IT化が遅れている業界はどこ?その理由やIT化のポイントを解説

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世の中には上手にITを取り入れ業務効率化が図れている業界もあれば、IT化が遅れていると言われている業界もあります。ITを上手く業務に取り入れることができれば、大幅な業務効率化や生産性の向上が見込めます。

その観点から言えば仕事にITを取り入れない理由はないのですが、何故IT化が遅れている業界があるのでしょうか。この記事では、どのような業界がITに遅れをとっているか、そしてその原因について触れたいと思います。

IT化が遅れている業界

IT化が遅れている業界

まずはIT化(IoT化)が遅れている業界をご紹介します。単に風土や慣習上の理由で遅れているところもあれば、メリットが見込めないという理由もあるようです。

(引用:現代ビジネス

農林・水産業界

農林・水産業界は、比較的テクノロジー化が遅れていると言われています。今後高い成長率が見込める分野ではありますが、現時点でIT化やIoT化の規模が小さく、結果市場価値が低く見積もられているというわけです。

また、農林・水産業界は地方に根ざしているところも多く、それもネックになっています。IT業界は都心に社を構えているところも多く、営業先がどうしても都心中心になってしまいがちと言われています。

その辺りのミスマッチが解消されれば、今後IT化の波が押し寄せるかもしれません。

医療業界

2つ目に上げられるのは、医療・介護業界です。こちらも今後市場の成長が見込める分野ではありますが、それに反してIT・IoT化が遅れていると言われています。

その理由としては、業務の特性上個人情報の扱いが難しいところにあります。IT化やIoT化による業務効率化は魅力ですが、反面取得するデータのセキュリティや保管に頭を悩ませなければなりません。

今後社会が高齢化するに従い需要の増大が見込める業界ですので、テクノロジーを駆使した業務効率化が期待されるところです。

金融業界

最後にご紹介するのは金融業界です。金融業界はIoTと関係が薄いように思われており、そのせいでIT化が進みづらいという特徴があります。

しかし、「フィンテック」という言葉もある通り、金融とテクノロジーは切っても切り離せなくなりつつあります。記憶に新しいところだと「仮想通貨」が例として挙げられますが、そのような形で両者が融合すれば、人々の暮らしはより便利になるでしょう。

金融とIoTという垣根を取っ払い、トータルなビジネスモデルとしてのIT化が期待されるところです。

IT化が遅れている理由

上記でも簡単に触れましたが、IT化が遅れてしまう理由を改めて解説します。業界や会社に下記のような特徴がある場合、IT化が遅れてしまう原因になります。

体質が古い

企業や業界の体質が古いままだと、IT化に遅れが生じてしまうでしょう。今となっては考えられませんが、一昔前にインターネットは存在しませんでしたし、メールもSNSもスマホもありませんでした。

もうインターネットに「新しい技術」というイメージはないかもしれませんが、それでもインターネットをベースとした技術は日進月歩で生まれています。その波をキャッチアップできるか否かが成長力に繋がる面もありますが、いずれにせよ最新技術をキャッチアップするためには柔軟な姿勢が必要です。

企業や業界の体制が古い場合、考え方が凝り固まってしまっているケースもあるでしょう。それでは、「IT化=難しい・分からない」という図式が出来上がってしまい、遅れをとってしまうことになります。

制約が多い

さまざまな制約が多い場合もITが遅れる原因になります。上述した医療業界はその一例であり、個人情報の取り扱いに制約が多いためIT化が遅れていると言われています。

業界や企業には、法令や業界慣習といった守るべきルールが存在します。それを無視してビジネスを行うことはできませんので、制約が多い業界は時にIT化が遅れてしまう形になるでしょう。

費用対効果が見込めない

IT化による費用対効果が見込めない場合も、IT化が遅れてしまいます。この場合はIT化が「できない」というより「する必要がない」と言った方が正しいかもしれません。

何のために業務をIT化するのかという問いには、「業務効率化のため」という答えが適切です。また、さらに言うなら「売上を上げるため」や「利益率を向上させるため」です。

その目的が達成されないことが明確な場合、IT化はただのサンクコストになってしまいます。やってみて初めて「無駄だった」ことが分かるのであればまだいいのですが、最初から「無駄である」ことが分かりきっているのであれば、投資しない方が賢明というものではないでしょうか。

業務をIT化するメリット

業務をIT化するメリット

業務をIT化すると、どのようなメリットが生じるのでしょうか。業務をIT化することで得られる利点として、下記のようなものが挙げられます。

大幅な業務効率化が見込める

業務をIT化すれば、大幅な効率化が見込めます。業務をITに置き換えると、今まで手動で行っていた作業を自動化できるようになるため、時間あたりの生産量が大きく向上します。

IT活用後のワークフローとしては、定型的な処理はITシステムに任せ、人間は人間にしかできないことを行うのが基本です。テクノロジーが進化したとはいえ、人への対応など柔軟な処理が必要な業務はまだまだ人の手が必要になるからです。

きめ細やかなサービスを提供できる

業務をIT化することで、顧客に対しきめ細やかなサービスを提供することが可能です。デジタルテクノロジーの進歩はめざましく、一昔前では難しかったさまざまなデータを取得することができるようになりました。

それらをまとめて分析することで、顧客一人一人の潜在的なニーズが浮かび上がってきます。ある顧客は特定の時期に特定の商品を欲しているかもしれませんし、またある顧客は資料請求の後即座にアプローチをかけることで成約に結びつきやすい性格があるかもしれません。

さまざまな観点から顧客を分析することで顧客満足度が上がり、成約に繋がりやすくなることが期待できます。

業務の属人性を排除できる

業務をIT化すれば、属人性を排除することも可能です。属人性とは「ある特定の人物がいないと業務が回らない状態」になることですが、属人性が高い業務は一般的に効率化が難しいと言われています。

業務の属人性が高まる理由としては、主に「当人のみが知り得る暗黙知が常態化しているから」が挙げられるでしょう。本来であれば会社という組織に蓄積されるべきノウハウや知見が特定の個人で止まってしまっている場合、業務効率化が難しくなるだけでなく、担当者の退社後に業務が滞ってしまう恐れもあります。

ITを活用して暗黙知を共有化し、属人化を防ぐことが大切です。

IT化できないままだとどうなる?

では、次に業務のIT化が遅れてしまった場合に発生するであろうデメリットを解説します。下記のような状況に陥らないよう、なるべくスムーズにIT化を進めておきましょう。

競争力の低下

業務のIT化がうまくいっていない場合、自社の市場競争力が低下してしまう可能性があります。他社が業務をIT化して効率化および顧客満足度を向上させているのに対し自社がいつまでも古いやり方のままだと、シェアを大きく奪われてしまうことも考えられます。

また、IT化によりノウハウやナレッジを蓄積させている他社は、新商品開発やマーケティングにおいても市場優位性を確立させることができます。ITはさまざまな分野で複合的に活用することが可能なため、体制が整っているのといないのではさまざまな面で大きな差が生まれてしまうでしょう。

超過労働の危険性

業務のIT化が進まず効率化に支障をきたしている場合、超過労働の危険性も生じます。なぜIT化が進まないと超過労働が発生してしまうのかというと、「他社と同じ業務量や品質を従来のやり方で達成しなければならない」からです。

他社もIT化しておらず従来のやり方で臨んでいるのであればよいのですが、IT化により効率化が進んでいる場合はリスキーです。ITによる効率化が達成されている相手にアナログなやり方で挑むのは無謀と言わざるをえず、その負担は現場の従業員に向かってしまいます。

結果、超過労働が発生し、現場の疲弊を招いてしまうことに繋がりかねません。

IT化を行うための考え方とプロセス

IT化を行うための考え方とプロセス

では、次にIT化を行うための考え方とプロセスについて解説します。IT化を適切に行うためには、一体どのような点に気をつければよいのでしょうか。

「何のためにIT化を行うのか」を明確にする

IT化に取り組む際は、「何のために行うのか」を明確にしておきましょう。しっかりとした軸があればブレずに取り組むことができ、結果適切な製品選びや利益率の向上に繋がりやすくなります。

IT化を行うことによる大きな目標は、「業務効率化」になるでしょう。大切なのは、そこで終わらせるのではなく、「どのような業務を効率化したいか」「どのようなワークフローを構築したいか」までを想定することです。

小さな指針を明確にすればするほど、取り組み自体は容易なものになるでしょう。

専門家に相談する

IT化について専門家に相談するのも好ましい方法です。ITの分野は専門性が強くかつ細分化されているため、自社のみでは思わぬミスを招いてしまうかもしれません。

特に注意したいのは、ネットワークセキュリティの分野です。導入されたシステムはインターネットを介してデータをやり取りするものも多く、セキュリティが甘いと攻撃者の侵入を許してしまう可能性があります。

そうなると、自社のみならず取引先や顧客にも大きな迷惑をかけてしまうでしょう。セキュリティに自信がない場合、ベンダーなどの専門家にしっかりと相談した上でシステムの構築を行うことをおすすめします。

運用のシミュレーションを行う

最後に挙げられるのは、運用シミュレーションです。IT化の際に新しいシステムを導入するケースも多いですが、その際は事前の運用シミュレーションをおすすめします。

新しいシステムの導入は、どうしても現場の混乱を招きがちです。混乱をゼロにすることはできませんが、事前に適切なシミュレーションを行っていれば混乱の度合いを減少させられるでしょう。

そうすればシステムが現場に馴染む時間を短縮でき、早期に成果が出やすくなります。反対に、いきなり複雑なシステムを導入すると、現場の反感を買いIT化の失敗に繋がってしまうかもしれません。

AIの活用を検討する

業務のIT化を進める際、AIの活用を検討することでさらなる効果を上げることができます。
AIは人工知能を用いて膨大なデータを分析し、自動的にパターンやトレンドを発見する能力を持っています。
これによって、従来の手法では見逃していた洞察や傾向を把握し、業務改善の方向性を見出すことができます。

顧客ニーズの洞察とサービス最適化

例えば、顧客データをAIに解析させることで、消費者の購買傾向やニーズを把握し、ターゲットとする製品やサービスの最適化を図ることができます。
ChatGPTなどのAIを活用して、顧客のフィードバックやレビューから有益な情報を引き出し、それを元に新たなアイディアを生み出すことができます。
このようなアプローチによって、顧客満足度の向上や売上増加に貢献することが可能です。

予測分析による効率化と最適化

また、AIを活用して予測分析を行うことで、需要予測や在庫管理の最適化が可能となります。
チーム内でChatGPTなどのAIツールを共有し、過去のデータやトレンドを基に将来の需要や動向を予測することができます。
これによって、生産や調達計画の最適化を行い、無駄を削減しながらリソースを効果的に活用できます。

AIを活用するためには、まずどの領域でAIを活用するかを明確にし、必要なデータを収集することが重要です。
専門家の協力を得て、適切なAIモデルを選定し、トレーニングさせることで、効果的な予測や分析が行えるようになります。
また、チーム内での共有とトレーニングを通じて、AIを活用するスキルを高めていくことも大切です。

IT化が遅れている業界が直面する課題を解決するために、AIの活用を検討してみることは非常に有益です。
AIの力を借りて、業務プロセスの最適化や競争力の向上を実現しましょう。
ChatGPTをチーム内で共有し、具体的な行動に移すことで、AIを実践的に活用する道が開かれます。

まとめ

IT化が遅れている業界としては、「農林・水産」「医療・介護」「金融」などが挙げられます。理由はそれぞれに異なりますが、「体質が古い」「制約が多い」などが主だったものになるでしょう。

ITを業務に上手く取り入れることができれば、非常に大きなメリットがあります。しかし、専用のシステムを導入するにもコストがかかるため、失敗すれば無駄な投資をしてしまうことになります。

IT化のポイントをしっかりと見極め、適切なシステムの運用を行いましょう。