定型業務を自動化すれば業務効率化に繋がるのは本当か?その方法とは?
定型業務を自動化することで、大幅な業務効率化が期待できます。しかし、「どんな業務が自動化できるのか?」「自動化するための手順は?」といった点に疑問を持っている担当者も多いかもしれません。
この記事では、自動化しやすい業務とそうでない業務の違いや自動化するための手順を事例を交えつつご紹介します。システマチックな業務を適切に自動化することにより、人の手が必要な業務により多くの時間を割けるようになるでしょう。
それにより、売上や利益の向上が期待できます。
自動化できる業務とできない業務
まずは、自動化しやすい業務とそうでない業務の違いを見ていきましょう。両者の違いを知ることで、「どの業務が自動化できるか」がある程度明確になります。
処理内容が明確に定まっているシステマチックな業務は自動化しやすい
基本的に、処理内容が明確に定まっているシステマチックな定型業務であれば自動化の余地があります。システマチックな定型業務というのは、すなわち「マニュアル化が可能」「誰がやっても品質がさほど変わらない」というものになるでしょう。
もう少し言うと、「属人性が低いもの」になりますが、属人性が低い業務でも柔軟な処理が必要な場合は自動化が難しくなるケースもあります。自動化しやすい業務の一例としては、下記のようなものが挙げられます。
経費精算
経費精算業務は、十分に自動化の余地があります。経費は基本的に自己申告になりますし、申告されたものの処理はどの会社もおよそ定型になっているのではないでしょうか。
システムを利用することで、申告から精算までをワンストップで自動化することが可能です。また、自動化というわけではありませんが、出先からスマホを使って精算業務を行うといったことも可能になるでしょう。
データの集計・分析
データの集計や分析も自動化が可能な分野です。自動化しやすい処理の特徴として、「数値や数式で取り扱うことができる」が挙げられますが、データの集計や分析はそれに大きくマッチします。
入力されたデータを自動的に集計し取り扱いやすい形で保存し、必要に応じて数式や条件から自動的に分析を行う、といった形でしょうか。この場合、人は表示された数字を見て判断を行うだけですみますので、間接的な業務の手間を大きく削減することができます。
柔軟な判断が必要な業務は自動化が難しい
一方、人間による柔軟な判断が必要な業務は自動化が難しいといえるでしょう。たとえば、下記のようなものが挙げられます。
ミーティング
ミーティングを自動化するのはほぼ不可能と言っても過言ではありません。ミーティングの主目的は「決められたテーマや課題について複数人が意見を述べ、最適解を探る」といったものになるかと思いますが、複数人の意見を取りまとめてその中から最適解を探るのはかなり柔軟な判断が必要になります。
自動化するとしたら、あらかじめ複数人が自分の意見や提案を入力しておき、(かなり高度な)AIがその妥協点を探るといった感じでしょうか。現状のテクノロジーではまだ難しい範疇ですが、もしかしたら将来的には可能になるかもしれません。
経営判断
経営判断も自動化するのは難しく、人の柔軟な思考が必要になる業務です。経営判断というのはさまざまな外部要因から自社のポジションを見極め、適切な運営を行うという非常に高度な作業と言えるでしょう。
もしその辺りが機械によって自動化できる時代が到来した場合、人間にできる仕事は残っていないかもしれません。ただ、コアなものではなく簡単な判断、たとえば「収支バランスは問題ないか?」「各コストは適切か?」といったものであればある程度の自動化が可能な面もあります。
定型業務を自動化する手順
それでは、次に定型業務を自動化する手順について解説します。もちろんケースバイケースではありますが、やり方が分からない場合は下記のような手順に沿って行うのがよいでしょう。
業務のフローチャートを作成する
まずは業務のフローチャートを作成します。自分が行っている業務を細かく洗い出し、それぞれの関係性を図で示すのがよいでしょう。
洗い出した業務の中で、自動化できそうなものの検討をつけます。一つの業務を自動化することで前後の業務が影響を受ける可能性もあるので、それを加味しつつ検討することをおすすめします。
どのソフトのどの機能を使って実現するか検討をつける
続いて、自動化できそうな業務に対し「具体的にどのように自動化するのか」の判断を行います。たとえば、下記のような例が挙げられるでしょう。
- 表計算ソフト内の数式や関数を用いて必要な数値を自動計算する
- 規定の処理を行ってくれるマクロやプログラムを組む
- 自動化した処理を定期的に繰り返すスケジューリングを設定する
自分が手掛ける業務全てを自動化できればよいのですが、通常はそうもいきません。「どの業務をどのように自動化するか」について総合的に判断することが大事です。
実行し、PDCAサイクルを回す
業務を自動化するアタリがついたら、実際に自動化手順を実行しPDCAサイクルを回します。PDCAとはPlan、Do、Check、Actionの頭文字をとった言葉であり、「プランを策定しそれを実行しフィードバックから改善を行う」といった処理になります。
PDCAサイクルを適切に回し続けることができればプロジェクトがどんどん改善され、大幅な業務効率化が見込めるでしょう。何事も最初から完璧に上手くいくということはありませんので、仮説を立てて実行しフィードバックから改善を行うプロセスが重要です。
システムの活用事例
では、最後にシステムを活用した事例をいくつかご紹介します。
RPAを活用し、稟議書の作成を効率化:地方金融機関
ある地方金融機関では稟議のための書類を作成する際、その入力項目の多さに多大な時間を費やしていました。そこでRPAツールを導入し自動化できる処理を自動化したところ、年間で3000〜4000時間を削減でき、本来やるべき融資判断業務などに時間を割り当てられるようになりました。
必要な情報を自動で入力:リース会社
あるリース会社では案件管理のための入力項目が非常に多く、また時期も重なっていることから入力業務に多くの時間をとられていました。それを解決するためにRPAツールを導入したところ、案件管理を行うシステムへの入力を8割自動化でき、業務効率化を達成。
その結果、業務負担の減った社員が利益向上に繋がる業務に時間を割けるようになりました。
メールから必要な情報を取得しオートマティックに転記:不動産会社
ある不動産会社ではサービスの利用申請をメールで受け付けており、それを手作業で転記し保存する作業を行っていました。その手間を軽減するためにRPAツールを導入したところ、メールの内容をエクセルに自動転記し、CSV形式に変換してシステムへの自動登録が可能となりました。
まとめ
定型業務の自動化を行うことにより、社員の負担が減り本来やるべき業務に時間を割くことができるようになります。「明確にルールが定まっている」「数値や数式で取り扱うことができる」といった業務は自動化する余地がありますので、業務効率化のためにも一度検討してみてはいかがでしょうか。