド化することで、万一災害が起こった場合でも、基幹業務システムは外部にありますので、ゼロから復旧する必要がありません。

AWSなどは分散して情報を保存しているため、大規模災害が起こった場合でもスムーズに事業活動をスタートさせることができます。

まとめ

企業活動で忘れてはいけないのが基幹業務システムです。このシステムと情報がなくなると、明日から事業を行うことができません。キャッシュも回らなくなりますし、事業計画や経営判断をするための情報もありません。

今回紹介させていただいた内容で、今後の動きとして検討していただきたいことは、クラウド化という部分です。

通信環境も整備され、今後は5Gという通信速度も登場します。そのような状況で大切な情報をすべて社内で保持し、セキュリティや機器のアップデート、事業スピードに対応する機能拡張などの費用面や人材面の負担を背負うよりも、クラウド化されたシステムを利用する方が効率的かもしれないのです。

基幹業務システム管理の目的と重要性を理解されているからこそ、リスク・安定稼働・投資、3つのバランスを見極めてクラウド化を検討されてみてはいかがでしょうか。