中小企業の業務効率化はどのように取り組むべきか。ポイントや注意点を解説

業務効率化

中小企業の業務効率化は、一体どのように行えばよいのでしょうか。この記事では、中小企業の業務効率化を成功させるポイントや注意点などについて解説します。

中小企業の業務効率化を成功させるポイント

中小企業の業務効率化を成功させるポイント

中小企業の業務効率化を成功させるには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。まずは、成功させるためのポイントについて解説します。

なるべく短期的な効果を目指す

中小企業の業務効率化を行う場合、なるべく短期的な成果を目指すことが大事です。大手企業に比べると中小企業はさまざまなサイクルが早いため、長期的な視野に立ったプロジェクトは頓挫してしまう可能性があります。

もちろん、長期的視野に基づいた施策に意味がないわけではありません。ただ、中小企業の場合はトップダウンで長期的なプロジェクトを遂行しようとしても、現場の流れが早いために実現が難しくなってしまう恐れがあります。

現場の協力を得るためにも、なるべく短期的な効果を目指すことをおすすめします。

定量的な検証を行う

中小企業で業務効率化を進める場合、なるべく定量的な検証を行うことを習慣づけましょう。結果を数値化して判断しないと「実際には効果が出ていないが行ったこと自体に満足してしまう」といった罠にはまり込んでしまう恐れがあります。

そもそも、業務効率化を進める目的は「同じだけの(もしくはより少ない)リソースで大きな効果を生み出すため」です。であれば、かけた分のリソースや得られた効果といったものを定量的に検証し、それをもって成功したのか否かを判断しなければなりません。

業務システムを活用する

業務効率化の強い味方となるのが、業務システムです。業務システムはそれぞれの分野に特化した専用のシステムなので、手動で行っている業務をより精度を高めて自動化することが可能になります。

業務システムの導入にはコストがかかりますが、適切な活用を行えばそれを上回る効果を発揮してくれるでしょう。しかし逆に言えば、正しい活用ができなければかけた費用を回収するのは難しくなってしまうことにもなります。

業務システムのメリット

一般的な業務システムのメリットは、下記の通りです。

業務効率化に繋がる

業務システムを活用することで、業務効率化に繋がります。従来人の手で行っていた作業を自動化したり、業務の可視化が可能になるからです。

「業務効率化」や「労働生産性向上」が叫ばれて久しい昨今ですが、業務システムはその強い味方になってくれるでしょう。

データや情報がシステムに集約される

業務システムを活用することで、データや情報がシステムに集約されることになります。従来、業務知識やノウハウは組織でなく業務担当者個人に蓄積されていたことも多かったのではないでしょうか。

それはそれでメリットもありますが「組織の知財として活用するのが難しい」などのデメリットもあります。担当者個人が不在の際に業務が回らず、困った経験をした人もいたかもしれません。

100%というわけにはいきませんが、システムに情報を蓄積することで、ある程度の緩和が可能です。システムを参照すれば必要が事項が記載されているため、誰でも業務対応を行うことができ、質の平準化に繋がるでしょう。

「何をすべきか」が明確になる

業務システムを導入することで「何をすべきか」が明確になるケースも考えられます。たとえば、進捗管理システムでは「誰が今何をやっているか」「次に何をする予定か」が視認しやすくなるため、業務全体の見通しが立てやすくなります。

全体的なプランニングに基づいた管理を行えば、メンバーの生産性向上にも繋がるのではないでしょうか。「自分が行っている作業にどんな意味があるのか分からない」という状況は、モチベーションの低下にも繋がります。

業務システムの一例

業務システムの一例

続いて、業務システムの種類について解説します。あくまで一例ではありますが、業務システムには下記のようなものが存在します。

顧客管理システム

顧客管理システムはCRM(Customer Relationship Management)とも呼ばれ、顧客との関係を改善して売上に繋げるためのシステムです。顧客管理システムには、主に下記ような機能が搭載されています。

  • 顧客情報管理機能
  • メール配信機能
  • 案件管理機能

多くのCRMでは、顧客の名称や所在地だけでなく、購買履歴や商談の進捗を記録し管理できます。CRMを見れば、誰でも対象顧客について一通りの理解が深められるようになっています。

メール配信機能を活用すれば、CRMに登録されている顧客の中から条件抽出して一斉メールを送ることができます。特定のカテゴリに属する顧客へのキャンペーンの案内などに役立つでしょう。

案件管理機能では、案件における顧客とのやり取りを細かく記録できます。顧客情報管理機能にも記録可能ですが、こちらではより詳細に記載することができるのが特徴です。

営業支援システム

営業支援システムはSFA(Sales Force Automation)とも呼ばれており、導入することで営業活動を包括的に支援してくれます。主な機能は「営業活動の見える化」であり、各営業担当者や各案件において「今何が起きてるのか」を一目で把握することが可能になります。

マネージャーが状況を把握して現場の営業マンに的確なアドバイスを送ることもできますし、精度の高い予実管理も可能です。また、クラウドに対応している営業支援システムを導入すれば営業担当者が出先から業務を行うこともできるようになります。

それによる業務効率化も見込めるでしょう。

業務システムを上手く活用するには

次に、業務システムを上手に活用するための方法について見ていきましょう。業務システムを導入する際には、下記のような点に注意が必要です。

システムについて学ぶ

システムについてあらかじめ学んでおくことで、自社にどのようなシステムを導入すべきかの参考になります。システムの種類は多岐に渡っており製品数も非常に多いため全てを網羅するのは不可能ですが、大まかな種類や有名な製品、またそれで何ができるのかなどを掴んでおくことが大事です。

一例として、顧客管理のためのCRMや営業支援のためのSFAといったものが挙げられるでしょう。これらを導入すれば特定の分野に大きな力を発揮してくれるため、自社のニーズと合致したら大幅な業務効率化が可能です。

自社に合ったものを選ぶ

業務システムを正しく活用するために大事なのは、自社に合ったものを選ぶという点です。そのためにはまず「自社はシステムを使い何を解決したいのか?」といった点を明確にしておきましょう。

進捗管理なのか、それとも在庫管理なのか、もしくは顧客管理なのかで選ぶべきシステムは異なります。誤った選定をしてしまうと、システムを導入したがまったく使い物にならなかったといったケースも生じるため、慎重に判断しましょう。

また、有名な製品だからといって必ずしも自社のニーズを満たしてくれるとは限りません。有名な製品や評価されている製品にはやはりそれなりの理由がありますが、自社のケースに基づき、しっかりと精査することが大事です。

事前に運用シミュレーションを行う

導入前に運用シミュレーションを行うことで、現場への浸透がスムーズになります。システムを導入することでよくも悪くも現場のワークフローに変更が生じることになるため、いきなり導入すると混乱を招いてしまいます。

また、ワークフローのシミュレーションだけでなく、システムを導入する目的やメリットをしっかりと共有しておきましょう。それを疎かにしていると、「ただでさえ忙しいのに、なぜ新しいシステムを覚えなければならないのか」といった不満が現場で生じる可能性もあります。

そうなるとシステムの十分な活用は見込めませんので、先立ってシステム利用の目的やメリットについて啓蒙しておくことが大事です。他人ごとではなく、自分ごととしてシステムの導入を捉えてもらいましょう。

中小企業が業務効率化に取り組む際の注意点

中小企業が業務効率化に取り組む際の注意点

それでは、最後に中小企業が業務効率化に取り組む際の注意点について解説します。目的を見失うことなく、本筋に沿って効率化を進めましょう。

「生産性向上」は必ずしも労働時間短縮に結びつかない

「生産性向上」や「業務効率化」という言葉を聞くと、「労働時間の短縮」や「残業抑制」を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、生産性の向上や業務効率化が必ずしも労働時間の短縮に結びつくわけではありません。(もちろん結びつくケースも多いですが)

生産性向上というのは、「今までと同じ労力でより多くの生産や売上を得られること」もしくは、「今までより少ない労力で今までと同じ精算や売上を得られること」と定義できます。「今までと同じ労力で」ということは、労働時間が変化しない可能性もあるということです。

加えて、「今までより少ない労力で今以上の生産や売上を得られること」とも定義できるでしょう。そうなるのがベストですが、まずは可能な範囲で生産性向上や業務効率化を進めることが大事です。

人的要員ではなく、システム面での効率化を目指す

「業務を効率化するために、今まで以上に作業スピードを上げよう」という考え方もありますが、なるべく人的要因ではなくシステム面での効率化を目指しましょう。理由としては、「人の処理速度には限界があること」「人の手の速さはさまざまな原因で変化すること」などが挙げられます。

人的要因による効率化を啓蒙することで、今までと比較して1.5倍くらいの生産量を得られるかもしれません。しかし、10倍の生産量を得るのは難しいのではないでしょうか。

システム面の効率化を促すことで、場合によっては10倍の効率を得ることも可能です。その上で人的負担を減少させられる可能性もあるため、こちらの方が少ない労力でより多くの効果を狙えるでしょう。

なお、この場合の「システム面での効率化」が意味するところは業務システムの導入に限りません。ワークフローや管理方法の変更など、多岐に渡る意味合いです。

柔軟な判断を行う

システムを導入することで大幅な業務効率化が見込めますが、状況によってはシステムが馴染まないケースもあるかもしれません。そのような場合は必ずしもシステムを導入する必要はなく、他のやり方で効率化を目指すことも視野に入れましょう。

大事なのは、あくまでも業務効率化の達成です。業務システムを導入すれば業務を効率化できる可能性は高いものの、100%ではありません。

施策を進める際には、時に柔軟な判断も必要です。

まとめ

中小企業の業務効率化を行う場合は、なるべく短期的に、かつ定量的に行うのが大事です。業務システムを適切に活用できれば、強い味方になってくれるでしょう。