チームワークの正しい定義とその実践法とは。IT導入で飛躍するチーム力

業務効率化

あなたは会社で、チームで仕事に取り組んでいますか。チームワークは大切なものだと誰もが漠然と感じていると思われますが、なぜチームワークは大切なのでしょうか。そして、チームワークを実践するにはどうすれば良いのでしょうか。この問題は、メンバーもさることながら、チームリーダーであればしっかりと理解する必要があります。

この記事では、チームワークの定義やその実践方法を、ITを導入したチームワークの成功事例を交えて紹介していきます。

グループとチームは違う

個人の集まりというと、「グループ」も「チーム」も同意語ではないかという疑問が生じます。しかし、そこには関係性の違いがあります。グループは、メンバー個々人の成果を高めることにベクトルが置かれています。

チームとは、全てのメンバーが共同体となり、皆が一つの目的に向かって活動することで更なる効果を生み出すことが可能な存在のことです。例えば浅田真央選手の現役時代、スポンサーの森永製菓は、浅田選手の勝利のために各専門家を集め「チーム真央」を結成しました。

グループの定義とは

グループとは、それぞれのメンバーが自分の持つ能力を全力で発揮し、それらを集めて成果にする団体のことです。単なる“団体”のことともいえます。「グループ旅行」とはいっても「チーム旅行」とはいいません。「グループサウンズ」にしても然りです。組織行動学では、この二者は明確に区別されています。両者は混同されやすいですが、全く別のものとして扱われています。

チームの定義とは

これまでに申し上げた通り、チームとはただの集まりを超えた存在です。チームのすごいところは、メンバー一人一人の持つスキルや経験を持ち寄ることで、個人ではとうてい解決できないミッションをクリアするだけの力を持つ集まりになり得ることです。チームは一つの目的を達成するために結成された個人の集まりですが、相互作用しあって最良の結果を導き出してこそチームと呼べるのです。

チームの持つ相互作用の力

日本最大手のチャットサービス・LINEのビジネス版「LINE WORKS」公式ホームページで、分かりやすいチームワークの定義を見つけました。

10の仕事を3人でやるとしたら、 3+3+4 に分解して進める。

これは、単なる「タスクの分解」であって、チームワークとは言えません。3人で10の仕事をする過程で、さまざまな相互作用(シナジー)が生まれ、12の仕事が達成できる(高いパフォーマンスが出せる)。こうなっていれば、チームワークが発揮できている、と言えます。
LINE WORKS

チームの持つ強みを実践で活かすには


このように、チームのすごいところは10人しかメンバーがいなくても、シナジー効果で結果的に12の仕事が達成できてしまうところだといえます。このようにチームメンバーは常にインターアクト(相互作用)しながら共同作業をおこなうわけですが、そこで重要性を持つのが「情報共有」です。

情報はまるで血液中の酸素のように、チーム内を循環して彼らのオペレーションを支えます。 KPIを設定して進捗状況を確認したり、SOSを出したり、改善提案をおこなったりと、情報共有はチームに最善のオペレーションをおこなう環境を与えます。

責任の所在を明確化

このような、チームの持つ素晴らしい可能性を最大限に引き出すためには、いくつかの秘訣があります。まずは「責任の所在を明確化」することです。チームリーダーを選出し、問題が発生した時の責任はどうするのかを事前に話し合いましょう。

そして、チームリーダーやチームメンバーに、どこまでの決定権を与えるのかも話し合いましょう。 メンバーの決定権が大きい方が、彼らは積極的で効率的な活動をおこなえるので、良いはずです。

相互に学習しあう環境

チームメンバーがインターアクト(相互作用)しあうのがチームワークの醍醐味ですが、ここに「学習型組織」という概念があてはまると、より上手くいきます。
学習型組織とは、メンバーがお互いに刺激しあいながら主体的に学習する組織のことです。相互作用しながら変化をし続け、既存のカルチャーや経営戦略にとらわれず、自分たちで新しいやり方を持続的に生み出し続ける組織のことをいいます。このような習慣性のうえにチームワークを発揮できれば、常にベストパフォーマンスを導き出せます。

チームワークと馴れ合いは違う

注意すべきなのが、チームワークを「馴れ合い」と混同することです。馴れ合いとは、「本来取るべき手順を踏まず、暗黙の了解のもとに意思決定をおこなうこと」を指しますが、これはチームワークのメリットを阻害します。チーム内で必要以上に近しい距離感で接することは、一見フレンドリーで結束力が強いように見えますが、メンバー間の対等な関係を保てなくなり、バランスが崩れてしまうのです。

馴れ合いは意見交換の質も落とします。リーダーは、チーム内で馴れ合いが生じている場合は指摘し、チームワークの考え方を改めさせる必要があります。

チームワークで成功するためのツールとは


これまで、チームの持ちうる可能性を最大限に発揮するために必要なマインドについて、解説してまいりました。その土台のうえで効果的なITツールが導入されたら、どんなに成果を出す集団になるでしょうか。

KPIやSFAは既に導入されているかも知れませんが、それでノルマに振り回されて委縮してしまっては本末転倒だといえます。便利なITツールは、チームでミッションに取り組むマインドやモチベーションが整えられた土台でこそ、その価値を最大限に発揮するといえるでしょう。

KPIで目標の明確化:ヤフー株式会社

KPI(重要業績評価指数)は、目標の達成度や進捗度を表す指標です。KPIはメンバーに「いま何を行うべきなのかを明確にしてくれるツール」とも呼ぶことができます。

ヤフー株式会社は、KPIとKGI(重要目標達成指標)をWebサイト構築の指標に活用して、活動半年で投資対効果2倍化を達成しました。具体的には、毎月20のCV(コンバージョン)実現のために「PV(ページビュー)を120%にする」「CVR(コンバージョン率)を115%にする」という2つのKPIを設定しました。

チャットツールで情報共有:東京メトロ

東京メトロの課題は、拠点が複数広範囲に分散するため、効率的なコミュニケーションが取れないことでした。メンテナンスなどの技術拠点は300以上になり、電話、メールだけではコミュニケーションが成り立たない状況だったため、2007年にSkype for Businessを導入しました。

Skypeは、不在時にはメッセージが送れるうえ在席状況も自動表示されるため、相手の状況にあわせて適切なツールを選択可能です。導入後は、管理の工数を大幅に低減できました。

営業支援ツールで実行力アップ:株式会社アぺルザ

株式会社アペルザは、製造業における「売り手」と「買い手」のマッチングを支援する『Aperza Catalog』を運営していますが、その営業活動支援のためにSFAを採用しました。営業の仕事の入力には頻繁なカスタマイズの必要性が発生し、いつも社内SEに依頼していましたが、システムが業務に追いつかなくなり人力・アナログ化に逆行しました。ライセンス費用も重荷でした。

そこで、SFAも自作できるKintoneを導入。自分たちで設定を柔軟に変更でき、そのうえ安価、いつでも自分たちで選んだアプリを実装できる点も有り難いそうです。Kintoneは年間でも数十万円のコストで済んでおり、大幅なコストダウンを実現しました。

まとめ

チームのもたらすメリットや、必要なマインドについてまとめてまいりました。また、指標を用いたりITツールを導入したりすることで、よりチームを活性化できることが分かりました。

個々のメンバーの持つ能力の、合算値以上の力を発揮できるチームワーク。本来こんな力を発揮するものなのかと驚いた方もいるのではないでしょうか。チームワークを築くことのできる組織になれたら、大きな成功を収めることができるでしょう。