労働生産性向上のために経営者やプロジェクトリーダーが着手すべきこと、すべきでないこと

ビジネス

労働生産性を向上させるのは、今や企業の使命と言っても過言ではありません。しかし、何をすれば労働生産性が上がるのか、リーダー(経営者)として何をすべきか、という点に悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、労働生産性を高めるためにリーダー(経営者)として何をすべきか、あるいは何をすべきでないかについて事例を交えて解説します。

労働生産性を高めるためにリーダー(経営者)は何ができる?

労働生産性を高めるためにリーダー(経営者)は何ができる?

労働生産性を高めるのは企業の主目的になりつつありますが、労働生産性を高めるためにリーダー(経営者)は何をすればよいのでしょうか。まずは、リーダー(経営者)ができること・やるべきことについて見ていきましょう。

インプットとアウトプットのバランスを精査する

生産性とは、投入したリソースに対してどの程度の成果が得られたか、という指標です。ビジネスにおいては何かしらのインプットを行わないとアウトプットを得ることができないため、各企業とも、自社が求める成果を得るためにはどのようなインプットを行うべきかについて頭を悩ませていることでしょう。

その辺りは当然試行錯誤の連続になりますが、リーダー(経営者)としてはその結果を全て綿密に精査することが大事です。「やったらやりっぱなし」という状態では、どこが上手くいってどこが失敗しているのかが全く分からず、いつまで経っても勘や運に頼ることになってしまいます。

インプットとアウトプットのバランスをしっかりと精査していれば、「こういったインプットを行えばこのようなアウトプットが得られる」のような情報を蓄積させることができます。それを逐一データ化しておけば成功の再現性を高めたり、あるいは失敗を防ぐことにも繋がるでしょう。

全ての業務を洗い出し、再定義する

一度、自社に存在する全ての業務を洗い出し、再定義してみてはいかがでしょうか。「自社のことなら全て把握している」とお思いのリーダー(経営者)も多いかもしれませんが、業務というのは現場によって日々変化するものです。

現場のことを一番よく知っているのは、当然ながら現場の人間です。彼らにしっかりとヒアリングしたりプロジェクトを立ち上げたりして、業務の棚卸しを行ってみましょう。

そして洗い出された一つ一つの業務に対し、「この業務の意義は何か?」を改めて問いかけます。中には有名無実なルーチンと化している業務もあるかもしれず、そこに人員を割くのは完全な無駄になってしまっているケースもあるでしょう。

それらを再定義しワークフローを組み直すことで、労働生産性の向上が見込めます。

システムを導入し活用する

労働生産性を向上させるためには、システムの活用が不可欠です。現代はテクノロジーの進化により、さまざまな業務用システムが開発リリースされています。

システムを上手く活用することができれば、労働生産性は飛躍的に向上します。今まで人の手によって行われていた仕事をシステムに代替すれば、速度が上がるだけでなく精度の向上も見込めるからです。

リーダー(経営者)として、「どの業務をシステムに代替するか」をしっかりと考えましょう。中には人の手で行った方が好ましい業務もあり、そこに無理にシステムを導入してしまうと逆に生産性を下げてしまうかもしれません。

これは逆効果?労働生産性向上に向けた取り組みの落とし穴

労働生産性の向上に取り組んでも、すぐに結果が出るとは限りません。場合によってはじっくり着実に取り組まないと成果が見込めないような施策もあるでしょう。

ただ、労働生産性を向上させるために良かれと思って行ったことが逆の結果を招いてしまうケースもあります。そういった例を学び、落とし穴にはまらないよう気をつけましょう。

目先の結果のみを現場に強いる

1つ目に挙げられるのは、目先の結果のみを現場に強いることです。働き方改革により残業時間の罰則付き上限が設けられたため、「残業を減らすように」と現場に号令をかけている会社も多いのではないでしょうか。

しかし、闇雲に「残業を減らせ」と言うだけでは本質的な解決に至りません。そもそも、何故残業が発生するかというと、人員に対して業務量がオーバーしているからです。

業務量を変えずに残業だけを減らすとなると、社員それぞれが自宅に仕事を持ち帰るなどの短期的対策が取られる可能性があります。この場合、目に見える残業時間は削減されますが、労働生産性が向上したとは言い難いでしょう。

管理ではなく監視してしまう

現場のリソースや業務、成果を管理することは重要ですが、監視するのはよいやり方とは言えません。人は、「監視されている」と感じると手を抜きづらくなるものですが、余計な緊張を招き、ギスギスとした空気が漂ってしまう可能性があります。

「従業員全体にサボりが横行している」といった状況であれば、監視も有効かもしれません。しかし、その場合は「何故サボりが横行しているのか」という本質的な問いを投げかける必要があるでしょう。

個別事情に目を向けず、大目的のみを達成しようとする

最後に挙げられるのは、個別事情に一切目を向けずに大目的のみを達成しようとする姿勢です。この場合の大目的は「労働生産性の向上」になるかと思いますが、それのみを重視して他の事情に目を向けないのは本末転倒です。

労働生産性を向上させようと思ったら、人を減らすという手も考えられます。しかし、現場が人手不足の状態なのに人を減らしてしますと、業務そのものがストップしてしまう危険性があります。

労働生産性向上のためには、さまざまな事情を包括的に見て判断することが重要です。

システムを活用し労働生産性を向上させた事例

システムを活用し労働生産性を向上させた事例

それでは、最後にシステムを活用して労働生産性を向上させた事例をご紹介します。

CRMを導入し、業務効率化:リバネス

リバネスは、人材教育商品開発や若手研究者への研究支援を行っている会社です。同社ではプロジェクトの管理に表計算ソフトを使用していたのですが、請求漏れの増加やデータが増えたことによる処理の重さなどが問題になっていました。

そこでCRMシステムを導入したところ、マネージャー層のレポート作成時間削減に成功しました。

システムを活用し、バックオフィスを効率化:サイバーエージェントグループ

サイバーエージェントグループは、ITやネットワークを駆使してさまざまなサービスを手掛けている組織です。同グループでは、小会社が急速に成長した際にバックオフィス業務が取り残されてしまい、膨大な業務量に悩むなどの問題を抱えていました。

そこで、業務アプリ作成プラットフォームをベースに自社独自のバックオフィス効率化システムを開発。結果として、グループを通して年間1万時間の業務時間削減に成功しました。

ITツールを利用して情報共有を効率化:クリニカル・プラットフォーム株式会社

クリニカル・プラットフォーム株式会社は、クラウド電子カルテサービスを手掛けている会社です。同社ではメールを利用して情報共有を行っていましたが、スレッドが膨大になるなどの問題を抱えていました。

そこでタスク管理ツールを導入しテキストだけでなくビジュアルも含めた情報共有を行ったところ、途中から参加したメンバーでも容易にキャッチアップできるようになりました。

まとめ

労働生産性を向上させるためには、リーダー(経営者)の判断や実行力が重要です。自社の状況をしっかりと把握し、適切な施策を行いましょう。