営業職の課題とその原因とは?IT導入で推進できる働き方改革も紹介

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働き方改革は、長時間労働の是正や雇用の多様化などの命題を掲げて推進されていますが、営業職においてはどうでしょうか?営業職は、働き方改革が進みづらい職種といわれています。
その理由は、まずはノルマやインセンティブの存在です。インセンティブを勝ち取るためなら、残業もいとわない営業職は多いでしょう。次に、顧客との商談のうえで契約が取れるという仕事の性質です。契約を締結するためなら、長時間労働もいとわない営業職ももちろん多いはずです。このような状況下で推進される働き方改革とは、いかなるものでしょうか。

営業職における課題やその原因とは

営業職には、ノルマが課され残業が当たり前のきつい仕事というイメージがあるでしょう。会社の売り上げは営業部の頑張りにかかっているわけですが、そんな営業職の仕事の定着率は高くありません。具体的には、どんな内容が営業職を働きにくくさせているのでしょうか。営業職はある意味「使い捨て」に思われているところもありますが、そんな待遇の悪さを改善しないと、仕事定着率は決して高くならないでしょう。

人手不足・高い離職率


出典:エン・ジャパン

上図は、人材採用のエン・ジャパン株式会社が顧客企業を対象におこなったアンケート調査が示す、人材が不足している職種のランキングです。営業、MR、人材コーディネーターなどの営業職が首位で35%を占めます。2位のIT技術系は18%で、ガクンと落ちます。
「人材が不足している部門がある」と回答した企業が答えた人材不足の原因の首位は「退職による欠員」(57%)、次いで「中途採用で人員確保ができなかった」(51%)と続きました。

長時間労働

営業職の離職率の高さの背景には、残業の多さがあります。働き方改革に取り組んでいる会社においても、なかなか残業が減らないといいます。その原因は、
「外出が多く、帰社後の事務処理が多すぎる。」
「社内会議が多すぎる」
「ノルマが多すぎる」
特に営業職に関しては、「働き方改革」で残業を無くしたところでノルマは変わらないため、より営業職の負担が大きくなるといった懸念も聞かれます。仕事の持ち帰りが常態化するなどまだまだ問題がくすぶり、残業の削減のみでは根本解決には至らないようです。

会議・移動時間などが多すぎる

前述のエン・ジャパンの調査によると、営業職は日中の就労時間を本来の業務である「商談」「商談の事前準備」「商談後の顧客フォロー」などに割きたいと思っています。にもかかわらず、営業職は「社内会議」「商談に伴う移動時間」といった営業活動以外の業務に、一日のなかの多くの時間を取られてしまうということも浮き彫りになっています。会議や移動の時間といった負担を効率化して改善できるかが、営業職の労働条件改善につながるものと思われます。

働き方改革に取り組むことで改善できることは?


働き方改革の主眼は労働条件の改善であり、その中には「長時間労働の是正」も含まれています。営業職こそ、正に働き方改革をおこない残業の削減を目指すべき職種だといえます。
政府広報の「中小企業も!働き方改革」には、改善の事例が特集されています。その中にはスキルマップの作成からITツールの導入・活用まで様々な段階の事例があり、参考になります。営業職は、会社の顔として顧客に接するのが仕事ですが、属人的なスキルに頼りやすいため、非効率を招きやすいといえます。

インサイドセールスの導入

インサイドセールスとは、見込み顧客のデータを基に、電話やメールなどのコミュニケーションでおこなう商談前のセールス活動です。ニーズの喚起、情報提供をおこない商談成立の可能性が高まった「Sales Ready」の状態まで持って行きます。実際のクロージングはフィールドセールス担当がおこないます。ノウハウやデータベースが必要ですが、当てがない外回りのスタイルよりずっと効率的です。本場アメリカでは、LinkedInの普及に伴い広まったといわれます。

情報共有化

営業職間の情報共有にも、まだまだ課題が多いようです。前述の通り、日本では営業のスキルは会社に属するというより、個人に属する傾向がありました。顧客に関しても然りです。しかし、ノウハウや顧客情報、営業日報といった情報が全体に共有されるだけで、営業力の全体の底上げがなされるのは明らかです。ノウハウや顧客情報を一元管理し共有すると、営業職を拡充したい時に教育が容易になります。また、見込み客の掘り起しや商品開発のためにデータが活用できます。

営業プロセスの見える化

営業プロセスの見える化はエクセルでも可能ですが、SFAやCRMの利用も増えています。
営業の各段階に、達成すべき目標を掲げます。例えば基本的な項目としては、アポ数や訪問数、受注数などの目標を掲げます。これらを管理することを「行動管理」といいます。対して、ヒアリングから商談フェーズまでの進捗を管理する「案件管理」があります。見える化することによって営業のボトルネックが見えてくるため、より商談成立に結びつきやすくなります。

営業支援ツール導入の成功事例


「インサイドセールス」「情報共有化」「営業プロセスの見える化」など、営業職の取り組むべき働き方改革の施策を3つ紹介しました。これらは、営業支援ツールを導入したり、端末を導入してリモートでの作業を可能にしたりといった改善策で解決できます。以下は、長年の営業職の課題を解決に導いた事例を集めたものです。働き方改革をおこないにくいといわれる営業職の、業務改善の成功事例をご覧ください。

マネジメントサイクルを日次管理に・ナレッジ共有の実現:三島食品

「ゆかり」ふりかけで有名な三島食品株式会社は、SFAを導入したことで、現場で吸い上げたニーズを商品開発やマーケティングに活かしていく仕組みを構築しました。マーケットに接する営業部門が、商品開発の先頭に立つ体制づくりに成功しています。また、マネジメントサイクルを日次に高速化できました。
IT日報から日々の活動や成果、顧客の反応をモニタリングすることでフィードバックもデイリーに行い、PDCAサイクルを早めることが可能になりました。また事例とノウハウの共有によって、営業部門の平均値の底上げができました。

営業ツールにiPad、遠隔管理サービスも導入:神島化学工業株式会社

神島化学工業株式会社は、営業支援ツールとして社員にiPad を支給しました。
カタログなど製品情報に差し替えが生じた際の、回収・廃棄・印刷などの物的コストと、再案内にかかる人的なコストの削減のソリューションを探した末、iPad を営業支援ツールとして活用することにしました。営業職への「教育・サポートコスト」も極端に低く、営業では動画も活用可能。万が一の紛失に備えてデバイスの管理サービスCLOMO MDM を導入しています。

SFA導入で残業が3割減:株式会社ベネフィット・ワン

「営業活動の可視化」「情報共有」「若手営業マンの育成」
株式会社ベネフィット・ワンはこの3つを営業部門の課題にしていました。
営業プロセスを可視化してみると、営業報告や入力作業などの事務作業にかかる時間が長く、しかもオフィスに戻らなければならない手間あることが浮き彫りになりました。そこで、すべての作業を社外でもできるように改善しました。結果的に営業時間の創出に成功し、残業が3割減、受注は3.6倍になりました。さらに社内SNSの活用で情報共有しやすい環境も構築できました。

まとめ

毎月ノルマが与えられ、外回りという業務もある営業職こそ、働き方改革を心待ちにしている職種といえます。しかし、いくら働き方改革関連法が施行され法がしかれても、業務自体が非効率なままでは、本当の意味での改善はなされていないことになります。顧客のニーズをすくい取るのも営業職のミッションの一つなのに、業務で忙殺されて本来の任務が果たせなくては本末転倒です。営業職に願われる役割をしっかり果たしてもらえるように、業務プロセスを見直すことは大事です。