業務の効率化・生産性向上に欠かせない業務棚卸の必要性とその進め方
「業務棚卸」という言葉をご存知でしょうか?業務棚卸を適切に行うことで自社にある業務内容をマッピングでき、業務の効率化に繋がります。
この記事では、業務棚卸の意味や必要性、メリットについて詳しく解説します。業務棚卸への理解を深め、自社の業務をしっかりと見直しましょう。
「業務棚卸」とは?
「業務棚卸」とは、一体どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。まずは、業務棚卸の意味するとことを見ていきたいと思います。
そもそも「棚卸」とは何か?
業務棚卸について解説する前に、まずは「棚卸」についてご説明します。棚卸とは、一般的に企業や組織が持つ商品在庫の数を数え、どの商品がどのくらい棚にあるかを知る作業です。
棚卸を行うことで、正確な商品在庫数を把握し、事業に役立たせることができます。また、商品棚卸作業は決算書作成のためにも欠かせない作業です。
「業務棚卸」とは、社内で行っている業務を書き出すこと
「棚卸」は、一般的に商品の在庫数を数える作業ですが、「業務棚卸」は自社にどのような業務があるかを書き出す作業です。社内で行っている「業務」を「棚卸」するので、業務棚卸と名付けられているというわけです。
業務は商品のように目で見えるものではありませんので、棚卸作業に難航するかもしれません。しかし、商品在庫と同じく自社業務の把握も非常に重要な作業になるため、面倒くさがらず正確に行うことが大切です。
業務棚卸のメリット
では、次に業務棚卸の必要性やメリットについて解説します。業務棚卸を行うことで、一般的に下記のような利点があると言われています。
社内にどのような業務があるかを確認できる
業務棚卸を行うことで、社内にどのような業務があるかを確認できます。「自社で行っている業務なんだから全部知ってて当然」と思う人もいるかもしれませんが、灯台下暗しという言葉もある通り、身近なものは以外と目に入らないことが多いものです。
自社でどのような業務が行われているかが分からないと、生産性向上や効率化の面で問題が生じることになるでしょう。「どの業務がどの程度効率的に行われているか」をしっかりと把握するのが、業務効率化への第一歩です。
どの業務にどの程度のリソースを割いているのかを確認できる
業務棚卸を行えば、どの業務にどの程度のリソースを割いているかも確認できます。こちらも上記同様業務理解を深めるために必要性が高いものであり、「リソースの効率的配分」というビジネスの本旨に近づくきっかけになるでしょう。
業務効率化を適切に行うためには、まず自社の状況を知ることです。社内にどのような業務があり、それぞれどのようなリソースを割いているかをしっかりとチェックしましょう。
効率の良い業務、そうでない業務をチェックでき、生産性向上に繋がる
業務棚卸を行い業務内容や業務リソースを確認すれば、効率の良い業務とそうでない業務を仕分けすることができます。事業をうまく回すためには、効率の良い業務になるべくリソースを割き、そうでないものは最低限のリソースで回すのが鉄則になるのではないでしょうか。
もちろん、目先の利益のみを追求していてはビジネスが頭打ちになってしまいますが、チャンスが転がっているのにアクションを起こさないのも問題です。どの業務にどの程度のリソースを割くべきかは業界や会社の性質によって異なりますので、状況に応じて適切な配分を行いましょう。
業務棚卸の具体的なプロセス
それでは、続いて業務棚卸の具体的なプロセスについて述べたいと思います。絶対というわけではありませんが、下記のようなプロセスに沿って行えば、比較的効率的に棚卸を行うことができるでしょう。
目的を設定する
まずは、業務棚卸を行う目的を設定します。一般的には「業務効率化のため」「業務把握のため」「新しい事業の参考にするため」などが挙げられますが、あらかじめ目的を設定することで、「業務棚卸をどこまで行うか」の目安になります。
たとえば、「業務効率化のための業務棚卸」であれば、各業務の生産状況を綿密に調査する必要性があるかもしれません。対して、「業務把握のため」程度であれば、社内にどのような業務が存在するのかをマッピングする程度で事足りるのではないでしょうか。
業務の実態を調査し、仕分けを行う
次に、業務の実態を調査し、仕分けを行うステップに進みます。前述の通り、自社にある仕事だからといっても、責任者が全てを把握しているケースは少ないのではないでしょうか。
その辺りが明確にならないと業務棚卸の意味がありませんので、まずは業務内容を明確にすることが大事です。そして、どの業務が事業のどこに位置づけられているか、といった仕分けを行います。
各業務を評価し、改善する
業務の洗い出しやマッピングが完了したら、最後に各業務を個別に評価するステップです。評価するにあたっては、「どの業務にどのくらいの時間がかかっているか」「どのくらいのリソースを割いているか」「その結果としての生産量はどのくらいか」などを精査すればよいでしょう。
業務を評価すると、効率の良い業務やそうでない業務が出てくると思います。ここからは各企業の価値観にもよりますが、一般的に効率の良い業務に多くのリソースを充て、そうでないものには最低限の労力を割く、といった風になるでしょう。
また、業務プロセスのムダが見つかった場合は、フローそのものの改善を考える必要性があるかもしれません。
業務棚卸に活用したいツール・システム
では、最後に業務棚卸のために活用したいツールやシステムをご紹介します。
Excel
まずは、表計算ソフトとして有名なExcelです。Excelを活用すれば各業務の詳細データを表にまとめることができ、さまざまな分析を行えるでしょう。それにより、「他の業務と比べてどうか」と比較することも可能です。
時間管理ツール
次に挙げられるのは、時間管理ツールです。時間管理ツールは業務にかかった時間を計測できるものですが、データの積み上げをツールで行ってくれるのが特徴です。自分で時間を計りその都度別のツールに記載して・・・といった手間を省けます。
業務の可視化ツール
業務の可視化ツールも業務棚卸の際に活用したいところです。業務棚卸は、「自社にどのような業務が存在するか」を明確にするために行う作業です。それだけに、各業務のデータや内容が細かくなればなるほど正確性が増し、後から業務効率化のための施策を考えやすくなるでしょう。
専用の業務可視化ツールを使えば、業務にかかった時間や費用(リソース)対効果などを簡単に参照することができます。その結果として、「どの業務にリソースを集約すべきか」という点が明確になるでしょう。
まとめ
業務棚卸を適切に行えば、自社のどこにどのような業務があるかを把握することができます。より精緻に行えば、各業務にかかる時間や費用(リソース)対効果までを割り出すことができ、自社の事業体質を細かく分析することも可能でしょう。
業務というのは必要性に応じて発生するのが自然です。しかし、事業を起こして長い時間が経過している場合は思わぬムダが発生していることもあります。定期的に棚卸を行い、業務効率化に繋げましょう。