チームの作業効率向上の仕事術をIT導入事例を交えて管理職向けに紹介

業務効率化

あなたが管理職に就いているなら、「業務効率化」は働き方改革に関連する一つのキーワードとして、常日頃対峙していることばかもしれません。また管理職であるならば「仕事術」という言葉も身近に感じるでしょう。

チームの作業効率を引き上げるために、本などで仕事術について学んでいるかもしれません。

この記事では管理職の仕事の内容と、効率的に職務を遂行するための仕事術についてまとめていきます。

管理職の仕事とは

管理職は文字通りチームを「管理」するのが仕事です。

管理職はチームの責任者であり、部下の能力を開発・評価しながら、チームを運営していくことが与えられた役割です。ですから、強いリーダーシップが求められます。プレイヤーだった時は優秀な成績を上げていた人が全て、優秀な管理職になれるわけではありません。

管理職が遂行すべき仕事とは、どんなものでしょうか。

目標設定

目標を設定するのも管理職の大事な仕事です。管理職が立てた目標を基に、KPIなどの指標で分析をかけますし、部下の人事評価もおこないます。目標設定にも責任がともないます。

部下への仕事の割り当ても、育成目標を設定した上でおこなければなりません。部下に適切な達成目標を与え、やるべきことを理解させて成長させてあげなければなりません。

適切な指導

部下に対して適切な指導をおこなうのも管理職の仕事です。部下にやる気が無く仕事の方向性が分かっていない時は、上手く動機付けをしてあげることも必要です。そうでなければ、部下はずっと頑張れないままです。

部下が何か察知して欲しいとメッセージを発信していたら、感じ取って悩みを聞き出すことも管理職には求められます。精神的なサポートをしてあげることが必要なのです。そして、常に自分の言動を内省する謙虚さも持ちましょう。

評価・フィードバック

人事・昇進・昇給のために人事評価をおこなうのも管理職の仕事です。不当な評価をして恨みを買わないためにも、日頃からよく部下を観察し、指導すべき点があれば適切な指導をおこなっていなければいけません。人事評価は一方的なものではなく、評価を受けた部下がフィードバックに納得できるものでなければいけないのです。

定例の評価とは別に、定期的に部下の仕事内容を確認し、フィードバックをして意思疎通を図るようにしましょう。そうすれば部下は成長します。

管理職に求められる効率的な仕事術

管理職に求められる効率的な仕事術

部下が上手く育たなければ、シワ寄せはすべて自分にくることになります。部下に仕事を安心して任せられず、いつまでもプレイングマネージャーでいるのは辛いものです。

管理職は「部下を教育する立場」でもあり「部下の能力を開発する立場」でもあります。この点においては、人によってかなり能力差が出てしまうと思われます。部署の雰囲気も良くし、確実に部下の能力も育てられるような仕事術は存在するのでしょうか。

情報公開(議事録はすぐ共有)

会社は組織で動いているので、不信の雰囲気が芽生えやすいといえます。もし不信の雰囲気が芽生えたら、自分は上司として部下に十分な情報公開をおこなっているかを振り返りましょう。部下というものは、情報が十分に共有されていれば余計なことを思いめぐらさなくなるものです。

ホットな情報は素早く伝えるように心がけましょう。朝礼を使ってフェイスツーフェイスでも良いです。また、グループウェアで議事録をシェアしたり、重要な内容はログを残したりするのも良いので、常日頃から心掛けましょう。

部下のスキルの見える化(部下別習得度チェック表など)

部下のスキルを見える化(部下別習得度チェック表など)

出典:中小機構

ワークシートを活用し、部下の能力を見える化します。「部下別習得度チェック表」や「スキルマップ」を作成するのも良いでしょう。また、マニュアルが未整備の場合は、業務の標準化を図るためにマニュアルの作成を急ぐ必要があります。

部下の習得度を見える化することで、業務の属人化を防ぐだけでなくプレーヤーを増やすことができます。また、自分の権限を委譲する際に参考資料にすることができます。

権限委譲できる社員の育成(スパン・オブ・コントロールの拡大)

スパン・オブ・コントロールとは、「管理限界」や「統制範囲」とも訳されます。一人の管理職が何人までの部下を持てるのか、を表した言葉です。

会社が急成長を遂げており部署が拡大している場合などは、今後の会社の発展のために部下を選んで「権限委譲」をおこなわなければいけない場合もあります。管理職は、権限委譲できる社員を選んで育成できなければなりません。権限委譲をおこなうことで管理職の負担は軽減され、スパン・オブ・コントロールは拡大するのです。

管理職向けのIT導入事例

管理職向けのIT導入事例

様々な責任を担う管理職の重責を軽減してくれるもののひとつに、ITツールがあります。以下では、ITツールの導入によって、管理職のミッションである「チーム全体の作業効率の引き上げ」に成功した事例を紹介します。

管理職には、職務を全うするための仕事術があることを解説してまいりましたが、それらの仕事術はテクノロジーの力を借りるとより強力になり、より最適なソリューションになります。その事例ですので、参考になれば幸いです。

現状の見える化で売り上げが13億まで回復:大東亜窯業株式会社

大東亜窯業株式会社は和食器メーカーで長年安定した市場を形成してきましたが、生活スタイルの変化とアジア勢の台頭で危機を迎え、国内需要が半減してしまいました。社をあげて経営改革に取り組んだ頃、IT経営応援隊の経営者研修会に足を運んだことから、専門家の手を借ります。

社の現状を見える化し共有すると、全社員が現状を知ることで現場の雰囲気が改善しました。データ分析から新製品のライフサイクルは10年と知り、少ロット対応と納期遵守、新商品開発をおこなったところ、売上を13億円まで回復しました。

アウトドアで働き方改革を事業化:スノーピークビジネスソリューション

スノーピークビジネスソリューションはアウトドア用品とITの企業が共同設立した新しい会社です。当初マイクロソフトが発表した「デバイスフリーの戦略」に賛同しOffice 365の販売を主軸にしていましたが、社内でまず試みた働き方改革の提案や「働き方や人間関係の構築」支援を事業化しました。今では働き方改革取り組み方の伝授まで依頼されます。

ついには社員の意識改革や風土づくりのヒントを「アウトドアオフィス」に見出し、事業化。定期的にキャンプをしながら働く同社は、社員が考えを共有できなんでも社長に提案できる環境を見事に作り上げています。

AIによる生産計画予測の最適化を目指す:株式会社オーカワパン

株式会社オーカワパンは、データ活用による顧客のニーズ実現と、AIによる生産計画予測の最適化の将来的な実現を目指しています。同社は当日の売行きから翌日の製造を決めるスタイルですが、この複雑な条件下での生産管理をAIに託すシステムの構築を2017年よりスタートしました。

県の「IoT・AI等導入促進事業補助金」に採択された背景もありますが、この取り組みの主眼は単なる業務効率化ではなく、顧客が喜ぶ価格や商品の実現にいかに応じられるか、です。

ITを導入することによる包括的なメリット

続いて、ITを導入することによる業務への包括的なメリットをいくつかご紹介します。

業務効率化に繋がる

ITを導入することで、業務効率化に繋がります。現代では働き方改革やテレワークなどにより「労働生産性の向上」が声高に叫ばれていますが、ITシステムはそれを強くサポートしてくれるでしょう。

具体的には、下記のような効能をもって効率化を図ることが可能です。

  • 手動業務の自動化
  • 根拠の定量化
  • 業務の可視化

従来人の手で行っていた業務をシステムにより自動化することで、効率化に繋がるでしょう。空いたリソースはより人手が重要なところに回せば、事業の持続性を高めることができます。

また、業務を可視化することで「今何が起きてるか」を一目で把握することができるようになります。それにより、マネージャーが的確な判断を下せるようになったり、あるプロセスからの結果を数多く蓄積することも可能です。

さまざまな判断を定量的に行える

ITシステムはさまざまなデータを収集蓄積するため、判断の根拠を定量化できます。定量化することでキーマンを説得しやすくなったり、他にも「(数値が)○○以上の時はプランA、未満の時はプランB」といった分かりやすい方針を立てることもできるでしょう。

また、定量化されたデータがシステムに積み上がることになるため、判断の根拠が時間経過とともに増えていきます。膨大なデータを業務活用するには適切な整理・分析が必要ですが、正しく扱うことができればこの上ない武器となるでしょう。

知識やノウハウを目に見える形で集約できる

ITシステムを駆使することで、知識やノウハウを目に見える形で集約させられます。従来、業務にまつわる知識やノウハウは業務担当者個人に集約されることが多く、特定の人員がいないと仕事が回らないといったケースもあったのではないでしょうか。

ITシステムを活用することで、そういったリスクを軽減させることができます。属人性を100%排除することは難しいですが、業務のハウトゥーを個人でなくシステムに蓄積することで、誰でも閲覧することができるようになります。

必要に応じて参照すれば、ある程度の知識やノウハウを組織全体で共有できるでしょう。「特定の担当者がいなくとも顧客の置かれてる状況を把握し、適切に対応できる」などが可能になります。

テレワークなど、業務の柔軟性が向上する

ITシステムを適切に活用すれば、業務の柔軟性向上が見込めます。現代ではテレワークなど新しい働き方が増えてきており、状況に応じて対応することが求められています。

クラウド型のITシステムを活用すれば、どこからでもインターネットを通じてアクセスが可能です。もちろんセキュリティなどの問題もありますが、現代においてなくてはならない機能・概念と言えるでしょう。

チームコミュニケーションの促進に繋がる

ITを駆使すれば、チームコミュニケーションの促進に繋がります。仕事によっては「チーム内のコミュニケーションは最低限で構わない」というケースもあるかもしれませんが、多くはコミュニケーションが円滑であればあるほど生産性向上に繋がるのではないでしょうか。

メンバー間のコミュニケーションを促進することで、新しいアイデアも生まれやすくなります。実行に移すかどうかは別として、新しいアイデアや価値観が生まれてこない組織は硬直化しやすく、市場環境に取り残されてしまう恐れがあるでしょう。

特にテレワークにおいてはチャットツールやテレビ電話などを活用し、チームコミュニケーションの円滑化に努める必要があります。

まとめ

管理職には強力なリーダーシップが要求されます。新興産業国が台頭したり、円高になったりという危機も、適切な判断で乗り越えなければなりませんが、事例の中にはデータ分析が会社の取るべき施策を教え、業績回復に導いた例もありました。

また、理想の生産管理にAIの力を採用する会社もあれば、新顔のITツールを全て使い倒した先に、内外共の働き方改革を「アウトドアオフィスの提供」に見出した会社もありました。管理職のミッションを全う、模索した先に、会社が提供できる更なる価値に出会っている興味深い事例といえるでしょう。