システム運用を内製化するとどうなる?内製化のメリットとデメリットを解説

システム開発

システムを内製化すれば、自社のみで運用することができます。しかし、「内製化することによるメリットは何か?」「懸念点はどのようなものか?」という疑問を持っている人も多いかもしれません。

この記事では、システムを内製化することによるメリットやデメリット、そして外注化についてお話します。自社にとって最適な方法を模索し、システムの効率的に活用しましょう。

システムを内製化するメリット

システムを内製化するメリット

システムを内製化すると、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。まずはその辺りについて解説します。

業務内容やシステムへの理解が深まる

システムを内製化すれば、自社の業務内容やシステムそのものへの理解を深めることができます。システムは通常業務の効率化のために導入されますが、そのためには現在業務をどのように効率化し、どのようにシステムに落とし込むかをしっかりと考える必要があるでしょう。

それにより、担当者の業務内容に対する理解を深めることが期待できます。また、自社がシステムの設計や開発を行うため、システムそのものに対する知識や情報が最初から最後まで自社に帰属することになるのではないでしょうか。

その知見を活かし他社案件の開発業務を受注するなど、やり方によっては業務の幅を広げられる可能性も生まれます。

アップデートやメンテナンスを自社で行える

システムを内製化すれば、アップデートやメンテナンスを全て自社内でまかなえるようになるでしょう。通常、アップデートやメンテナンスはベンダーに依頼する形になりますが、その度にコストがかかると、経営を圧迫してしまう可能性があります。

システムを内製化しておけばその心配はありません。社内のスタッフによりいつでもアップデートやメンテナンスが可能なため、柔軟な対応が見込めるでしょう。

コスト削減

システムを内製化することで、コスト削減に繋がる場合もあります。前述の通り、システムは開発〜導入して終わりというわけではなく、常時メンテナンスやアップデートが必要です。

その度にコストがかかることも少なくありませんが、システムを内製化すればその限りではありません。もちろん、開発スタッフを雇用するわけなので外注に比べるとランニングコストが高くつくこともあるでしょう。

しかし、長い目で見ると自社に最適なシステムを開発でき、かつ柔軟なアップデートも可能になります。その上でシステム開発のノウハウも得られますので、トータルで考えるとコスト減が見込める可能性もあるのではないでしょうか。

システムを内製化するデメリット

続いて、システムを内製化するデメリットを考えてみましょう。システムを内製化することで、下記のような懸念が生じます。

教育や人材採用にコストや時間がかかる

システムを内製化するためには、ITシステムに長けている人材が必要です。彼らを採用するために、そして入社後教育するためには相当のコストや時間がかかるため、短期的に見れば負担が大きくなってしまうかもしれません。

もちろん前述の通り、長い目で見ればコスト減になる可能性も十分にあります。しかし、その辺りはシステムの仕様や運用方法、システム導入によって得られた成果などによって変わってきます。

最終的に黒字になるか赤字になるかは長年運用するまで分からず、かつ目先のコストや教育のための時間がかかるとなると、内製化を躊躇ってしまう企業も多いのではないでしょうか。

設備費用にもコストがかかる

通常、システムを動かすにはサーバなどの専用機器が必要です。サーバであれば長時間監視体制に置かなければならないケースもあるため、その場合は導入費用に加え、少なくない維持費用がかかってきます。

そもそも、システムを導入する目的は、「業務効率化を達成し売上や利益率を上げること」に他なりません。しかし、システムの導入や維持に費用をかけすぎると目的が形骸化してしまう可能性もあるため、慎重な判断が必要です。

他にもこんなトラブルが

システムを内製化することにより、下記のようなトラブルが生じる可能性もあります。いずれも実際の事例がベースになっているため、内製化を行う際は重々気をつける必要があるでしょう。

システムが属人化してしまった

内製化とは、通常「システムを自社のリソースで開発すること」を意味します。システムを自前で開発するためには、それに沿った人材を集めなければなりません。

しかし、一般的に「ITスキル」を持った人材の採用は難しいと言われており、高度なスキルを持った人材の採用は困難を極めるでしょう。また、そのような優れた人材を採用できた場合、彼らが開発の主導権を握ることになるため、システムが属人化してしまう可能性があります。

属人化してしまったシステムは、開発担当者がいなければ保守もメンテナンスもできなくなってしまうため、運用における柔軟性を欠いてしまう恐れがあるでしょう。

エンジニアの価値観が開発のベースになってしまった

エンジニアを採用し開発を任せた場合、システムが彼らの価値観をベースにしたものになってしまう可能性もあります。システムを開発するのは業務効率化に繋げ、ひいては売上や利益率を向上させるためです。

しかし、エンジニアの美学をシステムに反映させてしまうと、他の従業員からは扱いづらいものが完成してしまう恐れもあるでしょう。その辺りのバランスを上手く取れる責任者がいればよいのですが、そうでない場合は開発のコントロールをどのように行うのかが問題となります。

内製化が不安な場合は外注という手も

内製化が不安な場合は外注という手も

内製化によるメリットとデメリットについて解説しました。両者を天秤にかけた結果、もし内製化に不安を感じてしまった場合、外注するという手段もあります。

最後に、システム開発を外注化することの特徴について述べたいと思います。

外注すればその分のリソースが浮く

システム開発を外注すれば、その分のリソースを浮かせることができます。外注の利点は、開発を外部に一任することも可能ですし、一部のみを任せることも可能という点です。

すなわち、自社の保有するリソースに合わせて発注量を決められるため、柔軟に活用することができるでしょう。もちろん、自社の技術力に自信がない場合は外注先に全てを依頼することも可能です。

既存サービスを使えば事例やデータが豊富

システムの開発を請け負っている会社は同じようなシステムを何度も開発していることも多いため、事例やデータが豊富です。それを活用し、仕様や運用上の有益なアドバイスを受けられたり、開発運用における落とし穴などを知ることができるでしょう。

自社のみでシステムを開発する場合、その辺りは手探りで経験するしかありません。しかし、外注先が保有している既存のリソースを活用することで、開発の効率化やよりよい運用を目指せるのではないでしょうか。

まとめ

自社のリソースのみでシステムを開発することを、「内製化」と呼びます。システムを内製化すれば「業務内容やシステムへの理解を深められる」「トータルコストの削減」などのメリットがあるでしょう。

一方、目先のコストや教育のための時間が倍増する可能性もあるため、外注化も検討しつつ、柔軟な開発を行いたいところです。システムは上手く活用してこそ意味がありますので、よりよい方法を模索し、効率的な運用を目指しましょう。