残業時間を減らすにはどうすればいいの?時代に取り残されない為の取り組み

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以前は残業は当たり前という風潮でしたが、今や残業を減らすことは企業の命題になりつつあります。2019年から施行される働き方改革法では残業時間が明確に規定され、違反した場合は罰則が設けられています。

この記事では、残業に対する考え方の変化。そして、残業時間を減らすことによるメリットやそのための方法を事例を交えてご紹介します。

残業に対する考え方の変化

残業に対する考え方の変化

昨今は「働き方改革」により、残業というものに対する考え方も変化しています。

従来は、残業は「当たり前」だった

従来の日本社会では、どちらかというと残業は「当たり前」の存在でした。通常の業務時間が終わったからといってすぐに帰れる職場は少なく、その後も暗黙の了解で残業を行うのが一般的だったのではないでしょうか。

その是非をここで問うことはしませんが、業務量や給与、取引なども残業込みで考えられていた風潮があったのではないかと思います。すなわち、残業を拒否するのは異常なことであり、場所によっては協調性がないとみなされる空気もありました。

「当たり前」ではなくなった残業

しかし、近年になるにつれ残業は「当たり前」ではなくなり、むしろ「残業 = 悪」という風潮が生まれてきました。従業員を無理に働かせる会社は「ブラック企業」という汚名をきることになり、従業員が集まりにくくなる・ブランドが敬遠されるなどの実害を被るようになりました。

残業が当たり前でなくなった理由にはさまざまなものが考えられますが、一つはインターネットの発展が挙げられるでしょう。インターネットを利用すれば自分の考えや意思、置かれている状況を容易に世界中に発信することができ、不適切な待遇を受けている場合は簡単に暴露できるようになりました。

また、インターネットにより海外の事情を簡単に得られるようになったという面もあります。それにより、「日本は先進国の中で労働時間が多いにも関わらず生産性が低いらしい」という情報が少しずつ周知されているのも関係があるのかもしれません。

残業と生産性の関係性

残業と生産性の関係性には諸説ありますが、現在は「残業したからといって生産性が増えるわけでない。むしろマイナスな面もある」という考えが主流になりつつあるのではないでしょうか。

もちろん、残業と生産性の関係は個人が置かれている状況によって異なります。一般的に、裁量権のある立場であれば長時間労働は苦にならないが、そうでない場合は精神的に悪影響があると言われています。

会社員として働いている場合、自身に裁量権が与えられているケースは稀でしょう。大半の人は決まった時間に出社し、決められた仕事やノルマをこなし、決まった時間に退社するのではないかと思います。

すなわち、長時間労働は苦痛であり、生産性にマイナスを及ぼす可能性が考えられます。

残業を減らすことによるメリット

では、逆に残業を減らすことによるメリットについて見ていきましょう。残業を減らすことができれば、下記のような恩恵を享受できるようです。

コスト削減に繋がる

従業員が残業を行った場合、会社は残業代を支払わなければいけません。その際は割増賃金を支払わなければならないのが一般的であり、「残業 = コスト増」に繋がるという見方ができます。

逆に考えると、残業を減らせば減らすほどコストの削減に繋がるでしょう。残業代だけでなく、オフィスの光熱費やセキュリティ代もコストに含まれます。それらも併せて削減できるのが残業代を減らすことによる1つ目のメリットです。

従業員の生産性向上に繋がる

上述した通り、長時間労働は従業員の生産性にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。すなわち、残業を減らすことができれば、生産性の向上が見込めるケースもあるのではないでしょうか。

必ずしもそうなるとは限りませんが、現代の業務は複雑化する一方なので、以前より時間あたりの負担が増えているという見方があります。また、市場が成熟しており「作れば売れる」という状況にはないため、利益向上のためには柔軟なアイデアが必要です。

そうなると、従業員は色んな体験を積み、視野を広げたりスキルアップしてもらった方が好都合でしょう。そのために必要なのは時間であり、残業している暇などないという結論に至ります。

世間から「ホワイト企業」と評価される

残業の抑制に真摯に取り組めば、世間から「あそこはホワイト企業である」と評価されます。「ブラック企業」の烙印を押されてしまうことによる弊害は計り知れませんが、逆に「ホワイト企業」と評価されることによるメリットは非常に大きいものがあります。

ホワイト企業と評価されればそこで働きたい人が増え、結果的に良い人材を採用しやすくなります。人材の質の向上は企業力の強化に繋がりますので、市場で勝ちに行きやすくなるでしょう。

また、ホワイト企業であれば自社のファンも作りやすくなります。ファンができればできれるほどブランドの構築に寄与しますので、多くの面でビジネスがしやすくなるのではないでしょうか。

残業を減らすにはどうすればいい?

残業を減らすにはどうすればいい?

それでは、実際に残業を減らすための方法について解説します。残業を減らすためには、下記のような点を見直しましょう。

各業務の重要性を見直し、生産性の高い仕事に集中する

残業を減らすためには、現在行っている各業務の重要性を見直し、リソースを重要なものに集中させることが大事です。一般的に、企業活動の利益の8割は2割の仕事によってもたらされているため、その2割にリソースを集中させられれば利益の向上が見込めると言われています。

利益を効率的に得られれば、その分労働時間を削減することができるでしょう。

必要に応じ、システムやツールを導入する

必要に応じ、システムやツールの導入を検討するのも手です。システムやツールを導入すれば現在行っている業務を簡略化することができ、その分労働時間を抑制することができます。

その際は、「どのようなシステムやツールを導入すれば効果的か?」という点をしっかり見極めるのが重要です。

半ば無理矢理に時間を区切る

何故残業が発生してしまうのでしょうか?時間内に終わる業務量ではないからというのもありますが、「残業ありき」なワークスタイルになっているため、時間を効率的に使えていないという面もあるかもしれません。

そのような場合、半ば無理矢理に時間を区切るのも一つの手です。終わりが明確に定まっていれば効率化に対するアイデアも生まれやすくなり、生産性の向上に繋がるケースもあります。

具体的な事例

では、残業抑制を達成した具体的な事例をご紹介します。これらを参考に自社の残業時間減少に努めましょう。

「ノー残業デー」を含めた多彩な取り組み:トリンプ・インターナショナル

グローバルな下着メーカーである「トリンプ・インターナショナル」では、残業削減のための多くの取り組みが行われています。経営トップ主導で「ノー残業デー」を含むさまざまな取り組みが行われ、残業時間の削減とともに19年連続の増収増益を達成しています。同社では、残業を明確に「良くないこと」と定義しており、残業が発生した場合は上司と従業員が反省会を開いています。

在宅勤務やWeb会議の活用:NTT東日本

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は、電話やインターネットといった通信業を営んでいる大手企業です。同社では残業削減のため、Web会議システムなどによる在宅勤務の導入、時間外勤務の朝型シフトを行いました。結果、時間外労働が13%減少し、月間の時間外労働が45時間以上の社員を34%削減することができました。

まとめ

2019年から順次施行される「働き方改革法」には、明確に残業時間が規定されています。それを破った場合は罰則が設けられているため、現在残業が常態化しているところは残業時間の抑制に本腰を入れる必要があります。

そのためには「生産性の高い仕事に集中」「専用システムの導入」などが有効です。工夫をこらし、残業時間の抑制に取り組みましょう。