時間管理と仕事の関係とは?個人や組織で行う時間管理方をご紹介

業務効率化

時間の使い方で仕事の結果が変わってくる。そんなことは誰もが知っている話です。しかし実際には長時間労働をしている人が仕事をがんばっている。そんな考えを持った人も少なからずいらっしゃることでしょう。

この記事では、ビジネスシーンで必要となる時間管理と労働生産性の関係から、個人単位や組織単位で時間管理をどのように行えば良いのかについて紹介していきます。

労働時間と生産性の関係とは

「働き方改革」という言葉が現実的な時代です。まずは大企業への導入ということですが、近い将来中小企業への導入が始まることは間違いありません。

まずは働き方改革で浮き彫りになった「長時間働くこと」と「仕事の生産性」の関係について見ていきましょう。

労働時間と生産性は比例しない

日本では次のような価値観が、今でもあります。

「長時間働いている人が仕事ができると評価されやすい」

確かに長時間(残業時間)働くことで、多くの会社員は残業手当を手にすることができます。そして残業手当は、毎月の収入(生活費)に無くてはならない賃金の一つだと言えます。

このような習慣が根付いているため、残業せずに仕事を終わらすという計画が低く、残業込みの長時間労働で仕事を完了させようとする人がいます。

また、会社によっては仕事の内容とは関係なく

  • 上司や先輩が帰らないから帰りにくくて残業している
  • みんなが帰らないから一緒に雰囲気で残業している
  • 単純に生活費に残業手当が必要だから残業している

こういった、無駄な残業を行っているところもあります。そこでこの状態を「働き方改革」では抑制しようとしています。

では、労働時間を抑制した場合には、仕事の生産性も比例して低下するのでしょうか。確かに時間当たりの生産性が今後も同じであるならば
「労働時間が減少する=生産性が低下する」となり比例する関係となります。

しかしこれは時間当たりの生産性が同じであった場合であり、現実的には時間当たりの生産性が変化しないということはありません。ですから企業における労働時間と生産性の関係は、必ずしも比例するとは言えないのです。

生産性を高めるポイント

企業が時間当たりの生産性を高めるためには、どのようなポイントに注意すれば良いでしょうか。

(1)これまでと同じように無駄を排除する

生産性を高めるためには、欠かすことの出来ないポイントです。無駄なことは排除していかないと、よくわからない作業や手続きばかりが増えてしまい、一つの仕事を完了するまでに、驚くような承認決済申請を繰り返すことになります。

(2)100%の効率化を目指さない

効率化を進めるためにシステム導入を検討される企業もあります。しかし実際に検討してもシステム導入に踏み切らないところもあります。この理由は非常に簡単な結論です。

「システム導入しても全ての課題が100%解決できないから」

たとえ、全体の課題の70%が解決できたとしても、残りの30%が解決できないのなら、何もしないという行動です。完璧を求めるのはビジネスで正しい決定ですが、そのために70%の効率化を無駄な作業のままにすることで、本来なら定時で終われる仕事を残業で対応しているということもあります。

個人でできる時間管理術

個人でできる時間管理術

それでは個人が生産性を高めるためにできる時間管理術について紹介していきます。いきなり企業全体の長時間労働への考え方を変えることは簡単ではありませんが、個人ができることから始めることで、ゆっくりと確実に全社に伝わっていくことでしょう。

仕事を見える化する

個人ができる時間管理術の1つ目は、あなたの仕事の見える化です。あなた自身の1日のタスク、1週間のタスクを頭の中だけではなくスケジュールとして見えるようにすることです。

やるべきタスク、やりたいタスク。自分がやらなくても良いタスク。実は誰もやらなくて良いタスク。こういった内容を洗い出します。洗い出すことであなたのタスク量が理解できるようになり、全体的に余裕があるのかそうでないのかが見渡せます。

その結果、仕事に使える時間がどれだけあるのかが簡単にわかるようになります。まずは決まっているタスクや予定のタスクを洗い出しましょう。

仕事に優先順位をつける

洗い出したタスク(仕事)全てが最優先事項ではありません。タスクには次の4つの優先順位をつけることができます。

(1)緊急で重要なタスク

これは絶対に手をつけないといけないタスクです。手をつけないことで、あなたの信頼が失われ、ほかのメンバーに迷惑がかかる可能性があります。

(2)重要ではないけれど緊急なタスク

「とにかく急ぎ」という仕事です。このようなタスクは頭で考えることが少ないですから、如何にして短い時間で対処するかになってきます。

(3)緊急ではないけれど重要なタスク

今日明日ではない。でも2週間後、3週間後に必要なタスクです。こういったタスクは、じっくりと確実に勧めていくことが大切です。

(4)緊急でも重要でもないタスク

私たちに最も多いタスクがこれです。このようなタスクは「やらないタスク」に決めましょう。

納期を明確にする

優先順位を決めたタスクへ納期を決めましょう。人間とは不思議なもので、納期がないと手をつけようとしません。いつまでも手をつけず、やっと手をつけてもダラダラやるばかり。自分の仕事が速いのか遅いのかもわかりません。

1時間や2時間で終わるようなタスクでも、1日や2日で完了できる短期間で終わるようなタスクでも、かならず納期を明確に決めることが必要です。

自分が使える時間を知る

見える化したタスクを優先順位と納期を考えながら、カレンダーやスケジュール帳へ書き込んでいきます。

時間に余裕のない日もあるでしょう。そういった場合には、他の日に振り替えられないか検討します。または、優先順位の低いタスクを捨てるというのも方法です。

時間は誰もが同じ24時間です。同じ24時間ですから重要で必要なタスクをこなすことが大切です。

組織でできる時間管理術

組織でできる時間管理術

続いて組織でできる時間管理術を見ていきます。時間管理は組織の中で共有され、お互いのタスクや時間の使い方を知ることから、効率化へ進むことができるのです。

時間管理アプリを使う

時間管理を行うために、組織で便利なのが時間管理アプリです。iPhoneやAndroidに対応したもの、パソコンでも動くものなどがあります。

代表的なアプリですと、Googleカレンダーを共有して使うことで組織のメンバーの動きから今後の進捗を予測することができます。

部署やチームによってはパソコンやスマホを使えないこともあります。そういった場合は、紙にカレンダーを書いて管理することも可能です。

RPAで自動化し時間を予測する

現在注目されているRPA(Robotic Process Automation)によるタスクの自動化は、組織の時間管理を楽にしてくれるしょう。

例えばRPAによってこれまで毎日1回30分掛けて手作業で行っていたエクセルシートの集計作業が一瞬で終わるのなら、「30分×20日=600分」という計算から導くと、10時間の工数減少が実現できます。これは労働時間は変わらず、生産性だけがアップする方法です。

社内でスケジュール管理を共有する

社内でタスクを共有管理すると、他の人も「そろそろ終わる頃だな」とわかるため、次のタスクに関して相談しやすくなります。組織によっては、毎朝「今日やるタスク」を社内の時間管理共有システムに投稿し、帰宅前には実績を入力するというところもあります。

これは他の人への情報共有や集中力を高めるという面もありますが、実は自分自身がどれだけ限られた時間の中で生産性を高められているのかを判断する材料になります。

これまでの習慣で残業をしても労働時間ばかりが増えるだけで、思っているよりも生産性は高まっていません。

まとめ

今回ご紹介しましたように、まずは個人で時間管理をスタートしてみましょう。その先に組織での時間管理を導入しましょう。さらにシステム化することで無駄が省け、生産性をより高める活動へとつなげることができます。

あなたが使える時間は決まっています。その中で何を優先し、どのような仕事をするのかを明確にすることで、労働時間はこれまでよりも少なく、生産性はこれまでよりも高くできるのです。

残業を減らし、プライベートにも仕事にも余裕のある充実した暮らしを手に入れましょう。