企業内でシームレスかつ効率的に情報共有するメリットと実践方法

業務効率化

現代はインターネットを含むさまざまなテクノロジーが進歩し、従来では考えられなかった膨大な情報を取得できるようになりました。その分、「それをどのようにビジネスに役立てるか」「どのように共有するか」といった点に悩んでいる企業も多いかもしれません。

この記事では、企業がスムーズに情報共有を行うためにはどうするかを事例付きでご紹介します。適切な情報共有は業務効率化に繋がり、働き方改革においても大きな効果が見込めるでしょう。

情報共有の重要性が増している理由

昨今、情報共有の重要性が増していると言われています。その理由としては、一体どのようなものが考えられるのでしょうか。

データを元に判断する機会が増えてきた

まず、さまざまな経営にまつわる判断をデータを基に行うようになった、という点が挙げられます。現代はインターネットを含む多くのテクノロジーが進歩したため、従来では取得の難しかった多種多様なデータを得られるようになりました。

たとえば、実店舗において来客数を完全に把握するのは難しいですが、企業のサイトやWeb店舗であれば計測は容易です。また、どれくらいのユーザーがどの程度サイトに滞在したか、またどのページが一番見られているかまでを計ることができるため、それを基に販促や宣伝を行うのが一般的になりました。

このように、データを基に判断する際にはベースとなるデータを多くの人の間で共有する必要があります。情報共有がスムーズに行われていれば、各メンバーに必要な情報が行き渡り、「何故その判断に至ったか」という部分まで共有可能です。

業務を属人化させないため

情報共有が滞っていると、業務の詳細が担当者以外に知らされることは少ないため、業務の属人化が進んでしまいます。属人化が進んだ業務は、特定の担当者がいないとフローや処理が滞ってしまい、業務効率化の妨げになってしまいます。

一方、情報共有がスムーズに行われている場合はその限りではありません。企業内のシステム内に必要な情報が揃っていれば、担当者以外の従業員でも業務にまつわるナレッジを取得することができ、ある程度は代わりに仕事を行えるでしょう。

業務が属人化してしまうと、さまざまな弊害が発生します。情報共有をスムーズに保ち、業務の属人化を防ぎましょう。

働き方改革などによる柔軟な労働を担保するため

情報共有がしっかり行われているか否かは、働き方改革にも大きな影響を及ぼします。一口に「働き方改革」と言ってもその施策はさまざまなですが、重要なものの一つに「残業時間の抑制」が挙げられるでしょう。

残業時間を抑制するためには、当然ながら通常業務時間内に仕事を完了させる必要があります。そのために大事なのが「業務効率化」ですが、情報共有が適切に行われていれば、業務効率の向上が見込めるでしょう。

社内に限定せず出先からでも情報を取得できれば、わざわざ帰社する必要はなくなります。また、スムーズな情報共有はスムーズな意思決定にも繋がるでしょう。

シームレスかつ効率的に情報共有を行うには?

では、情報共有をシームレスかつ効率的に行うにはどのようにすればよいのでしょうか。一般的には、下記のような点が有効であると言われています。

暗黙知を形式知化する

情報共有の基本は、「暗黙知の形式知化」です。暗黙知とは、たとえばベテランの従業員が業務を通して身につけた勘やノウハウのことであり、そのままでは言語化が難しいものです。

暗黙知を暗黙知のまま置いておくと、先程述べた業務の属人化に繋がってしまいます。暗黙知の形式知化は口で言うほど簡単ではありませんが、特定の従業員が所有している知見を会社の共有資産にするために避けて通れない過程です。

一度暗黙知を形式知化してしまえば、あとは情報共有を行うだけで業務の質を担保できるようになるでしょう。また、業務によっては自動化処理を行える可能性も生まれます。

ITシステムを活用する

スムーズな情報共有を行うためには、ITシステムの活用が不可欠です。ITシステムと言ってもさまざまな種類がありますが、情報共有のためには下記のような特徴を持つシステムの導入が有効でしょう。

  • ナレッジデータベースを持っている
  • PCだけでなく、スマホやタブレットからでもアクセスできる
  • 検索機能が優れている

ナレッジデータベース機能があれば、業務にまつわるさまざまなノウハウや知見をシステムに集約することができます。また、スマホやタブレットからでもアクセスできれば場所を選ばず参照が可能になり、業務効率化に繋がるでしょう。

そして、検索機能に優れていれば、必要な情報を瞬時に取得することができます。

不要なコミュニケーションを避ける

適切な情報共有を行うためには、不要なコミュニケーションを避けるのも手です。「情報共有のためには、よりコミュニケーションを密にすべきではないか?」という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、不要なコミュニケーションは情報共有を阻害するケースもあります。

そもそも、人が処理できる情報量はある程度限られているため、不要な情報を多くやり取りすると重要な情報が隠れてしまうこともあるでしょう。メンバー間の意思伝達をスムーズにするためにはある程度仕事外のコミュニケーションも必要ですが、あまりに常態化しすぎないよう注意しましょう。

コミュニケーションの頻度を下げれば、自ずと必要な情報のみがやり取りされるようになります。ただ、企業や部署によってはコミュニケーションの頻度を下げたせいで情報共有に滞りが生じる可能性もあるため、ケースバイケースで判断しましょう。

情報共有の効率化に成功した事例

では、最後に情報共有の効率化似成功した事例をいくつかご紹介します。

情報共有ツールを活用し、メールの削減に成功:シチズン時計株式会社

シチズン時計株式会社は、国内老舗の時計メーカーです。従来はメールを利用して情報共有を行っていたのですが、効率化のためにコミュニケーションを社内SNSに切り替えました。

結果、一日に読むべきメールを半分以下に抑えることができ、時間換算すると一時間程度の時短に繋がりました。

ツールを活用し、容易なコミュニケーションを:東京メトロ

東京メトロは、都市のインフラである地下鉄の運行・制御を行っている企業です。交通系インフラという特徴からさまざまな専門職の従業員が働いており、迅速なコミュニケーションが課題となっていました。

そこで、汎用的なコミュニケーションツールを取り入れ、情報共有の改善を図りました。結果、メッセージだけで簡易的にコミュニケーションを取れるようになり、特に遠方間でのスムーズな情報共有を達成しました。

文書管理システムを使い、効率的な情報共有が可能に:NTT東日本関東病院

NTT東日本関東病院は、日本国内トップクラスの医療技術を誇る病院です。医療機関という特性上、膨大な書類や文書を管理する必要があり、効率化を検討していました。

そこで文書管理システムを導入し、書類や文書の一元的な管理を行いました。結果、従来より情報を検索するスピードが上がり、本来の業務である医療に時間を割けるようになりました。

まとめ

現代は情報テクノロジーの時代とも言われており、情報やデータをどのように扱うかがビジネスの要点となっています。適切かつスムーズな情報共有を行い、働き方改革や企業戦略の立案に役立てましょう。