ポイントをおさえるだけでスムーズに。システム導入における稟議書の書き方

システム開発

昨今、業務システム導入を考えている担当者も多いのではないでしょうか。一般的にシステム導入の際には稟議書を作成し、責任者を納得させることが求められます。

しかし、どのような稟議書を作成したらシステム導入をスムーズに進められるのでしょうか。この記事では、システム導入における稟議書作成について解説します。

システム導入のための稟議書とは?

システム導入のための稟議書とは?

システム導入のための稟議書とは、一体どのようなものなのでしょうか。まずは、稟議書の基礎的な部分について解説します。

キーマンを納得させるための資料

稟議書の目的価値は、「キーマンを納得させるための資料」です。そもそも稟議というのは担当者が「こういうことをやりたい」と考え、そのアイデアを権限保有者(主に会社の上層部)に承認してもらう一連の流れのことです。

そして、稟議を通すために必要なのが「稟議書」です。絶対に必要というわけではないのですが、一般的な通例として運用されている会社が多いのではないでしょうか。

システム導入の場合、「このようなシステムを導入したい」と考えた担当者が稟議書をまとめ、関係者に渡して承認してもらう流れになります。

稟議書に記載する項目

次に、稟議書に記載する項目について見ていきましょう。システム導入のための稟議書には、主に下記のようなことを記載します。

システム導入の目的

まずは、システムを導入する目的です。業務システムというのは、ただ闇雲に導入するのではなく、何らかの問題を解決するために導入されるのが一般的です。

たとえば、CRMシステムであれば「顧客管理改善のため」、SFAであれば「営業活動効率化のため」などが挙げられます。実際の稟議書ではさらに詳細を詰める必要がありますが、おおむね大目的→(中目的)→少目的のようなフレームで考えることになるでしょう。

予想される費用対効果

稟議書には、システムを導入することによって得られる費用対効果もしっかり記載しましょう。前述の通りシステム導入の目的は「何らかの問題を解決すること」ですが、問題を解決した結果何がどうなるのか?というところまで踏み込まなくては意味がありません。

システムの導入には、少なくない額の費用がかかることが多いです。事業として費用をかけるのであればそれらは全て「投資」になりますので、かけた額以上のリターンを見込まなければなりません。

システムを導入することにより費用以上のリターンが見込めるのであれば、稟議を通すのは比較的容易と言えるでしょう。

導入スケジュール

システムをスムーズに導入するためには、導入スケジュールをあらかじめ策定しておくことが重要です。基本的には担当者やプロジェクトメンバーがスケジュールに沿って動くことになりますが、稟議書にも記載しておくことをおすすめします。

短期に導入および運用できるなら特に問題はないのですが、あまりに導入から運用までの流れが長期になるのは会社として避けたいところでしょう。また、会社というのはシステム導入のみならず多種多様な予定が組まれているため、大掛かりなプロジェクトを避けたい時期もあるかもしれません。

そういった総合的な判断の目安にもなるため、稟議書には導入スケジュールも記載しておきましょう。

書き方のポイント

それでは、次に稟議書を書く際のポイントについて解説します。

導入により「何が得られるか?」を明確にする

稟議書には、「システム導入により何が得られるか」を明確に記載しましょう。前述の通り、システムというのは何かしらの問題を解決するために導入されるものです。

課題の解決に繋がらないシステムを導入するのは、費用と労力の無駄です。事業というのはお金や人といった資本を投下してそれを超えるリターンを得ることで回るため、会社としては費用や労力を無駄に費やすわけにはいきません。

そのため、具体的な根拠を伴わない提言がいくらなされたところで、関係者を説得することはできないでしょう。システム導入のメリットを明確に、かつ客観的な根拠を添えて記載することが大事です。

リスクも忘れず記載する

忘れてはいけないのが、リスクもしっかり記載するという点です。システム導入に気がはやるばかりにメリット面ばかりを記載してしまいがちですが、物事には必ずメリットとデメリットの両面が存在します。

リスクを記載することで、権限保有者が公平な判断を下せるようになります。しかし、リスクの記載が不十分な場合は余計な不安や心配を抱かせることに繋がるため、通るものも通らないという結果になる可能性もあるでしょう。

どうしても書けない場合は例文を参考に

もしどうしても稟議書が書けない場合、例文を参考にするのも手です。例文をそのままなぞるわけにはいきませんが、適宜必要な箇所を変更することで、テンプレートに沿った稟議書を作成できます。

例文は書籍やインターネットで探すことができるため、自分の状況に適したものを見つけましょう。見当違いの例文を参考にすると稟議書の質が下がり、システム導入への道が閉ざされてしまう可能性もあります。

稟議書を作成する前に

稟議書を作成する前に

最後に、稟議書を作成する前に準備しておきたいポイントについて解説します。入念な準備を行うことで、説得力のある稟議書の作成に繋がります。

課題を明確にする

一点目は、課題を明確にするという点です。繰り返しますが、システムというのは明確な目的があって導入されるものであり、その大半は「課題(問題)の解決」です。

すなわち、現状生じている問題をシステム導入によって解決に導きたい(ためにシステムを導入したい)という話になるはずです。そこを外すと「システム導入のための導入」になってしまい、システム本来の価値を発揮することができません。

自社に生じている課題は何か、そしてそれをシステムでどう解決し、その結果何が得られるのか、といった点をあらかじめ明確にしておきましょう。

製品について調べる

次に挙げられるのは、製品についてしっかり調べておくという点です。一口に「業務システム」といっても種類や製品、導入方法は星の数ほど存在するため、その中から自社に合ったものを見つけなければなりません。

そのために大事なのが、事前調査です。前項で解説した課題の明確化ができていれば大分絞り込めるとは思いますが、その中でもいくつかの候補が生まれるでしょう。

それらは一体何が違うのか、具体的にどういう活用が見込めるのか、までを調べるのが大事です。

システム会社に相談する

もし自社のみでシステムの選定が難しい場合、システム会社に相談するのも手です。システム会社はいわばシステムのプロとも呼ぶべき存在なので、自社の業務や課題に適切なシステムを提案してくれるでしょう。

その際に気をつけたいのは、なるべく幅広いアドバイスを仰げる会社に相談することです。自社サービスを持っている会社の場合、どうしても自社製品を薦めがちになってしまうのは避けられないため、場合によってはフラットな選択をするのが難しくなってしまうかもしれません。

可能な限り、コンサルティング的なサービスを専門としているシステム会社に相談しましょう。

まとめ

システム導入のステップとして、稟議書の作成が挙げられます。誰が見てもシステム導入の必要性が理解できるような稟議書を作成し、システム導入をスムーズに進めましょう。