エクセル管理のシステム化でどう変わる?エクセルの限界点と業務システムの利点を解説

業務効率化

さまざまな業務をエクセル管理している企業も多いのではないでしょうか。そこにとどまらずエクセル管理をシステム化すれば、さらに多くのメリットが発生します。

この記事では、エクセル管理の限界から始め、エクセル管理をシステム化することによるメリットなどを事例つきで解説します。

エクセル管理には限界がある

エクセル管理には限界がある

エクセル管理には限界があると言われています。まずは、なぜエクセル管理には限界があるかを見ていきましょう。

汎用性が高いため、独自のフォーマットを作らなければならない

エクセルは非常に優れたソフトであり、その汎用性(自由度)の高さから多くの企業や部署で業種を問わず使用されています。これほど汎用性の高いソフトウェアも珍しいと言えるかもしれませんが、その自由度の高さが逆に複雑さを呼び込んでいる面があります

通常、エクセルを業務に活用する際は独自のフォーマットを作成する必要があります。空白のシートをそのまま使うケースもあるでしょうが、その場合はあくまでメモ書き程度であり、本格的な業務使用とは異なった使い方であることも少なくありません。

計算式や関数、デザインなどを駆使してフォーマットを作成すると確かに便利なのですが、処理が複雑になりすぎて管理が難しくなるケースもあります。

フォーマットの内部処理が露出している

エクセル管理で独自フォーマットを作成する場合はセルに直接計算式や関数を入れ込むため、処理系統が露出することになります。普通のソフトウェアではユーザー操作によるエラーを防ぐため、内部処理が露出するようなことはありません。

エクセルの場合は処理内容をユーザーが編集できるからこそ自由度が高いとも言えるのですが、それが仇になるケースもあります。ユーザーが内部処理を勝手に編集したり削除してしまうとシート全体にエラーが発生し、利用できなくなってしまう可能性があるからです。

なお、この場合の「内部処理」はエクセルそのものではなく、あくまでシートやブック内での処理のことです。エクセルというソフトウェア自体の内部処理に関しては、基本的にユーザーがいじることはできません。

限界を感じたら業務システム導入を検討しよう

エクセルは便利なソフトですが、エクセルを業務に使用しすぎると逆に弊害が生じる可能性もあります。上述したもの以外にも、たとえばバージョン管理のめんどくささや膨大なデータ量、またファイルとデータを切り分けて管理できない点などが挙げられるでしょう。

エクセルの管理に限界を感じた場合、管理をシステム化するという手があります。システム化の際に導入される業務システムはエクセルに比べると自由度は下がるものの、エクセルでは得られないさまざまなメリットを受けることができます。

エクセルから業務システムに移行するメリット

それでは、次にエクセル管理をシステム化するメリットについて解説します。エクセルによる管理業務をシステム化した場合、一般的に下記のようなメリットがあります。

見やすく使いやすいUI

業務システムは専用のソフトウェアということもあり、見やすく使いやすいUI(ユーザーインターフェイス)が用意されています。エクセルは処理の自由度は高いもののデザインパターンには限界があるため、専用のソフトウェアに比べると見やすさやわかりやすさという面では劣ることが多いです。

もちろん、専用ソフトウェアの全てが優れているわけではありません。しかし、業務システムは日常的な業務をとっつきやすく簡易にするために設計されているため、初めてシステムに触った人でも使えるようなUIがデザインされていることが多いです。

クラウド型なら自動でアップデートやメンテナンスが行われる

業務システムには大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の二種類が存在します。簡単に説明すると、オンプレミス型は自社で専用のハードウェアを購入しそこでシステムを走らせる形態であり、クラウド型はインターネットを通してクラウドサーバーにアクセスしそこでシステムを利用する形態です。

クラウド型の場合、ソフトウェアもデータもベンダーの用意したクラウドサーバーに置かれているため、管理の手間が不要になります。いつでもアップデートされた最新のソフトウェアを使うことができますし、エラーが起きてもベンダー側が対処してくれます。

メンテナンスや保守の手間がかからないのは大きなメリットと言えるでしょう。

他のシステムと連携し、データを一元管理できる

業務システムを導入すれば、他のシステムと連携しデータを一元管理することも可能です。この辺りはシステムの相性や仕様にもよりますので、連携を求めるのであれば事前にしっかりと確認しておく必要があります。

データを一元管理するメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。

  • データを単体ではなく複数繋げ、俯瞰的に状況分析ができる
  • 常にリアルタイム更新されたデータを参照できる

システム同士が連携されていないとデータを多角的に見ることができず、正しい状況分析ができなくなってしまう可能性があります。また、連携されていないシステム同士でデータの同期を取るのは手間がかかるため、常に最新のデータを参照できるとは限りません。

システムを連携しデータを一元管理することで、状況判断の正確さや素早さを得ることができるというわけです。もちろん、一元化された場合の元データは一種になるため、管理の手間も省けます。

エクセルの代わりとなるシステム

エクセルの代わりとなるシステム

では次に、エクセルの代わりとなるシステムをいくつかご紹介します。

CRM

CRMはCustomer Relationship Managementの略であり、日本語だと「顧客管理システム」と呼ばれます。CRMは顧客との関係を可視化し適切に管理し、売上アップに繋げるためのシステムです。

CRMには、主に下記のような機能が搭載されています。

  • 顧客管理機能
  • 分析・マーケティング支援機能
  • プロモーション管理機能

顧客管理機能により詳細な顧客情報や購買データ、問い合わせ内容などを管理します。それらのデータに基づいて顧客分析やマーケティング支援を行い、迅速な判断に必要な情報を提供します。

そして、アンケートやイベントといったプロモーション管理を行うことで、ターゲッティングの最適化を図ります。

SFA

SFAはSales Force Automationの略であり、日本語だと「営業支援システム」と呼ばれています。営業活動をさまざまな視点からサポートし、営業生産性の向上を目的とするシステムです。

SFAには、主に下記のような機能が搭載されています。

  • 案件管理
  • 行動管理
  • 予実管理

チームが抱えている営業案件を管理することで、今何が起きてるかをひと目で把握することができます。それをさらに細分化し営業パーソン一人ひとりの行動を管理することで、優秀な営業パーソンとそうでない営業パーソンの違いを分析できるでしょう。

加えて、SFAを活用することで、精度の高い売上予測や予実管理が行えるようになります。

MA

MAはMarketing Automationの略であり、日本語でもそのまま「マーケティングオートメーション」と呼ばれています。マーケティング・プロセスをシステム化することにより、効率化および生産性向上を見込むシステムです。

マーケティングオートメーションには、下記のような機能が搭載されています。

  • リード管理
  • メディア・メール管理
  • スコアリング

マーケティングオートメーションでは、獲得したリードをデータベース上で管理することができます。それらをオンライン上の行動履歴などからスコアリングし、購買意欲を可視化することも可能です。

十分に熱されたリードは営業担当者に渡し商談、そうでないものはオウンドメディアやメールを使って啓蒙、といった活用が見込めるでしょう。

RPA

RPAはRobotic Process Automationの略であり、そのまま「RPA」と呼ばれています。RPAを活用することで定型的な処理を自動化でき、業務効率化に繋げられるでしょう。

RPAの得意分野は、下記のようなものです。

  • PCで行うことができる定型的な業務
  • 複数のプログラムやソフトを横断して行う業務

RPAを活用することで、普段行っている定型的なPC業務を自動化することができます。マクロやVBAでも似たようなことができますが、これらは原則的に単一ソフトウェア上の処理しか自動化プロセスに組み込むことができません。

RPAであれば、複数のソフトにまたがっている処理も一括で自動化できます。ただし、非定型的な処理は苦手分野なため、柔軟な判断が求められる業務は今までと同じく人の手が必要です。

その他管理システム

他にも、下記のような管理システムがエクセルの代わりとなるでしょう。

  • 経費精算システム
  • 勤怠管理システム
  • 進捗管理システム

これらの業務をエクセルで行っている企業も多いのではないでしょうか。エクセルで不足のない処理ができるのであれば問題はありませんが、専用のシステムを導入すればさらなる効率化が見込めます。

業務システム導入により生産性が向上した事例

業務システム導入により生産性が向上した事例

では、最後に業務システム導入により生産性が向上した事例をご紹介します。

システムにより経費精算業務を効率化:タマホーム

タマホームは、強い家づくりにこだわる日本の住宅会社です。同社では元々オンプレミス型の経費生産システムを利用していたのですが、仕様変更の度にコストがかかったり開発に時間をとられたりといった問題が発生していました。

そこでクラウド型のシステムに切り替えたところ、社員が経費精算にかける時間が節減。また、クラウド型ならではのメンテナンス性の高さやコストの低さといったメリットを享受することもできました。

RPAによる自動化で効率化を達成:カネミツ

金光は、元々パイプや板金溶接をメインに創業された会社ですが、現在は自動車用プーリが国内トップシェアの企業です。同社では、年間600本の稟議書作成や取引先からの出荷データ登録作業などの手間を抱えていました。

そこで、RPAを導入し稟議書作成や出荷データ登録を自動化したところ、業務の時間短縮に成功しました。

MAを活用しリード獲得量の増加:ギブリー

ギブリーは、情報通信業者としてHRTechやデジタルマーケティング事業を営んでいる会社です。同社では、複数種類存在するサービスのマーケティングための顧客育成基盤を必要としていました。

そこでマーケティングオートメーションを導入しメルマガから既存顧客のサイト内動向を分析。結果として、三ヶ月でリード獲得量14倍という成果を上げることができました。

まとめ

エクセルは大変便利で自由度の高いソフトウェアですが、使い方によっては限界を迎えることもあります。その場合はエクセル管理のシステム化がベターな手法となりますが、どのようにシステム化を行うかは自社との相性や課題を見極めて判断しましょう。