働き方改革を進めると助成金が貰える?その種類と利用事例を解説
働き方改革を進める上で重要なのは、関係者の意識や適切な達成目標、そして「何故働き方改革を行うのか?」といった動機です。しかし、施策の種類によっては費用がかかるため、そのために予算を組まなければならないケースもあるでしょう。
この記事では、そういった働き方改革の強い味方となる助成金について解説します。全ての事業者に給付されるわけではありませんが、もし要件に該当する助成金があるのであればしっかりと申請し、確実に受け取っておきましょう。
働き方改革に関係する助成金
働き方改革に着手する場合、政府や自治体から助成金が出るケースがあります。一例としては、下記のようなものが挙げられるでしょう。
なお、以下はざっくりとした説明になりますので、検討する際には自社の状況と照らし合わせ、より正確な情報を取得することをおすすめします。
時間外労働等改善助成金
時間外労働等改善助成金は、時間外労働の上限設定に取り組む際に助成されるものです。働き方改革の一環として「残業時間の上限規制」が掲げられていますので、それに沿った施策や改革を行う際に要した費用が助成されるといった形になります。
時間外労働等改善助成金を受け取ることができるのは中小企業に限られ、金額は上限が通常200万円に設定されています。また、当助成金が支給されるためには、「時間外労働時間数で月45時間以下かつ、年間360時間以下」などの成果目標を設定する必要があります。
業務改善助成金
業務改善助成金は、生産性を向上させ事業所内の最低賃金を引き上げるための設備投資などを行った際に助成されるものです。働き方改革といえば「業務効率化」や「生産性の向上」が目標として挙げられることも多いのですが、業務改善助成金はその上で事業所内の最低賃金向上を目指して設けられた助成金と言えるでしょう。
助成される上限額は通常100万円であり、助成対象は中小企業や小規模事業者に限られます。支給要件の一例としては下記のようなものが挙げられるでしょう。(ケースによって異なるため、絶対というわけではありません)
- 生産性向上のためにPOSレジを導入した
- 業務効率化のために基幹システムを導入した
- 業務効率改善のためにコンサルタントに相談した
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、派遣社員や有期雇用社員といったいわゆる非正規社員のキャリアアップを促進し、正社員化や待遇改善を実施した企業に助成されるものです。労働者の非正規化というのは多くの場所で問題視されているため、正社員化や賃金の改定の取り組みを行った企業に助成金が支払われるという次第です。
助成される金額は場合によって異なりますが、たとえば有期雇用労働者を正規雇用化した場合は一人につき42万円〜72万円程度の額が助成されます。他にも、「賃金規定等改定コース」や「健康診断制度コース」など、幅広い助成コースが設けられています。
助成金申請の際の注意点
それでは、次に助成金を申請する際の注意点について解説します。助成金を検討する場合、下記のような点をしっかりと確認して行いましょう。
条件や要件をしっかりと確認する
助成金には、それぞれ助成されるための条件や要件が細かく設定されています。助成金は一般的にある目的や方向を達成するために設けられているため、それに沿った取り組みを行っている企業にのみ支給されるといった形です。
その辺りをしっかり確認した上で検討・申請しないと、「取り組みをおこなったつもりだったが該当せず、助成金を受け取れなかった」という恐れもあるでしょう。助成金のために施策を行うばかりではありませんが、貰えるものはしっかりと貰い投資に充てるのが事業を継続させるコツの一つです。
申請期間内に申し込む
助成金には、それぞれ申請期間が定められています。たとえば、上述した時間外労働等改善助成金の場合、2019年度のものは2020年1月8日が交付申請期限になります。
「2019年の申請が2020年?」と疑問に思った人もいるかもしれませんが、一般的に助成金というのは先に使った額が後から助成されるというシステムになります。それだけに、申請要件や期限をしっかりと確認することが大事になるわけです。
最新の情報をチェックする
助成金に関する情報は、常に最新のものをチェックしましょう。一年前の申請要件と今年のものは微妙に変わっている可能性がありますので、それをそのまま鵜呑みにしてしまうと申請が通らない可能性があります。
また、助成金の情報は常に公式のものを確認することが重要です。「どのような助成金があるか」などのざっくりとした情報であれば幅広いサイトから情報収集をしてもよいですが、要件や期限などの情報は公式サイトをチェックした方が確実です。
システム導入に活用し生産性が向上した事例
では、最後に補助金を活用してシステムの導入を行った事例をご紹介します。いずれも生産性向上といった結果が見られるため、積極的に検討することをおすすめします。
RPAを導入し業務時間の削減に成功:北海道はまなす食品株式会社
北海道はまなす食品株式会社は、主に北海道の素材を使い食品を製造している食品メーカーです。同社では、受注管理などを複数のExcelで行っていたのですが、転機ミスが発生したりして業務の妨げになっていました。
そこでRPAを導入したところ、業務が自動化され1日15分の業務時間削減を達成しました。現時点ではまだ大きな成果ではありませんが、RPAを活用してさまざまな業務の自動化に試行錯誤しています。
宿泊予約一元管理システムを導入し、タイムリーな情報更新:アースルーフ
アールスーフは、伊豆高原でペンションを経営している会社です。同社では、宿泊予約サイトに掲載する情報を一元管理するための専用システムを導入しました。
従来はそれぞれの宿泊予約サイトに掲載する情報を自分達で更新したりコンサルタントに依頼して更新していましたが、それだと手間がかかったりタイムリーな情報を届けられないという問題を抱えていました。情報を一元管理できるツールを導入したことで業務にかかる時間を削減でき、その分をきめ細やかなお客様対応に充てることができました。
会計システムを刷新し、経理業務を効率化:株式会社ラークコーポレーション
株式会社ラークコーポレーションは、鳥取県の三朝温泉に天然温泉旅館を経営している会社です。同社ではもともと会計システムや給与計算ソフトを利用して経理業務を行っていましたが、それらは互いに独立しており連携性に欠けるという問題を抱えていました。
そこで会計システムを刷新し、クラウド型のものを導入。結果的に経理業務にかかる手間を削減することができ、業務効率化に繋がりました。
まとめ
働き方改革は政府が主導している面も多いため、多くの形で助成金が設けられています。自社が助成金の申請要件に該当するのであればしっかりと申請し、受け取り忘れのないようにしましょう。
助成金を申請する際は要件の確認はもちろん、期限や最新情報をチェックすることが重要です。要件に該当してても申請方法や時期を誤ってしまうと助成金を受け取れない可能性もありますので、確認漏れのないよう心がけましょう。