働き方改革が抱える課題とは?企業が二の足を踏む理由と解決事例

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「働き方改革」という言葉が声高に叫ばれていますが、働き方改革を進めるために課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。日本の労働生産性は決して高い水準とは言えないため、それを解決するための手段の一つとして働き方改革を推進している面もあるでしょう。

そのためには、働き方改革の課題や解決方法に対する理解を深める必要があります。この記事では、企業が働き方改革に取り組めない理由やその解決方法を事例を交えながら解説します。

企業が働き方改革に取り組めない理由

企業が働き方改革に取り組めない理由

企業の中には、働き方改革に取り組むことに困難を覚えているところもあるのではないでしょうか。まずは、その理由を見ていきましょう。

抱えている業務量が多すぎる

1つ目の理由として挙げられるのは、抱えている業務量があまりに多すぎることです。現時点で抱えている業務量が多い場合、従業員は目の前の仕事をこなすので手一杯になってしまうため、働き方改革に回せるリソースが残ってない状況に陥ってしまうでしょう。

また、抱えている業務量が多いと、働き方改革のステップの一つである「業務の棚卸し」をしづらい状況になってしまいます。業務の棚卸しとは社内で行っているあらゆる業務を洗い出す作業なのですが、業務量が多いと必然的に棚卸しすべき業務も増えることになります。

ただでさえ割けるリソースが少ないにも関わらずチェックすべき項目が多いとなると、働き方改革に繋がるタスクが後回しにされてしまうのは仕方ありません。

解決するための具体的な手法が分からない

働き方改革の肝は「業務効率化」と「生産性向上」です。両者をバランス良く達成できれば半ば自動的に働き方改革の成功にも繋がりますが、そもそも「どのように業務を効率化すればいいのか分からない」「生産性向上のための具体的手法は?」という部分で止まっている場合もあるのではないでしょうか。

解決するための具体的な手法が見えないと、そもそも何を行えばよいのかが分からなくなってしまいます。ひとまず考えつく限りの手法を試し結果論的に働き方改革を進めるという手もありますが、それでは関係者に徒労感を与えてしまう恐れがあります。

そもそも業務やワークフローを把握・統括できていない

働き方改革のステップの一つとして「業務の棚卸し」や「ワークフローの適正化」が挙げられます。社内で行っている業務を正確に棚卸しし、それに沿って適切なワークフローを組み上げることができれば業務効率化や生産性の向上に繋がるでしょう。

しかし、業務やワークフローの把握や統括が乏しい場合、何を基点として棚卸しや適正化を行えばよいのかが不明確になってしまいます。結果として業務の棚卸しやワークフローの適正化が進まず、もしくは進んだように見えても結果的にあまり効率が上がるものではなくなり、逆に働き方改革を阻害してしまう恐れもあります。

各課題の解決方法(一例)

では、次に各課題に対しての解決方法を見てみましょう。それぞれのケースについて解説します。

抱えている業務量が多すぎるケース

抱えている業務量があまりに多すぎる場合は働き方改革どころではなく、目の前の業務をこなすことで手一杯になってしまいます。それでは前述の通り働き方改革を推進するためのリソースが不足することになってしまうでしょう。

この場合、まず考えたいのは業務量を減らせないかどうかです。業務量を減らせれば働き方改革推進に割く余裕を確保でき、プロジェクトの発起に繋がります。

あるいは、リソースの量を増やすという手も考えられます。従業員を新たに採用したりITシステムの導入などを行えば業務量に対するリソースが増え、働き方改革に割く余裕を得ることが可能です。

それがそのまま業務効率化や生産性の向上といった働き方改革に繋がる場合もあり、そうなると一石二鳥にもなります。

解決するための具体的な手法が分からないケース

解決するための具体的な手法が分からなければ、いつまでたっても働き方改革は進捗しません。この場合は、単純に解決するための方法を模索することが重要になります。

とはいえ、何も見えない中を手探りで進んでも効率が悪いため、思い切ってプロの力を借りるという手もあります。専門家やコンサルタントに相談すれば自社ではまかないきれない部分のサポートが期待できますし、上手く活用すれば適切な解決方法や具体的な実行方法について学ぶことができるでしょう。

もちろん、プロの手を借りなくても自前で解決方法を編み出せるのであればそれでも構いません。ただ、何事も専門的な知見を持っている人に聞いた方が話が早く、目的とする結果も得やすいのではないでしょうか。

業務やワークフローの把握・統括が甘いケース

最後に、業務やワークフローの把握、統括が甘いケースについて考えてみましょう。この場合においては、とにかく社内で行われている業務やワークフローを徹底的に精査し、検証することが重要になります。

働き方改革の肝は「業務効率化」や「生産性の向上」ですが、両者を達成するためには、「業務の棚卸し」と「ワークフローの適正・効率化」が欠かせません。棚卸しをしてあらゆる業務を洗い出し、それを適切に組み合わせることが重要です。

そもそも、何故業務やワークフローの管理が甘くなってしまっているのでしょうか。原因としては、たとえば下記のようなものが考えられるでしょう。

  • 業務やワークフローを管理するための部門やプロジェクトがない
  • 管理手法が正しくなく、現実との間に大きな乖離が生じてしまっている

この辺りをしっかりと追求し、高精度な業務管理を行える体制を整える必要があります。

働き方改革の課題をITを活用して解決した事例

働き方改革の課題をITを活用して解決した事例

それでは、最後に働き方改革の課題をIT活用で解決した事例をご紹介します。ITを上手く活用することで解決する課題も多いため、可能であれば参考にし取り入れてみて下さい。

チャットツールでコミュニケーションを効率化:株式会社第一印刷所

株式会社第一印刷所は、印刷を軸としたさまざまなものづくりに携わっている企業です。同社では、コミュニケーションにおける伝言ゲームが発生しており、情報伝達の効率が悪化していました。

そこでビジネスチャットツールであるLINE WORKSを導入したところ、不要なやり取りが削減され、残業時間を大きく削減できました。

クラウドアプリを利用し情報共有:株式会社石崎電機製作所

石崎電機製作所は、昭和三年に創業された伝統ある電機メーカーです。同社ではさまざまな情報を紙ベースで保管していたため、情報共有に煩わしさを抱えていました。

それを解決するためにEvernoteを導入したところ、情報を一元管理すること、かつ全社員に定着させることに成功しました。

RPAを活用し生産性をアップ:ソフトバンク株式会社

通信大手キャリアであるソフトバンクでは、業務効率改善のためにRPAを導入しました。RPAを活用すれば、細かな業務改善であればノンプログラミングで行うことが可能です。

結果、作業にかかる時間を大幅に短縮でき、業務効率化を達成しました。

まとめ

働き方改革が思ったように進まない場合、まずは自社がどのような問題を抱えているかを分析しましょう。その後、適切な解決手法を見つけ出し、正しく実行することが重要です。