「生産性」や「収益性」などの指標を活用し、効果的な業務改善を行おう

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ビジネスを行っていると、「生産性」や「収益性」といった言葉をよく耳にするかもしれません。共に事業の構造を示す指標なのですが、これらを活用して業務改善に取り組むことも珍しくありません。

この記事では、生産性と収益性の関係、そして業務改善における指標について解説します。

生産性と収益性の関係

生産性と収益性の関係

生産性と収益性の間には、一体どのような関係があるのでしょうか。まずは、その辺りを見ていきましょう。

「生産性」は投入したリソースから得られたリターンの程度を表す指標

「生産性」とは、事業に投入したリソースから得られたリターンの程度を表す指標です。ビジネスというのは最初に資金や人といったリソースを投入し、将来的にそれを上回るリターンを得るのが主な目的です。

生産性を計算すれば、どの業務がどの程度の効率を上げているかが分かるでしょう。逆に、生産性が不明確なままだと一体どの業務がどういった成果を上げているのかが分からなくなってしまうため、目的に対する手段が見えないまま業務に取り組むことになってしまいます。

生産性が高ければ、自ずと収益性も高くなる

すなわち、生産性が高ければ、自ずと収益性も高くなるということです。前述の通り、生産性というのは投入したリソースに対するリターンの割合を示す数値なので、生産性を高めれば少量のリソース投入で一定の成果を出せるということになるでしょう。

それだけに、生産性というのは事業を行う上で非常に重要な数値になります。生産性が高い場合と低い場合を鑑みると、共に同じだけの売上を出していたとしても、それが意味するところは大きく異なります。

生産性が低い場合、業務改善を行おう

そのため、業務の生産性が低い場合は改善を行った方がよいでしょう。生産性の低い業務をそのまま放置してしまうと全体的な生産性が下がり、収益構造に綻びが生じてしまうかもしれません。

しっかりと生産性の可視化を行い、業務改善を行えばその限りではありません。もちろん、場合によっては生産性の低い業務はカットしてしまうのも手ですが、どうしても外せない場合は業務改善を行うことで、全体的な生産性の低下を抑えることができるでしょう。

業務改善を行う上で重要となる指標

では、業務改善はどのように行えばよいのでしょうか。一般的には、下記のような数値を基にして行うことになります。一つずつ見ていきましょう。

売上高利益率

売上高利益率とは、企業が上げた売上に対する利益の比率になり、下記のような計算によって求められます

売上高利益率 = 利益 / 売上高 ✕ 100

売上高利益率が高ければ高いほど、原価やコストが低く利益率が高いという好循環な収益構造になっているということです。逆に、この数値が低いと売上が大きくなっても利益はそれほど得られないという形になります。

売上高利益率は企業の収益力を評価するための対外的な指標ですが、それを内部の業務改善に活用することで、より骨太な事業構造を構築することができるでしょう。

ROA・ROE

続いての指標は、総資産利益率(ROA)および自己資本利益率(ROE)です。両者は、下記のような式を用いて計算できます。

ROA = 利益 / 総資産 (✕ 100 (%換算))
ROE = 純利益 / 純資産 (✕ 100 (%換算))

ROAは総資産に対する利益の割合を示す数値であり、平たくいえば「資産をどの程度有効活用しているか」という指標です。そして、ROEは純資産に対する純利益の比率であり、「純資産をどの程度上手く活用して利益を上げているか」という指標になります。

「生産性」という指標にも言えることですが、ビジネスの基本はリソースを投入し、それ以上のリターンを得ることです。同じだけの売上や利益でも、投入したリソースが少なければ少ないほど事業効率がよいことになるでしょう。

総資産回転率

総資産回転率とは、「資産がどの程度の売上を生んでいるか」という指標であり、下記のような計算で求められます。

総資産回転率 = 売上高 / 総資産 (✕ 100 (%換算))

資産に対する売上の割合ですので、先程ご紹介したROAとよく似ている指標と言えるでしょう。両者の違いは、ROAが利益を問題にしているのに対し、総資産回転率はあくまでも売上を軸にしているという点です。

企業の収益構造を計るためにはROAの方が適切かもしれませんが、利益は売上なしには発生しません。そのため、前段階の判断として総資産回転率を問題にするケースも考えられるのではないでしょうか。

業務改善を行うためのポイント

業務改善を行うためのポイント

それでは、最後に業務改善を行うためのポイントについて解説します。業務改善を行う際は、下記のような点に気を配って取り組みましょう。

業務をなるべく可視化・数値化する

業務改善を行うためには、まず業務を可能な限り可視化・数値化しておくことが大事です。業務改善に取り組む目的としては「生産性の向上」が挙げられますが、生産性というのは数値をベースに算出されるため、ある程度業務における成果を数値化しておかないと割り出すことができません。

また、業務内容を可視化することで業務改善のポイントが明確になるケースもあります。業務内容を可視化するとは、すなわち「その業務において実際にどのようなことを行っているか」という点を形式知化するということになります。

その過程で、無駄を省いたり、より効率的なやり方を編みだすことにも繋がるでしょう。それはすなわち、業務の改善に他なりません。

ナレッジやFAQの共有を行う

ナレッジやFAQの共有を行うのも、業務改善のポイントです。通常、業務に関する知識や知見、ノウハウは従業員個人に帰属するものであり、それぞれの分野のスペシャリスト足り得る人間が集って事業を回すのが会社組織です。

しかし、業務がスペシャリストに依存してしまうと、彼らがいないと仕事が回らなくなってしまうことにも繋がるでしょう。暗黙知を形式知化してナレッジを共有することでそれを防ぎ、業務の質を平準化することができます。

また、FAQをシェアすれば従業員間だけでなく、顧客も交えた知の共有を行えます。一般的に、FAQというのは顧客に向けた構築をすることも多いため、それをそのまま従業員のナレッジにするという考え方の方が自然かもしれません。

ITシステムを導入する

上述したポイントを実行する際は、いずれもITシステムを活用した方が効率的です。現代はインターネットやテクノロジーの発展により、非常に幅広い業務システムが開発およびリリースされています。

その中から自社が行いたい業務改善に適したシステムを選定し、導入することが重要でしょう。一例としては、知識やノウハウを共有するための「ナレッジデータベース」や、業務を可視化・定量化するための「業務管理ツール」などが挙げられます。

他にも、顧客との関係を管理し改善するための「CRM」や、営業活動支援のための「SFA」などが考えられるでしょう。いずれにせよ、「自社がどのようなニーズをもってシステムを導入したいか」という点をしっかりと深堀りし、それに沿った製品選びを行うことが大切です。

まとめ

生産性と収益性はよく似た言葉ですが、平たく定義すると「売上をメインに考えるのか」「利益をメインに考えるのか」程度の違いがあります。どちらも重要な指標ですが、企業が置かれている状況を鑑み、適切なものを利用することが求められるでしょう。