アイデアの出し方は時代と共に変化する。エレクトリックブレインストーミングのすすめ
事業の発案や継続には、斬新なアイデアを得るのもポイントです。この記事では、効果的なアイデアの出し方や、エレクトリックブレインストーミングについて解説します。
効果的なアイデアの出し方
まずは、効果的なアイデアの出し方について考えてみたいと思います。どうすれば、アイデアの効果的な出し方に繋げられるのでしょうか。
ブレインストーミングの非効率性
従来、効果的なアイデアの出し方としてブレインストーミングが提唱されていました。ブレインストーミングとは、あるテーマに基づき決められた人数以下のグループでアイデアを出し合う手法です。
「出たアイデアを否定しない」「質より量を重視する」「決断や判断は行わない」といったルールに基づき行われるのが一般的です。一見すると非常に有用な方法に思えますが、ブレインストーミングの非効率性が研究で明らかになりました。
いくらルールを設けても行うのは人間なため、評価を気にして積極的な発言ははばかられるなどが理由として挙げられます。
個々が熟考し、チームで検証する
ブレインストーミングを行うより、個々が熟考してアイデアを出す方が優れているという説もあります。この場合はブレインストーミングのような思いつきではなく、個人でしっかりと検証したアイデアが評価のテーブルに乗ることになるでしょう。
出されたアイデアを、チーム全体で検証し判断します。個人という主観から生まれたアイデアにチームの客観性を付加し、最終的な形になるわけです。
場合によっては、客観性を付加しない方が好ましいこともあるかもしれません。
エレクトリックブレインストーミングを行う
ブレインストーミングのデメリットを改善したのが、エレクトリックブレインストーミングです。ブレインストーミングは通常メンバーが顔を突き合わせて行いますが、それにより下記のようなデメリットが生じます。
- 発言が特定のメンバーに偏る
- メンバーの時間を合わせ、場所を確保する必要がある
他人の発言を聞くのに集中し、自分が出そうとしたアイデアを忘れてしまう
オンラインで行えるエレクトリックブレインストーミングであれば、そういった悪影響を排除しやすいでしょう。エレクトリックブレインストーミングを行う際は、誰とも顔を合わさず自分のアイデアをコンピューターに入力していく形になるからです。
エレクトリックブレインストーミングのメリット
では次に、エレクトリックブレインストーミングのメリットをご紹介します。
発言が苦手な人も参加できる
エレクトリックブレインストーミングであれば、発言が苦手な人も参加できます。ブレインストーミングのデメリットとして「発言が特定のメンバーに偏る」が挙げられますが、それは発言が得意な人と苦手な人がいるからです。
比較的少人数とはいえ、誰かの前で直接言葉を発するのが苦手という人もいるでしょう。しかし、そういう特性の持ち主が面白いアイデアを出せないかというと、そんなことはありません。
発言が苦手な人でも、気兼ねなくアイデアを出せるのがエレクトリックブレインストーミングの利点です。一説には、エレクトリックブレインストーミングはブレインストーミングの二倍のアイデアが出るとも言われています。
必ずしも同じ場所に集まらなくていい
エレクトリックブレインストーミングは原則オンラインで行われるため、メンバーが同じ場所に集まる必要はありません。時間を決めてコンピュターに向かって自分のアイデアを打ち込み、ツールから流れてくる他人のアイデアを見ながらまた新しいアイデアを出す形になります。
相互効果を狙うなら時間は合わせる必要がありますが、場所は自由です。エレクトリックブレインストーミング用のツールにアクセスできるのであれば、場所も環境も制限する必要はありません。
個々がベストと感じる場所から参加することで、効率的なアイデア出しに寄与します。
記録が残る
エレクトリックブレインストーミングはチャットツールなどを介して行うため、記録が残るのもメリットです。通常のブレインストーミングでも発言を録音したり記述したりすることで記録を残せますが、どうしても一手間を加える必要があります。
エレクトリックブレインストーミングの場合、アイデア出しの作業がそのままレコーディングされる形になります。参加メンバーも非参加メンバーも後から見返すことができますし、適切なレイアウトを施して共有ドキュメントを作成することも可能です。
アイデアを後から検証したい場合、精緻な記録が残っているか否かで差が出るのではないでしょうか。
エレクトリックブレインストーミングを効率的に行うには
続いて、エレクトリックブレインストーミングを効率的に行うポイントをご紹介します。自社に合ったやり方を模索する形で問題ないのですが、迷う場合は下記を参考にして下さい。
なるべく他の参加者と顔を合わせないようにする
エレクトリックブレインストーミングの利点を得るためには、参加者同士が顔を合わせないようにすることが大事です。顔を合わせてしまうと通常のブレインストーミングと大差なくなってしまい、ブレインストーミングのデメリットがそのまま生じることになります。
リアルタイム性や匿名性のバランスをとる
エレクトリックブレインストーミングを行う際は、匿名かつリアルタイムが原則です。参加メンバーが匿名かつリアルタイムにアイデアを出し合うことで、ブレインストーミングを凌ぐ効率的なアイデア出しが可能になるからです。
ただ、場合によってはリアルタイムでの開催が難しかったり、匿名による問題が生じるかもしれません。その場合は総合的な見地からバランスを取り、効率を阻害しない程度に問題を改善する必要があります。
一例として、匿名であるが故の無責任さが生じる場合などが挙げられます。管理されたネットワーク内で行っている以上完全に匿名ではありませんが、人によっては匿名である認識から問題発言を行ってしまうかもしれません。その場合は、匿名性をある程度制限する必要があるでしょう。
また、リアルタイムに行うことで参加メンバーが著しく減少してしまうのであれば、別の方法を考えるべきでしょう。その場合、期限を区切って各々がアイデア出しをできる共有ドキュメントなどを設けるのも手です。
リアルタイムにアイデアを交換するわけではありませんが、エレクトリックブレインストーミングの利点をある程度得られるでしょう。
適切なツールを使う
適切なツールを使うことで、エレクトリックブレインストーミングを効率化できます。エレクトリックブレインストーミングに向いているツールとしては、下記のようなものが挙げられます。
- ドキュメント共有ツール
- チャットツール
- グループウェア
いずれも、クラウドで運用されていることが望ましいでしょう。クラウドで運用されていればインターネットを通してどこからでもアクセス可能ですし、共有も容易です。
たとえばType.mdを使えば、GoogleドライブでMarkdownを利用してエレクトリックブレインストーミングを行えます。インストール不要でブラウザから利用でき、料金は無料です。
クラウドサービスには導入コストが低いものも多いため、気軽に試せるのもメリットです。
まとめ
エレクトリックブレインストーミングを行うことで、従来のブレインストーミングより多くのアイデアを得ることが期待できます。適切なツールを活用し、自社に合ったアイデアの出し方を模索しましょう。