現場力向上の為の「見える化」とは?その意味やメリット・注意点について解説

業務効率化

製造業の現場力を向上するためには、業務の「見える化」を行う必要があります。しかし、「見える化」はどちらかというと抽象的な言葉であり、具体的にどのように行えばよいのかが分かりづらいこともあるかもしれません。
この記事では、ビジネスにおける「見える化」について。そして、そのメリットと注意点について解説します。

ビジネスにおける「見える化」とは?

ビジネスにおける「見える化」とは?

現場力を上げるための「見える化」とは、一体どのような考え方なのでしょうか。まずは、「見える化」について見ていきましょう。

従来は曖昧だった事項を数値やデータという形で明確にすること

「見える化」とは、文字通り「曖昧な概念を目で見える形に置き換えること」です。従来は「なんとなく」ですまされていたビジネス上のファクターも多かったかと思うのですが、それらを数値やデータといった形で明確化することが「見える化」です。

勘や経験によるところが大きかったワークフローを明文化すること

同様に、勘や経験に頼るところが大きかった現場力を明文化するのも「見える化」の一種といえるでしょう。勘や経験に依存した状態で現場力を上げるには、後輩は先輩の仕事ぶりを近くで観察し、言葉では表現できない暗黙知を自分の中に取り込む必要がありました。

もちろん、今でもそういったやり方でしか得られないものはありますが、そうでない部分を明文化して「見える化」しておけば、誰でも業務をこなせるようになります。仕事を覚える時間や労力を節約できれば、その分生産性の向上が見込めます。

会社や部署が抱えている問題や課題をはっきりさせること

会社や部署が抱えている問題や課題を明確にすることも、「見える化」という言葉に含まれます。問題や課題を「見える化」することができれば、メンバー間で意識の共有が可能になり、解決までの道のりを短縮することができます。

事業を行う上で、問題や課題の発生は避けられません。であれば、「問題は既に発生しているもの」と考え、それらをどのように「見える化」するかを考えた方が建設的です。

一般的に、問題や課題を明確化すればするほど現場力は向上します。そこが曖昧なままだと、実行しても「何故かうまくいかない」ことになり、社内にどんよりとした空気が流れ始めるのではないでしょうか。

見える化によるメリット

見える化によるメリット
では、さまざまなファクターを「見える化」することで、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。続いて、「見える化」のメリットについて解説します。

さまざまな判断の根拠となる

事業におけるさまざまな指標を数値化、データ化できれば、それは判断の根拠となります。同じAという施策を行うにあたっても「ただなんとなく」よりは「データや数値から判断した結果」である方が説得力が増すでしょう。

社内で何かしらの施策を行う際は、他者の協力が欠かせません。しかし、他のメンバーはそれぞれ別の仕事を抱えているため、新しく時間を割いてもらうのは難しいところもあるでしょう。

彼らを説得するために大事なのが、「客観的な根拠」です。自分がやろうとしていることが会社やチームのためになるという客観的な根拠を示すことができれば、話を聞いて納得してもらいやすくなります。

もちろん、顧客への営業やプレゼンの際も同じです。最終的に購入を決断するのは感情要因も大きいですが、感情を後押しするために「客観的な根拠」が求められるケースもあるでしょう。

従業員の質に依存せず、仕事の質を平準化できる

事業のワークフローを「見える化」できれば、従業員の質に依存することなく質の平準化が可能です。もちろん完璧にというわけにはいきませんが、ある程度質の平準化が見込めれば、それを前提に新たなフローを考えることができます。

ビジネスというのは予測できないことの連続ですが、それを少しでもコントロールし、自社の望む方向へ進ませることが大事です。ワークフローの「見える化」により仕事の質をコントロールできれば、予測可能な領域が増えるのではないでしょうか。

問題解決までの道筋を見つけられる

さまざまな指標を「見える化」できれば、どこに問題が発生しているのか、そしてそれをどのように解決すればよいのかが見えやすくなります。問題が発生している箇所と原因を特定できれば、解決方法を考えるのはそう難しいことではありません。

また、上記と同様問題発生の理由と対策を周知させるためにも、「見える化」によって得られたデータは強い武器となるでしょう。一般的に、発生している問題を解決すればするほど、事業の運営はスムーズになります。

「見える化」に取り組む際の注意点

「見える化」に取り組む際の注意点

最後に、「見える化」に取り組む際の注意点について解説します。下記のような点に注意を払いつつ、適切な「見える化」を行いましょう。

あらかじめ、部署間のコミュニケーションや意識統一を図っておこう

「見える化」を行う際は、あらかじめ部署間やチーム間でのコミュニケーションや意識統一を図っておきましょう。何を「見える化」するかにもよりますが、場合によっては周囲の協力を仰ぐ必要があったり、各種情報をヒアリングする必要があります。

人によっては、それを「面倒な作業」と見なすこともあるため、事前に「見える化」を行うことによるメリットを周知しておきましょう。そうすることで、「見える化」の必要性を共有し、作業をスムーズにすすめることができます。

必要に応じて専用システムを導入しよう

「見える化」の強い味方となるのが、ITシステムです。一口にITシステムといっても多種様々なものがありますが、データや数字の扱いにかけてはコンピューターやシステムの右に出るものはありません。

データベースにデータを入力すれば必要に応じて整形して取り出すこともできますし、ツールに顧客の購買データを入力しておけば商品開発や販促企画を立てる際に役立ちます。

たとえば、専用システムには下記のようなものがあります。

  • CRM
  • SFA
  • MA

いずれも、「見える化」専門のソフトではありませんが、それぞれの事業内容を可視化することに長けています。有効活用できれば、事業の「見える化」をサポートしてくれるでしょう。

見える化することが最終目的ではない

最後の注意点として挙げられるのは、「見える化することが事業の最終目的ではない」という点です。「見える化」はあくまでも手段の一つであり、何のために行うかというと「望む成果を上げるため」です。

ビジネスにおける「望む成果」とは、一体何でしょうか?その辺りは会社によっても異なりますが、主だったものとしては「財務の改善」が挙げられるでしょう。

すなわち、事業や指標を「見える化」することが売上やコスト減に繋がらなければ意味がありません。その辺りを念頭におき、進むべき方向を誤らないようにしましょう。

まとめ

事業の「見える化」とは、今まで曖昧で抽象的な概念だったものを明確な数値やデータで示すことです。「見える化」が適切に行われると、さまざまな判断の根拠や、従業員の質に依存しない均一的な質を得ることができます。

「見える化」に取り組む際は、注意点をしっかりと吟味し、「何のために行うのか」を見誤らないようにしましょう。場合によっては、専用のシステムを導入することで「見える化」の促進に繋がるかもしれません。

適切な「見える化」を行い、財務体質の改善や業務の効率化を目指しましょう。