業務効率化とリスク管理の両立で会社は成長する

業務効率化

少子高齢化。人材不足。多くの中小企業が人手不足という問題に直面しています。政府も「働き方改革」を実施することで、働きやすく暮らしやすい社会をつくり、人手不足を解消しようと考えています。

このような国をあげての取り組みは必要ですが、私たちがもっと現実的に人手不足を解決するためには、業務効率化は欠かせません。しかし大手製造業で起こったように効率化だけを進めると、今度はリスク管理が手薄になり、大きなしっぺ返しを受けることにもなりかねません。

そこで今回は、効率化とリスク管理を両立するポイントについて紹介していきます。

業務効率化で失敗しない方法とポイント

業務効率化の目的をご存じでしょうか?最終的な目的は経費を削減し、利益アップにつなげることです。この目的を成功させるためには、次のポイントをおさえておかないと失敗することになります。

効率化の規模と方法を合わせる

業務効率化をスタートしても失敗する会社が後を絶ちません。この原因の多くは、大きな会社が導入した実績を信じ、自分の会社の組織規模に合っていないITシステムを最初から一気に導入することから起こります。

会社によって社員の知識やスキル、組織の風土や規模、会社全体の行動スピードや拡大スピードはすべて違っています。この違いを無視し、大手企業が導入することで大きな効率化を実現したと言われているシステムを導入すると、結局は誰も上手に使えないだけで終わることが多いのです。

業務効率化を行うには、システムを一度に全社へ導入するだけで成功はしません。社員のレベルに合わせ、組織が受け入れられる範囲を見極め、会社全体のスピード感に合ったITシステムなり、ルールなりを活用することが大切です。

システム導入で自動化を考える

少し出てきました「ITシステム」の導入によって業務効率化する方法。同じ仕事(処理)を繰り返すことが多いのなら、そういった部分だけでもITシステムを導入することで、業務効率化が行えます。

システム導入し自動化することで、入力ミスや転記ミスなどを軽減することができます。また、一人で60分掛かっていた作業が、ITシステムで自動化すると数秒、長くても数分で終わってしまうこともあります。

  • 決まった計算をする
  • 決まったタイミングでメールする
  • 複数社から到着する注文内容を、自社のテンプレートへ置き換える

上記のような決まりきった作業はITシステムの得意分野です。定型業務を見つけITシステム導入できないか考えてみましょう。

現場の声などを聞き準備する

業務効率化というものは、従業員からすると「仕事がなくなる」「給料が減る」「面倒くさい」というイメージを持っている方が多いものです。そのため、強烈すぎるトップダウンで業務効率化を行うと、現場レベルで反発をうけることもあります。

業務効率化をスタートする場合には、現場の声を聞き、安心してもらえる情報を提供し準備を忘れないことです。また、改善方法をコンペ形式にし、従業員から良いアイデアを募集し採用されれば賞金というような方法で、従業員全員を巻き込んでいく仕組みを考えることが必要です。

リスク管理で失敗しない方法とポイント

リスク管理で失敗しない方法とポイント

業務効率化を進めると、これまでの品質を保てなくなる会社もあります。もし保てていないのに無視し続けると、いつの日か謝罪会見を行うことになるかもしれません。

そこで業務効率化と対で考えておかないといけないのがリスク管理。まずリスクには種類があることから説明していきます。

見えるリスクと見えないリスクを知る

リスクには2つの種類があります。

  1. 見えるリスク
  2. 見えないリスク

見えるリスクとは、あなたが今の会社で「危ないな」「○○やっておかなくちゃ」と気になるリスクです。見えないリスクとは、あなたが今の会社で関係性が薄いため知らないことです。

見えるリスクは誰でも指摘できますし、どうやるのかを提案することができます。しかし見えないリスクは自分の知らない世界なので、考えることすらできません。そこで私たちは常に「自分の知らないリスクはあるのではないか」と自分に質問することが大切です。

管理が目的になり手続きを複雑にしない

リスク管理を考え始めると、誰かが「複雑な手続き」へと引っ張ってしまうことがあります。リスクを下げるための施策なのに、リスクを管理することばかりが目的になり、必要ではない手続きが増えることもあります。

資料すべてに判子がいる。上長決裁が3つ以上必要。手続きが完了しないと資料作成は不可。ビジネスという視点から考えると、誰が得をするのかわからない手続きが要求されることもあります。常にリスク管理は、複雑な手続きになっていないかチェックすることが大切です。

リスクによる影響を明確にする

リスク管理が失敗する原因には、リスクがどういった影響を社会や会社へ与えるのか、実感が薄いため守らないということもあります。小さな1つのリスクが出ることで、どういった対応が求められ、そのためにいくらの費用が必要なのか。

従業員全員が当事者として影響度を知ることが重要です。

  • 社員証を電車でなくしたらどのような影響があるのか
  • ノートパソコンを電車で眠っている間に盗まれたら、どのような影響があるのか
  • 個人情報を私用のスマホへ取り込むことで、どのような影響があるのか

あなたの会社で起こりえる事実を伝えることが必要です。

業務効率化とリスク管理で会社を成長させる方法

業務効率化とリスク管理で会社を伸ばす方法

業務効率化とリスク管理がバランスよく実現することで、会社の業績を伸ばすことができます。
これは当然のことですね。業務効率化を行うことで必要のない費用が削減できます。費用を削減しながら、リスク管理を徹底することで、これまでと同じ品質をキープしたまま、会社としての社会的ポジションを有利な方向へ築くことができるのです。

人材不足でも慌てない標準化推進

仕事の内容を少しずつ標準化しましょう。標準化するということは、

  • 決まった作業になるため効率化が進む
  • 決まった作業になるためリスク管理がしやすい

そして、人材不足のときに未経験で新しい人が入ってきても、標準化出来ているので、すぐに仕事を覚えてもらえることでしょう。業務効率化とリスク管理のバランスがとれた状態が理想です。

分業を見直し効率化とリスクを軽減

分業は効率的でリスクを減らすことができます。しかし、このような効果を発揮できるのは、工程の長い仕事、誰にでもできる単純な作業の場合です。反対に、工程が短い仕事、複雑な作業の場合に分業を行っているのなら、見直すことで効率化やリスクを減らせるかもしれません。

  • あっちへこっちへ仕事を移動する時間がなくなります
  • 戻りや伝達ミスが減ります。
  • 責任感が増します

分業がすべての仕事や作業で効果を発揮するものではありません。分業を実施しているのに効果が感じられないのなら、一度分業を見直してみてください。必要ないのに分業しているかもしれません。

同じような仕事は専門部署で実施

「毎月月末だけ発生する希な仕事がある(意外に時間がかかる)」
「月初めだけに発生する手間の掛かる仕事がある」
「15日と25日だけに発生する他部署がやった方が良い仕事がある」

こういった希な作業ばかりを専門に行う部署を置くことで、全体の効率化とミスや漏れの防止(リスク管理の単純化による軽減)が期待できます。

また、各部署で同じような仕事をしているのなら、効率化のためにも専門部署で一括して作業するという方法もあります。

まとめ

業務効率化とリスク管理の両立が会社の未来を明るくします。無駄をできるだけ省き、リスクを一元管理することで社会的にも信用され、事業そのものを追い風に乗せてくれることでしょう。

もし、あなたの会社だけでは業務効率化やリスク管理が進まないと感じておられるのなら、専門的なスキルを持った会社へ外注することもできます。こういった方法も検討してみてください。