システム導入の後は効果測定が必須。重要性や方法、ポイントを解説

システム開発

システムを導入した後は、効果測定を行う必要があります。しかし、「なぜ効果測定が重要なのか」「どのように行えばよいのか」といった疑問を抱えている担当者も多いかもしれません。

この記事では、システム導入における効果測定の重要性や効果測定のやり方、そして効果測定のポイントについて解説します。効果測定を行い、システム導入が適正だったかどうかをしっかりと見極めましょう。

システム導入後における効果測定の重要性

システム導入後における効果測定の重要性

システムを導入した場合、後の効果測定が重要です。その理由を見ていきましょう。

効果測定を行わないと費用対効果が割り出せない

第一に、効果測定を行わないとシステム導入が正しかったのか否かの判断ができません。ビジネスにおける投資は全てリターンを見込んで行うことになるため、「いくら使ってどれくらいの効果が得られたか」が非常に重要な指標です。

この「いくら使ってどれくらいの効果が得られたか」を、一般的に「費用対効果」と呼びます。単純化して説明すると、

  1. 100万円投下した設備から200万円の利益が得られた
  2. 100万円投下した設備から500万円の利益が得られた

この場合、1より2の方が投下した100万円に対する費用対効果が高いことになります。事業を営むにあたり、「いかに費用対効果の高い投資を行うか」が重要です。

効果測定を行うことで、ITリテラシーが向上する

ITシステムに対する効果測定を行うことで、担当者や経営層のITリテラシー向上にも繋がります。正しい効果測定を行えば、「このシステムを導入したことでこれだけの成果が得られた」ということを肌で感じられます。

加えて、「なぜこのシステムでこのような成果が上がっているのか(もしくは、上がっていないのか)」といった部分にまで理解が及ぶでしょう。基本原理が分かれば、「どうすればITを活用してもっと成果を上げられるのか」にも目がいくようになるのではないでしょうか。

PDCAサイクルが自然に形成される

効果測定を行うことで、業務改善の基本であるPDCAサイクルを自然に回すことができます。PDCAサイクルはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返すプロセスのことです。

PDCAサイクルを回すことにより、業務フローが改善され、効率化されることが期待できます。システムの効果測定はすなわちCheckの部分に該当するため、Checkを元にActionを行い、またPlanからスタートすることでシステム全体の改善に繋がるでしょう。

効果測定はどのように行うか

では、次に効果測定をどのように行うかについて解説します。効果測定プロセスの構成はケースバイケースですが、一般的には下記のような流れになります。

チェックリストを作成する

まずは、チェックリストの作成です。ここでは、「どのような項目について効果を測定するか」を定めます。

システム導入における「成果」と一口に言っても、それが意味するところは多岐に渡ります。一番分かりやすいのは「売上(利益)の向上度合い」ですが、業務における成果はそれだけとは限りません。

バックオフィスの効率化やマーケティングによるリード獲得数などはすぐに収益には反映されないかもしれません。しかし、長期的にコストの低下や営業成績の向上などに繋がる可能性があります。

各項目に点数をつける

チェックリストの作成が完了したら、次は各項目に点数をつけていきましょう。点数の範囲は測定精度の高さで決めることになりますが、項目が多い場合は五段階評価にするなど、測定者の負担を増やしすぎないことが重要です。

システムの効果測定は定期的に繰り返すことになるため、負担が大きすぎると継続に支障をきたしてしまいます。また、各項目の点数をつけるのに時間がかかればかかるほど、測定頻度が大きく空いてしまい、実態を掴みづらくなる恐れもあります。

測定が適正かどうか振り返る

一連の測定が終わり評価を行う際、測定自体が適正だったかどうかを振り返ることも大切です。測定そのものが正しくないといくら効果測定を行っても意味がないことになってしまうのですが、人間のやることなのでどうしても完璧にとはいきません。

測定が適正でなかったのであれば、その根拠は何か、そしてどう改善すべきか、などを洗い出すことが重要です。システムの効果測定は一般的に何度も行うことになるため、改善を繰り返し可能な限り適正になるよう努めましょう。

ChatGPTを活用した効果測定の新たな可能性

システム導入後の効果測定において、AIの活用が新たな可能性を広げています。
AIは、膨大なデータを高速かつ高精度で分析し、その中から隠れたパターンや傾向を明らかにする力を持っています。
これを効果測定に応用することで、従来の手法では捉えきれなかった複雑な関連性や影響要因を詳細かつ客観的に把握することができます。

AIを活用した効果測定の一例として、チーム内でChatGPTを利用することを考えてみましょう。
ChatGPTは自然言語処理技術を活用し、テキストデータから意味を理解し、洞察を抽出する能力を持っています。
チーム内で共有されたシステム導入のデータや関連情報をChatGPTに与えることで、システムの効果についての深い洞察を得ることができます。

また、AIは膨大なデータセットをもとに、効果の要因や影響をより詳細に分析することができます。
例えば、顧客の行動データや売上データから、システム導入の効果を特定の要因ごとに分けて評価することができます。
これによって、どの要因が最も効果的かを明確に把握し、次の戦略に活かすことができます。

AIを活用する際には、適切なデータの収集と前処理が重要です。
また、AIモデルのトレーニングや評価方法の検討も欠かせません。
チーム内でAIの専門知識を共有し、具体的な行動計画を策定することで、効果測定の新たな段階への進化を実現できるでしょう。
AIの活用によって、システム導入後の効果測定がより効果的かつ戦略的なものとなること間違いありません。

効果測定を行う際のポイント

効果測定を行う際のポイント

それでは、最後に効果測定を行う際のポイントについて解説します。

評価は可能な限り定量的に行う

システムの効果測定は、可能な限り定量的に行う必要があります。「定量的に評価する」というのは、誰が見ても分かりやすい「数値」や「数量」で評価することです。

評価が定量的でないと、何をもってその評価を下したのかが第三者から見て分かりづらくなってしまうでしょう。「評価者が理解できていればよい」という考え方もあるかもしれませんが、「評価担当者が不在になった際にはどのように測定を行えばよいのか」という問題も生じます。

評価の基準が明確であり、かつ定量的に行われているのであれば、共有もスムーズに進むでしょう。

測定結果をノウハウとして蓄積する

効果測定におけるプロセスや結果をしっかりと記録し、データやノウハウとして蓄積することも大事です。毎回測定方法や項目が大きく変わるようなことはないと思いますが、長い目で見ると変化していくかもしれません。

たとえプロセスが変化したとしても、過去の測定データは有用です。新しく設定した基準や項目が必ずしも適正とは限らないため、過去のデータやノウハウと比較し、「どちらの方が理に適っているか」を見極めることもできます。

もちろん、あるシステムの効果測定を行ったノウハウを別の測定に活用することもできるでしょう。ノウハウを逐一記録するのは面倒かもしれませんが、将来を見据えて習慣化することをおすすめします。

スピーディーな経営判断に繋げられる効果測定を

システムの効果測定は何のために行うのでしょうか。もちろんシステム導入が適正だったかどうかを判断するためですが、本質はそれをもってスピーディーな経営判断に繋げるためです。

システムへの投資が適正であるのなら、同じ要領で他の部分もシステム化した方が生産性が向上するかもしれません。一方、適正でなかったのであれば、ITの活用方針を変更しなければならない可能性も生じます。

ビジネスは選択判断の連続であり、一つ一つの判断が最終的な損益に繋がります。一般的に決断は速い方が好ましいため、効果測定に対し迷いが生じた際には「スピーディーな経営判断の助けになるかどうか」を指針にするのもよいでしょう。

まとめ

システムを導入した際は、必ず効果測定を行うようにしましょう。効果測定を行うことで、システム導入に要したコストに対するリターンをある程度測ることができます。

費用対効果を調べることで、システム導入自体が適正だったかどうかを判断することもできるでしょう。ビジネスにおける投資は全てリターンを期待して行うものである以上、なるべく正しい投資を行う必要があります。