自分で構築できるネットショップにはどんな種類がある?種類ごとのメリットデメリットをご紹介

ビジネス

最近、コロナウィルスによる自粛の影響で、ネットショップ(ECサイト)の普及が増加傾向にあります。

また、実店舗の大型ショッピングモールの売り上げが8割減少しているのに対し、ネットショップでは受注が多すぎて捌ききれないという状態になっています。

このような状況から、「自社にもネットショップを導入しよう!」と考えている企業が沢山あるようです。

この記事では、自分でネットショップを構築しようとしている人に向けて、構築できるネットショップの種類について解説をしていきます。

対象となる読者は以下のような方です。
  • 自社でネットショップを構築したいと思っている
  • ネットショップについて知りたい
  • 構築できるネットショップの種類を知りたい
本記事を読み終えた後、ネットショップを自分で構築するとなった際の明確なイメージが持てるようになります。

ネットショップの種類

ネットショップ(ECサイトとも呼ばれます)を自分で構築する際に、どのような種類があるのでしょうか。

ネットショップを構築するとなると、以下のような種類が挙げられます。
  • ASPカート
  • パッケージ
  • クラウドEC
  • オープンソース
  • フルスクラッチ
それでは、1つずつ具体的なサービスを交えて解説していきます。

 

ASPカート

成功事例

ASPカートとは、「ApplicationServiceProvider」の略です。

ネットショップ運営のプラットフォームを提供している企業から、月額料金や販売手数料を払うことで利用することができます。

金額も、無料~数万円など、幅が広いです。

メリット1.簡単にネットショップが構築できる

メリットとしては、初心者でも簡単にネットショップが構築できることです。

まずはお金を掛けずに、手軽にネットショップを構築してみたい方にはうってつけです。

メリット2.初期費用が安く済む

ASPカートでは、月額のプランによって出品可能な商品数や機能が制限される仕組みになっています。

中には、出品できる商品の制限が無く、月額の利用料金も掛からないASPカートもあるため、初期費用が安く済みます。

また、既にテンプレート化されているネットショップを利用することでネットショップが構築できるので、サーバを準備する必要もありません。
この部分も初期費用が安く済む理由となっています。

メリット3.保守が必要ない

自社用に構築したネットショップを運営する場合、システムの保守作業が発生してきます。

この保守作業とは、定期的なサーバのメンテナンス、ネットショップの改善、障害発生時の対応などが該当します。

ASPカートでは、基本的な部分を管理しているのは運営側の企業となりますので、サーバのメンテナンスや障害発生時の対応などは全て提供側が負担してくれます。

デメリット1.カスタマイズに制限がある

ASPカートには多数のテンプレートが有り、その中からデザインを選択するため、簡単に見栄えの良いネットショップを構築できます。

しかし、その裏返しとして高度なカスタマイズは不可能です。

ネットショップではデザインが非常に重要になってきます。
(ここでいうデザインとは、見栄えだけではなく操作性も含んでいます。)

見栄えが良くなかったり使いにくいネットショップはそれだけで顧客の購入意欲を削いでしまいます。
デザインがきっかけで機会損失が発生してしまう可能性もあります。

最適なデザインにするために各企業は自社向けに様々なカスタマイズを施しているのですが、ASPカートでは高度なカスタマイズは不可能となっています。

デメリット2.場合によってはランニングコストが高くつく

ASPカートの提供業者は月額費用の他に販売手数料で利益を出しています。

ネットショップを始めたばかりで販売数量が少ないうちは良いかもしれませんが、起動に乗ってきて大量の商品が売れたとなった場合、手数料は無視できないような金額になります。

ASPカートでの収益が軌道に乗り始めてそのままASPカートを利用していると、結果的にランニングコストが大きくなってしまう可能性があります。

デメリット3.プランによっては機能に制限がある

ASPカートは様々な月額プランが用意されていますが、安いという理由で最安のプランを選択してしまった場合、思うような機能が利用できない場合があります。

基本的な機能はどのプランでも利用可能です。しかし、最安のプランでは機能が制限されているが故に、かゆいところに手が届かないという状況に陥りがちです。

ECパッケージ

社内のインフラ整備を行う重要性とポイントを実例つきで解説

ECパッケージとは、ネットショップを構築する為のソフトウェアのことです。

似たような言葉として、後述しているクラウドECがありますが、クラウドECとの違いは提供方法の違いです。

パッケージ型はディスクなどのメディアからソフトウェアをPCにインストールすることで、構築する環境を整えます。

対してクラウドECはクラウド上(ネット上)からソフトウェアを利用して構築していきます。

メリット1.カスタマイズの自由度が高い

パッケージやクラウド型のメリットとしては、なんと言っても自由度の高さです。

一般的にテンプレートが決められている場合、構築は簡単でも自由度が低いというデメリットがあります。

その分、パッケージやクラウド型では自社の業態に合わせたカスタマイズが可能となり、結果的に収益を最大限に伸ばすことが可能となります。

メリット2.専門の業者に委託することが出来る

広く普及しているパッケージソフトであれば、技術者の調達も容易となります。

パッケージを利用して多数のネットショップを構築してきた業者を見つけることが出来れば、非常に心強い味方になってくれるでしょう。

これまでの経験から、最適なネットショップの構築を提案してくれるはずです。

デメリット1.初期費用が高くつく

パッケージ型とは、買い切り方という意味ですので購入する際の初期費用が高くついてしまいます。

また、自分で構築するとなった際、専門的な技術や知識が無いと構築が難しくなります。

その場合は専門の業者に構築を依頼することになるのですが、
  • パッケージの費用
  • 構築の費用
の両方が初期費用として発生します。

デメリット2.保守が発生する

ネットショップの構築後は保守作業が発生してきます。

保守作業の具体的な内容は

  • サーバなどのインフラ面のメンテナンス
  • ネットショップの改善
  • 障害発生時の対応

マニュアルにトラブルシューティングなどの対策法が記載されている場合もありますが、根の深いシステム障害が発生した際はITスキルが必須となってきます。

ただ、専門の業者に構築を依頼している場合ですと月額の保守費用を払うことで保守も請け負ってくれる業者がいます。自社に保守作業を行うリソースが無い場合は専門業者に保守を依頼をするのも1つの手です。

デメリット3.構築環境やサーバを準備する必要がある

パッケージ型は物理的なソフトになりますので、必然的にインストールする為の環境が必要になります。

また、構築した後にネットショップを運営していくサーバも必要となります。

月額で利用できるサーバも多数存在しますが、パッケージ型だからといって費用が掛かるのは初期費用だけではないことに注意が必要です。

デメリット4.定期的なアップデートを行う必要がある

ネットショップは流行り廃りの激しい業界ですので、一度構築したネットショップは定期的にアップデートしていく必要があります。

状況にもよりますが、構築してから3年以内には大幅なアップデートを施す必要があります。

また、アップデートをする必要があるのは流行りだけの問題ではありません。

アップデートせずに長年利用しているシステムは、セキュリティのリスクが非常に高くなります。

そのようなシステムは悪意のある人間の恰好の的になりますので、やはり定期的なアップデートは必要不可欠といえます。

クラウドEC

社内インフラを整備し、業務最適化に繋げた事例

クラウドECとは、前述したパッケージ型のネットショップとは以下のような点で違いがあります。
  • サブスクリプション(月額性)で利用できる
  • クラウド上(ネットワーク越しに提供)で利用できる為、サーバなどのインフラを準備する必要が無い

流行り廃りの激しいネットショップ業界ですので、パッケージよりもクラウドECを利用している会社の方が多いです。

ここまで見ると、ASPカートと似ていると思われる方がいるかもしれません。
厳密にいうと、ASPもクラウドも同じ意味で扱われます。

従って、ASPカートもクラウドECと定義することができます。

ただし、ネットショップ業界ではASPカートとクラウドECは区別されています。
ちなみに、本記事での位置づけとしては
  • ASPカート…技術が無くてもネットショップを構築できるサービス
  • クラウドEC…クラウド上のプラットフォームに対し、技術ありきでネットショップを構築する

という風に区別しています。

では、クラウド型のメリットとデメリットについてご紹介していきましょう。

メリット1.常に最新のバージョンが利用できる

ネット上で提供されているので、システムのバージョンアップが発生した場合も半自動的に行ってくれます。

定期的なアップデートを自社で行う必要が無い分、自社では集客や商品開発に注力できます。

メリット2.パッケージに比べると初期費用が安い

クラウド型は、買い切り方のパッケージとは違い月額性ですので、初期費用が安く済みます。
また、サーバなどのインフラ面もクラウドECの提供者側で負担してくれます。こういった面も初期費用が安く済む理由となっています。

メリット3.サーバを準備する必要が無い

クラウド型はサーバなどのインフラ面も提供してくれますので、ネットショップ運営側でサーバを準備する必要がありません。

また、サーバを用意する必要が無いということはサーバのメンテナンスなどの保守も発生しない為、ネットショップの運営に注力することが出来ます。

デメリット1.構築には技術が必要

クラウド型は月額費用を払っている為、サポートが手厚いです。
しかし、あくまでもネットショップを構築する為のツールを提供してくれている状態ですので、構築やカスタマイズする上では技術が必要となってきます。

デメリット2.月額費用がASPカートよりも高くなる

ASPカートでの平均的な月額費用は0円~数万円です。

一方、クラウドECでの平均的な月額費用は数十万円~となります。

ASPカートでは商品の販売手数料を徴収しているため月額費用は安く済みますが、クラウドECではプラットフォームの提供とサポート費用を合わせた金額で利益を出しているため、必然的に月額費用が高くなってきます。

オープンソース

オープンソースとは、基本的に誰でも無料で利用できるソフトウェアになります。
また、誰でもカスタマイズして再配布して良いという特徴があります。

メリット1.基本的に無料なので初期費用が安い

オープンソースは基本的に無料でダウンロードが出来るので、初期費用が非常に安く済みます。
また、無料だからといって機能が少ないということはなく、有料級の機能が構築できるオープンソースソフトウェアもあります。

 メリット2.カスタマイズが豊富

オープンソースはソースが公開されている為、ソフトに直接的にカスタマイズを施すことが可能です。

また、再配布が可能という特徴もある為、別の会社がカスタマイズしたソースをダウンロードして利用することも可能です。

このように、オープンソースは世界中の利用者の相互扶助の関係で成り立っています。

メリット3.ソースが公開されているので信頼性がある

「ソースが公開されていることが信頼性に関係があるのか?」と思われる方もいらっしゃると思います。

パッケージソフトなどは、商用で販売している製品ですのでプログラムソースが公開されていません。

プログラムソースが公開されていないということは、どのようなプログラムが組み込まれているか分からないということです。

ほぼ無いと思いますが、プログラムソースの中に会社の重要事項を盗み出すプログラムが無いとも言えません。

また、世界中誰でもソースコードを閲覧できるので、どこかの優秀なプログラマがセキュリティ上の脆弱性を発見し、修正したうえで共有してくれます。

ソースコードが公開されていない場合ですと、提供側のIT部門の人間が脆弱性を発見しない限り、対策はされません。

このような背景があるからこそ、オープンソースは信頼性が高いとも言えます。

デメリット1.サーバを準備する必要がある

オープンソースはダウンロードしてサーバにインストールする必要がありますので、インストールするサーバも必要になってきます。

ただし、EC-CUBEというソフトはオープンソースですが、クラウド版も存在します。

クラウド版なので、サーバの準備やメンテナンスの作業も発生しません。

また、クラウド版からオープンソース版への移行も可能ですので、最初はクラウド版から初めて、起動に乗ってきたらオープンソースに移行する方も多いようです。

デメリット2.保守が発生する

パッケージ版と同様、オープンソースでも自社の環境にシステムを構築していくので保守作業も発生します。

保守作業を行う社員がいない場合、専門業者に保守を依頼したり、クラウド版を利用することで回避できます。

フルスクラッチ

フルスクラッチとは、完全オリジナルで構築していくという意味です。

ネットショップ構築のツールも何も利用せず構築する為、完全にオリジナルなネットショップを構築することが可能です。

基本的にフルスクラッチでネットショップを構築するのはIT部門を保持しているような大企業で、なおかつ売上が数千億円以上の企業である場合が多いです。

メリット1.完全にオリジナルなネットショップが構築できる

全くツールを用いないので、完全な自社オリジナルのネットショップの構築が可能です。
クラウドECやオープンソースでも自由度の高いカスタマイズは可能ですが、これまでにない全く新しいスタイルのネットショップ運営をしたい場合はフルスクラッチでネットショップを構築する必要があります。

メリット2.外部システムとの連携が可能

完全な自社オリジナルのネットショップですので、自社で利用している外部システムとの連携が可能です。

ちなみに、クラウドECやオープンソースでも連携が可能なものもあります。
しかし、自社で構築した基幹システムや独自のシステムと密接な連携をしたい場合は連携が難しくなります。
その際、フルスクラッチでネットショップを構築することでシステム間の連携が可能となります。

デメリット1.莫大なコストが掛かる

要件~開発~テスト~運用・保守まで全て実施する必要がある為、相対的にコストが大きくなります。

具体的な費用として、ネットショップの規模と要件にもよりますが、数十億円掛かるケースが多いようです。

デメリット2.導入まで時間が掛かる

ネットショップの構想から始めますので、必然的に導入するまで時間が掛かってしまいます。
とはいえ、あまり長い時間を掛けていられる余裕はありません。

従って、短期的に大量のリソースを投入することが必要となります。

この部分も、コストが大きくなってしまう要因となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ネットショップを自分で構築する際にも、色々な方法があります。

  • 予算はどれくらいなのか
  • どれくらいの規模でネットショップを始めたいのか
  • 目標とする売上額はいくらなのか

上記は一例ですが、ネットショップを開始するには綿密な計画を出すことが必要となります。

弊社では、豊富なネットショップ構築の経験からお客様に最適なネットショップをご提案させていただきます。

自分でネットショップを構築したい際のご相談でも結構ですので、是非お気軽にお問い合わせください。