業務効率化を図るICTとは?ITとの違いや業務効率化に成功した事例を紹介

業務効率化

「ICT」という言葉をご存知でしょうか。ICTを仕事に活用すれば、業務効率化やコストの削減が見込めます。

しかし、「ICTって何?」「ITとの違いは?」という点に悩んでいる人も多いかもしれません。この記事では、そのような疑問を解消するために、ICTの意味やメリットを実例を交えて解説します。

ICTとは?

ICTとは、一体どのような概念なのでしょうか。まずはICTについて詳しく見ていきましょう。

ICTとは「Information and Communication Technology」の略

ICTは、「Information and Communication Technology」の頭文字をとった略語です。直訳すると「情報とコミュニケーションにおけるテクノロジー」というものになるでしょう。

近年発展を遂げたテクノロジーの一つに、「インターネット」があります。今やインターネットを全く使わずに生活している人は少ないのではないかと思いますが、インターネットは情報を得ることのできる技術であると共に、コミュニケーション領域にも深く浸透しました。

ITとICTの違い

その辺りがITとICTの違いと言えるかもしれません。ITは「Information Technology」の略語であり、主に技術面を重視した言葉です。そのため、ITといえばシステムそのものやコンピューターを連想する人も多いでしょう。

対してICTは、情報技術におけるコミュニケーション性を重視しています。とはいえ、厳密に使い分けられているわけではなく、一概に「ICT」といっても、場合によってはITよりだったり、その逆であることも然りです。

両者を混同しないためにも、文脈からどのような意味で使われているのかをしっかりと読み取りましょう。

国際的にはITよりICTの方が普及している

なお、国際的にはITよりICTの方が普及しています。日本では2000年に通称「IT基本法」が成立したこともあり、ITという言葉の方が一般的でした。

その後、情報技術に対する方針転換などでICTという言葉も公に使われるようになりましたが、日本では未だに「IT」という言葉の方が馴染みが深いかもしれません。しかし、海外ではICTの方が普及しているという事情もあり、国内でもITよりICTという言葉の方が広まりつつあるのが現状です。

もしかしたら、近い将来にはITよりICTの方が浸透するようになるかもしれません。

ICTを活用すると業務はどう変わる?

主にコミュニケーションに重きをおいているICTですが、ICTを業務に活用するとどのような変化があるのでしょうか。次に、業務におけるICT活用のメリットを見ていきたいと思います。

仕事の場所や時間に柔軟性をもたせることができ、効率化に繋がる

業務にICTを導入すれば、毎日出社する必要はなくなるかもしれません。前述の通り、ICTは主にコミュニケーションに重きをおいた技術方針であり、遠く離れたところでも高速で正確な情報伝達を可能にします。

仕事においてコミュニケーションは欠かせない要因ですが、ICTを利用すれば距離が離れた相手とでもコミュニケーションを行うことができます。業務に必要な情報を集約させるのはもちろん、テレビ電話によるリアルタイム会議なども想定されるでしょう。

情報共有が容易になり、ナレッジの蓄積が期待できる

業務にICTを活用すれば情報共有が容易になり、社内にナレッジの蓄積が期待できます。ICTの肝は情報伝達や情報共有のしやすさになるため、インターネットを活用して概ねどこからでも必要な情報を取得できるようになるでしょう。

取得できるだけではなく、情報の書き込みもスマホやタブレットなどから可能となります。結果、出先からでも日報やナレッジを記載することができ、情報の量や質・鮮度の向上が期待できます。

イノベーションに繋がる可能性もある

場合によっては、ICTを活用することでイノベーションに繋がる可能性もあるでしょう。ITやICTを利用したサービスの量は年々拡大しており、次々に新しいものが開発リリースされています。

そのため、探せばいくらでも使い心地のよいもの・便利なものを見つけられるでしょう。使い勝手のよいツールやシステムを使えばその分業務効率を向上させることができ、リソースに空きが生じます。

空いたリソースをどのように活用するかは会社によって異なりますが、イノベーションというのは時間やリソースに余裕があるところから生まれることも多いのではないでしょうか。そうでなくとも、既存のツールと自社の業務を掛け合わせることで、新しい何かが生まれるかもしれません。

ICTにより業務効率化を図った事例

では、最後にICTによって業務効率化を図った事例をいくつかご紹介します。ICTに対する知見を深めるとともに、実例も参考にしましょう。

ICTにより技術を「見える化」し、業務効率化:株式会社IBUKI

株式会社IBUKIは、樹脂形成のための金型設計や製造を行うメーカーです。現在、日本の金型メーカーはグローバル市場におされ、厳しい戦いを余儀なくされています。

同社では、金型の製造にAIやIoTといった技術を活用し、さまざまな面で業務の効率化を図ろうと試みています。たとえば、工具の交換時期をAIによって判断し、コスト削減に繋げようといった動きが挙げられます。

また、ベテラン技術者の判断を元にしたAIのデータごと顧客に販売することにより、顧客サポートの手間を削減する構想もあります。

ICTでフリーアドレス制を導入し、働き方改革を目指す:田中藍株式会社

田中藍株式会社は化学品の専門商社であり、原材料メーカーから化学品を仕入れ加工品メーカーに卸すのが主な事業です。同社ではフリーアドレス制の実現からスタートし、最終的に「どこにいても働ける仕組み」の導入を試みています。

実現すれば職場を省スペース化でき、費用の削減に繋がるでしょう。同社では、そのためにショールームの見学や、フリーアドレスを導入している会社の視察など行い、2018年の秋に北九州支店のフリーアドレス化を実施しました。

ICTによりペーパーレス化。結果コスト減に:丸文株式会社

丸文株式会社は、電子部品やマイクロプロセッサなどを取り扱うエレクトロニクス商社として事業を行っています。同社は保管文書のスキャナ保存用件の緩和により、各書類のペーパーレス化を実施しました。

一気に行うのではなく、できることから少しずつ、現場のワークフローを阻害しないように行ったことで成功に繋がりました。

まとめ

ビジネスにおいて「IT」という言葉はよく耳にしますが、「ICT」はまだ聞き慣れない言葉かもしれません。両者の違いとしては、「一般的な情報技術」と「コミュニケーションのための情報技術」ような形になります。

ICTを活用すれば情報伝達が容易になり、場所や時間に縛られない仕事ができるため業務効率化に繋がります。それによるコスト削減はもちろん、場合によっては新しい働き方などのイノベーションを誘発する可能性もあるでしょう。

海外ではITよりICTの方が一般的に普及しているということもあり、国内でも徐々に浸透してきています。ICTについてしっかりと学び、働き方改革を推進しましょう。