業務の可視化と業務効率の関係とは?可視化するまでの3つのステップ

業務効率化

業務を可視化することで、業務効率がアップすると言われています。しかし、「業務を可視化するとはどういうことか?」「そのための方法は?」という点にお悩みの人も多いかもしれません。

この記事では、業務を可視化する必要性やメリット、そしてそのための方法を実際の事例を交えてご紹介します。可視化についてしっかりと学び、業務効率のアップを目指しましょう。

業務を可視化する必要性やメリット

業務を可視化する必要性やメリット

業務の可視化をすると、一体どんなメリットがあるのでしょうか。昨今、頻繁に謳われている「可視化」ですが、改めてその必要性を見ていきましょう。

可視化されてない業務は属人性が高い

可視化されていない業務は、自ずと属人性が高くなります。「属人性が高い」というのは、特定の人に情報やスキルが集約され、当人がいないと仕事が回らない状態になっているということです。

すなわち、仕事の属人性が高くなるにつれ、業務効率が担当者に依存することになってしまうでしょう。それでは安定的なアウトプットを見込むのは難しく、業務の質や量にムラができてしまうことになりかねません。

業務を可視化すれば、質の平準化に繋がる

そういう理由もあり、業務を可視化すれば質の平準化に繋がります。担当者に暗黙的な情報が集約するのを防ぎ、誰もが必要な情報に瞬時にアクセスできれば、自ずと業務の質は均一化するでしょう。

また、業務を可視化する過程で改めて業務プロセスを確認することもできます。自社内にどのような仕事があり、どのような割り振りをが行われているかが暗黙的になっている場合もあるため、洗い出すことで新たな発見があるかもしれません。

業務効率化により、ミスの低減やコスト減も見込める

業務を可視化し平準化すれば、業務効率化に繋がります。業務が効率化されれば自ずとミスの低減やコスト減も見込め、品質を向上させつつコストを下げることも夢ではないでしょう。

そのためには、可視化された業務フローを一度見直す必要があります。コスト減のためには業務の「ムダ」を省くのが手っ取り早いやり方ですが、それ以外にも「原材料の調達方法を変える」「外注先を改めて検討する」などの方法が有効な場合もあります。

この辺りは事業内容によって異なるところも大きいため、自社に合ったやり方を模索することが大切です。

業務を可視化するための3ステップ

それでは、実際に業務を可視化するためのステップを見ていきましょう。下記のフローが絶対というわけではありませんが、可視化するための方法が分からない場合は参考にしてみて下さい。

1.プロセスマップを作成し、どのような業務が存在するかを洗い出す

自社の業務を把握するためには、プロセスマップの作成が有効です。プロセスマップとは、社内の業務プロセスを全て関係性と共に書き出したものです。正しく描かれたプロセスマップを見れば、どこにどのような業務が存在するのかが一目で分かるでしょう。

適切なプロセスマップを作成できれば、業務可視化の強い助けとなります。しかし、会社の事業というのは多くの業務が複雑に絡み合って構成されているため、一筋縄にいかないこともあるかもしれません。

そのため、場合によっては粘り強く取り組むことが求められます。業務の可視化や改善というのは短期的成果を求めるのではなく、長期的目線で取り組んだ方がうまくいくケースも多いのではないでしょうか。

2.担当者のスキルや成果をまとめ、基準やルールを明確化する

プロセスマップの作成が完了したら、次に担当者のスキルや成果をまとめ、業務ごとの基準やルールを明確にしましょう。各業務には求められる期待水準があるかと思いますが、それを改めて言葉にし、担当者や関係者と共有することが大切です。

ゴールの見えない仕事ほどやり甲斐のないものはありません。基準や求められる成果を明確にすることで担当者のモチベーションアップに繋がったり、より適切な人材配置を行える可能性があります。

3.専用のシステムを導入する

最後におすすめしたいのは、業務可視化のための専用システムを導入することです。とはいえ、「可視化のための専用システム」というものはなく、多くの場合業務を効率化するためのシステムを活用することで、結果的に可視化されることになるでしょう。

一例として、顧客管理のためのCRMや、営業管理のためのSFAなどが挙げられます。これらは業務を可視化するのが本来の目的ではなく、CRMは「顧客との関係を管理し改善」、SFAは「営業活動を支援」することが本旨です。

しかし、システムを有効活用するためには、一度業務プロセスの確認が必要になるでしょう。そこで洗い出されたプロセスをマニュアル化したりシステムに取り入れることで、可視化に一歩近づくというわけです。

可視化して業務効率を向上させた事例

可視化して業務効率を向上させた事例

では、最後に可視化して業務効率を向上させた実例をご紹介します。一口に「業務の可視化」といっても色々な切り口がありますので、「何を目的として行うのか」を明確にし、自社にあった方法を模索することが大切です。

ベテランの技術をマニュアル化し、業務を標準化:株式会社五味八珍

株式会社五味八珍は、中華ファミリーレストランを展開している企業です。同社では、チェーン展開による店舗ごとの味の違いや、人材確保・育成に悩んでいました。

そこで「ベテランの味の再現性をどのように高めるか」、という部分に重きをおき、彼らにインタビューし調理マニュアルを作成しました。合わせて「認定制度」を設けることで社員の技術向上を支援し、業務の属人性を防いでいます。

業務を可視化して経営リスクを低減:世界銀行グループ

世界銀行グループは貧困国への資金・技術援助の供給源となっている、通常の銀行とは少々異なる組織です。同グループでは、最初から業務の可視化を狙ったわけではなく、財務部門の業務プロセス改善の一環として可視化がスタートしました。

業務フローを見えやすくするためにツールを導入し、その結果、従来の分厚い書類を確認しながら業務を行う必要がなくなりました。当プロジェクトでは、ツールの使いやすさだけでなく「手軽さ」も重視しています。

まとめ

業務を可視化することで、「属人性の排除」「業務効率アップ」などのメリットが見込めます。可視化されていない業務は、どうしても担当者の勘や経験に頼るところが大きく、当人がいないと仕事が回らなくなってしまうというリスクを秘めています。

業務を可視化するためには、まずプロセスマップを作成し、社内にどのような仕事があるのかを洗い出しましょう。どこにどのような仕事が存在するのかを知らないと、可視化以前に業務の滞りが生じる可能性があります。

そして、次に各担当者のスキルや業務水準をまとめます。「どの業務に何が求められているのか」を明確にし、ある程度ルールや基準を決めておけば、新しい担当者が就任した際でも、即座にやるべきことが明確になるでしょう。

また、業務の可視化には専用システムの導入も有効です。適切なシステムを導入すれば情報共有が捗り、誰もが必要な情報にアクセスできるようになります。そこに業務マニュアルやFAQを見やすい形で用意しておけば、ある程度業務品質の平準化が期待できます。

自社に合ったやり方を見極め、業務を可視化し生産性のアップや質の平準化を目指しましょう。