なぜシステム導入に失敗してしまうのか。その原因や対策を解説

システム開発

システムを適切に活用すれば生産性向上に繋がりますが、場合によっては失敗に陥るケースもあります。この記事では、失敗の原因や対策、およびシステムにまつわる根本的な考え方について解説します。

システム導入に失敗してしまう原因

システム導入に失敗してしまう原因

システム導入に失敗してしまう原因として、主に下記のようなものが挙げられます。

適切なワークフローを構築できない

システムを導入するとワークフローが変化することになりますが、事前準備がうまくいっていない場合は適切な変化を加えることができません。既存のワークフローに無理やりシステムを組み入れても活用がうまくいきませんし、場合によっては生産性の低下を招いてしまいます。

「ワークフローはシステムの導入により変化すべきもの」という事前の認識が大事です。そして、「どのように変化させるか」によってシステムによる生産性もほぼ決まってきます。

ベンダーや製品を正しく選べない

ベンダーや製品選びを誤ってしまうと、システム導入が失敗に終わってしまいます。システムはただ導入すればいいというものではなく、「自社に発生している何らかの課題を解決するため」に活用されなければ意味がありません。

ベンダーや製品を正しく選べない場合、システム活用を問題解決に繋げるのは難しいでしょう。そうなると、せっかく導入したシステムが活用されず埃を被ってしまうことも考えられます。

ITに対する知識不足

ITに対する知識が不足している場合も、システム導入が失敗に終わる恐れがあります。しかし「ITに対する知識」と一口に言っても多岐に渡るため、全てを習得するのは困難です。

ITの知識としては、下記のようなものが挙げられます。

  • セキュリティに関する知識
  • 開発・保守における知識
  • 具体的な製品に対する知識
  • 現場での運用における知識

自社がシステムを導入する場合、どのような知識が必要になるかを絞り込まなければなりません。そして、プロフェッショナルとまではいかなくとも、致命的な間違いをしない程度のリテラシーを持っておいた方が失敗を避けられるでしょう。

失敗を回避するためのポイントや対策

それでは次に、失敗を回避するためのポイントや対策をご紹介します。

あらかじめワークフローを精査しておく

システムを導入する前に、あらかじめ既存のワークフローを精査しておきましょう。既存のワークフローをよく知ることで課題を洗い出し、どのようなシステムをどのように活用すべきかが見えてきます。

また、ワークフローの改善点を見つけることができれば業務効率化にも繋がります。業務の洗い出しおよびワークフローの精査は簡単な作業ではありませんが、定期的に行い最適化することが大事です。

日頃から情報収集や勉強を欠かさない

システムの導入を検討しているのであれば、日頃からIT関連の情報収集や勉強をしておくことをおすすめします。ITテクノロジーの分野は日進月歩なため、昨日の技術が今日も最適であるとは限りません。

最新のトレンドを完全にキャッチアップするのは困難ですが、基本的な部分を押さえることでシステム選びの参考にもなるでしょう。特に、システムをゼロから組み上げるスクラッチ開発の場合はベンダーと密なコミュニケーションが必要なため、ある程度の知見がないとやり取りに齟齬が発生しやすくなります。

仕様や完成図を誤解したまま開発が進むと、取り返しのつかないことになる恐れがあります。必要な情報や知識においては、余念のないよう事前に学んでおくことが求められます。

コミュニケーションを大事にする

失敗を回避するためには、コミュニケーションを重視しましょう。システム導入にまつわるコミュニケーションとしては、主に下記のようなものが考えられます。

  • ベンダーとのコミュニケーション
  • プロジェクト内部でのコミュニケーション
  • 現場とのコミュニケーション

ベンダーと密なコミュニケーションを行うことで、システム選びや仕様の齟齬を防げます。また、プロジェクト内部でしっかりとコミュニケーションを行うことで、社内へのスムーズな導入が可能となるでしょう。

そして、現場とのコミュニケーションを大事にすることでシステムの利便性を周知し、ワークフローに馴染みやすくなることが期待できます。システムは現場で正しく活用されて初めて意味をなすものなので、上から無理やり押し付けるのではなく、可能な限り自発的に活用してもらうのが適切です。

根本が大事。システム導入を成功に導くための考え方

根本が大事。システム導入を成功に導くための考え方

では、最後にシステム導入を成功に導くための根本的な考え方について解説します。少々抽象的な話になるかもしれませんが、根本を外してしまうと導入・活用における理屈も上滑りになってしまう恐れがあるため、前提をしっかりと理解して取り組みたいところです。

ITの価値を正しく認識する

一つ目は、ITの価値を正しく認識するという点です。とはいえ、「ITの価値」とは一体なんでしょうか。世間では「IT」や「AI」という言葉がまるで魔法のように扱われている側面もあり、それらを導入することであらゆる問題が解決する万能薬に思われている節もあります。

もちろん、そのようなことはありません。ITが解決できる問題は(現状においては)まだ限定的であり、適切なポイントに正しく組み込まないと活用に難が生じます。

ITにできること・できないことをしっかりと理解し、「自社においてどのような活用を期待するのか」という点をしっかり精査することが大切です。

ニーズや業務への活用方法を可能な限り明確にする

二つ目は、自社のニーズや導入後の活用方法を可能な限り明確にしておくという点です。ITシステムは万能な魔法ではなく、あくまで「限定的な問題を解決するための手段」でしかありません。

であれば、まず自社の「ITを活用して解決したい課題」を明確にする必要があります。「それを解決するためのシステムを導入する」となれば、自ずと製品選びの基準が鮮明になるでしょう。

たとえば、下記のような感じです。

  • 顧客との関係性を深めニーズに沿ったきめ細やかな対応を行い顧客単価を最大化したいので、CRMシステムを導入する
  • 営業プロセスを可視化することで細かな管理を行い成約率の向上を目指したいので、SFAを導入する
  • データを精査した結果、問い合わせの初期段階をある程度ルーチン化することに成功したので、チャットボットを導入し工数削減を図る

合わせて、業務への具体的な活用方法もシミュレーションできるとベターです。

専門家に相談するのも手

システム導入にはITに関する知識や情報、正しい選択眼や導入後のシミュレーションなど、考えなければならない点が多岐に渡ります。それらを全て自社で賄えればよいのですが、そうでない場合は専門家に相談するのも手でしょう。

プロに相談することで、正しいシステム選びや具体的かつ効率的な運用方法などを知ることができます。その分コストはかかりますが、自社のみで行って失敗するのに比べると、長期的な節約および効率化に繋がるのではないでしょうか。

まとめ

システム導入の失敗を回避するには、ニーズに沿った導入が大事です。導入・活用を成功に導き、生産性の向上を目指しましょう。