肥大化する間接業務はなぜ生まれるのか?複雑な管理体制を見直す方法とは?

業務効率化

間接業務はなくてはならないものですが、あまりに肥大化してしまうと本業の収益を圧迫してしまいます。間接業務の削減に取り組んでいる企業も多いのではないかと思いますが、中には「なぜ間接業務が肥大してしまうのか」「どのように削減すればよいのか」といった点に悩んでいる担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、間接業務が肥大化してしまう理由やそれを見直す方法を事例を交えて解説します。間接業務を適切に効率化し、収益構造の改善を目指しましょう。

なぜ間接業務が肥大化するのか

なぜ間接業務が肥大化するのか

なぜ間接業務が肥大化してしまうのでしょうか。まずは、その理由について見ていきましょう。

多くは組織の成長に伴って

組織の成長に伴って、間接業務が肥大化してしまいます。間接業務というのは「利益に直結しない周辺業務」のことですが、企業が小規模なうちは管理するものが少ないため、本業の片手間に処理できるものが多いのではないでしょうか。

また、管理するものの量だけでなく、組織が小規模な場合は色々と予測が立てやすい面もあります。メンバーはほぼ顔見知りで行動パターンも予測できるため、「この時期はこういった経費が生じる」など、処理を定型に落とし込みやすい面もあるでしょう。

人が増えればルールが増え、間接業務も増える

しかし、組織が大きくなり人が増えるに従い、そうはいかなくなります。人が増えるということは、すなわち組織内に多様な価値観やパターンが生まれることになるため、定型処理の予測がつきづらくなる可能性が高まります。

多様な価値観やパターンを統制するためには、いくつものルールを作る必要があります。しかし、ルールは万能ではないため、例外処理を求められるケースも増えていくのではないでしょうか。

その都度ルールが増え、呼応して間接業務の増大に繋がります。

間接業務の肥大化は収支バランスを悪化させる危険性も

間接業務が肥大することによる問題は、収支バランスが悪化する危険性がある点です。間接業務は利益に直結するものではありませんが、業務である以上相応のコストがかかります。

それを利益の出る部門で補えればよいのですが、バランスが逆転してしまうと「事業は回っているのに赤字」といった事態にもなりかねません。なんでもかんでもコストカットすればよいというものではありませんが、業務の実態に即した規模に収め、必要以上に費用をかけすぎない体質にする必要があります。

複雑化した管理体制を見直すには?

では、次に複雑化した管理体制を見直すための視点をご紹介します。すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、長期的な視座をもって取り組みましょう。

適切なワークフローを構築する

適切なワークフローを構築することで、肥大化した間接業務を改善することができます。ワークフローの構築は肥大した間接業務だけでなく、あらゆる業務を効率化したい時にまず行うべき作業と言えるでしょう。

適切なワークフローを構築するためには、最初に業務の洗い出しを行う必要があります。自社に存在する全ての業務をリストアップし、そこから現在のワークフローを視覚化することで、業務効率化の助けとなるでしょう。

総合的な視点で考える

上述したワークフローの構築もそうですが、間接業務の肥大化を見直すためには総合的な視点で考えることが大事です。施策が功を奏し一見業務が効率的になったように見えたとしても後々大きな負担がかかり、何もしない方が総合的な効率がよかったということにもなりかねません。

総合的な視点で考えるためには、業務やワークフローへの理解が必要不可欠です。自社のどの業務が部署や全体にどのような影響を与えているかをしっかりと知ることで、適切な業務効率化に繋がるでしょう。

一見無駄なように見える業務が実はコアであることは、そう珍しい話ではありません。

システムを活用する

間接業務を効率化する手法として最後に挙げられるのは、システムの活用です。システムを業務に取り入れることにより、従来は人の手で行わなければならなかった処理を自動化でき、結果として間接業務の肥大化を改善できるでしょう。

システムといっても色々ありますが、管理業務の手間を軽減するのであれば、グループウェアや経費精算システムなどがおすすめです。グループウェアで社員間のコミュニケーションや情報共有を効率化すればその分手間が減りますし、経費精算などの定型業務を自動化できれば、その分間接業務を減らすことができるでしょう。

ここでも大事なのは、総合的な視点で考えるという点です。安易なシステムの導入は現場の混乱を招き業務効率が悪化してしまう恐れもあるため、自社の状況をしっかりと分析し、最適なシステムを導入しましょう。

システム活用により間接業務を効率化した事例

システム活用により間接業務を効率化した事例

それでは、最後にシステム活用により間接業務を効率化した事例をいくつかご紹介します。システムを導入する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

システムにより問い合わせ対応の効率化:サッポログループ

サッポログループは、創業140年を超えるサッポロビールなど飲料を主体とした老舗企業です。同社では、社内における問い合わせ対応の多さという問題をかかえており、間接業務の3〜4割が同対応に割かれていました。

そこで社内FAQおよびAIチャットボットを活用し問題解決に取り組んだところ、大幅な時間短縮に成功しました。

システムで間接費を一括管理:島津製作所

島津製作所は、精密機器や計測器などを手掛けているメーカーです。同社は、基盤を導入して経費精算処理の効率化を図りました。

外出先からモバイルを経由して経費精算が可能になったり、クレジットカードの明細から自動的に連携するなどし、手間を大幅に削減。結果として、従業員の生産性向上に成功しています。

経費精算システムを導入し効率化:NEC

NECは電機やITにおけるさまざまな分野で活躍している大手エレクトロニクスメーカーです。同社では、業務改革推進プロジェクトの一環として、出張・経費の精算ができるクラウドサービスを導入しました。

大手企業であることから元々出張や外出などが多かったため、経費精算に多大な手間がかかっていたのが理由です。システムを導入後、出張や外出における間接業務の工数を40%削減することに成功しました。

まとめ

間接業務はなくてはならないものですが、あまりに肥大化してしまうと本業の収益を圧迫してしまいます。間接業務が肥大化する原因としては「組織が大きくなる」「ルールや人が増える」などが挙げられますが、それぞれ適切に対応することが大切です。

間接業務の肥大化を防ぐためには、「ワークフローの見直し」や「システムの活用」が効果的です。ワークフローを適切に構築することで既存業務の効率化が見込めるでしょう。

また、自社業務と相性のよいシステムを導入すれば、間接業務を大きく削減することも可能です。システムを導入する場合は「どのようにワークフローに位置づけるか」や「導入後の課題はなにか?」などの視点を持って行うことが求められます。

また、自社のみでの導入が難しい場合はシステムコンサルティングに相談するという手もあるでしょう。必要に応じてプロの知見を仰ぎ、自社の間接業務効率化を目指しましょう。