エクセルで在庫管理を行うメリットとデメリット、業務システムとの違いについて解説

業務効率化

エクセルで在庫管理を行えば、業務効率化に繋がります。この記事では、エクセルで在庫管理を行うメリットとデメリット、そして業務システムとの違いについて解説します。

エクセルで在庫管理を行うメリット

エクセルで在庫管理を行うことで、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。まずは、エクセルのメリットについて解説します。

ファイル(情報)の共有が容易

エクセルで作ったブックは一般的なファイルと同じ形で扱えるため、複製や受け渡しが容易です。そのため、エクセルで在庫管理を行うことにより情報共有の面で大きなメリットがあります。

エクセルファイルをUSBメモリなどのストレージに入れて受け渡しをする、あるいは社内のサーバー上に置いて好きな時に見られるようにする、などが考えられます。どのような共有方法を選択するかは、業務の都合や共有する人数によって柔軟に決めるとよいでしょう。

共有が容易であり、かつ共有方法の選択肢が広いことがメリットの一つとして挙げられます。

定型処理を自動化できる

エクセルで在庫管理を行えば、定型処理を自動化することで業務効率化に繋げられます。エクセルでは「セル」と呼ばれるマス目にさまざまな値や数式、関数などを入力し表を作成します。

数式をうまく活用すれば、セルとセルの和や差などが自動的に計算され指定されたセルに入力されます。また、関数を使えばより複雑な計算、たとえば特定範囲の合計値や平均値といった値を指定セルに自動入力することが可能です。

それらを上手に活用することで、従来手作業で行っていた処理を自動化でき、大幅な効率化に繋げられるでしょう。

既にエクセルを業務活用している場合、新しく何かを買い足す必要がない

既にエクセルを業務活用している企業も多いのではないかと思います。その場合、エクセルで在庫管理を行う際に何かを追加で購入する必要はありません。

エクセルというソフトは非常に汎用性が高いため、在庫管理はもちろんのこと進捗管理や勤怠管理など他の業務にも活用できます。極端な話、エクセルさえ導入していればおおよその管理業務はこなせるといっても過言ではありません。

また、既に使い慣れているツールを活用することで、学習や浸透といった導入コストの逓減にも繋がります。物理的な導入コストを低めることで、現場の適応も容易になるのではないでしょうか。

エクセルで在庫管理を行うデメリット

対して、エクセルで在庫管理を行うデメリットは下記の通りです。

専用デザインの難しさ

エクセルでもシートのデザインは可能なのですが、専用のソフトなどと比べると限界があります。エクセルの長所として汎用性の高さが挙げられますが、汎用性が高いために特定分野への突出力は劣ります。

慣れてしまえば大きな問題はないかもしれませんが、初めて管理シートを使う人は少々戸惑ってしまう可能性があります。また、シートのデザインも製作者が行う場合が多いため、デザインもでき処理も作成できる人材が必要となるかもしれません。

独自フォーマットを作成し管理する必要がある

エクセルを業務活用する場合、一般的に業務に合わせた独自フォーマットを作成して行うことになります。前述の通りエクセルは非常に汎用性かつ自由度の高いソフトウェアですが、それだけに業務に合わせてカスタマイズしないと本来の性能を発揮できません。

どこにデータを入力し、それをどのように扱うのか、などを各セルに入力していきます。また、複数人で共有する場合は見やすいレイアウトやデザインも考える必要があるでしょう。

合わせて、作成した独自フォーマットを適切に管理する必要も生じます。製作者が社内にいなくてもエクセルを使って業務を回さなくてはならないこともあるため、マニュアルを用意しておくのがベターです。

その場合、マニュアルを作成する手間がかかるという点もデメリットになります。

バックアップを手動で行う必要がある

エクセルで作成したブックは一般的なファイルと同じ扱いになるため、原則的にバックアップを手動で行う必要があります。同期設定を行っておけばいちいちファイルをコピーする必要はありませんが、置き場所や名称などに変更が生じた場合はアップデートが必要になります。

また、バックアップがちゃんととれているかどうかを定期的に確認する必要も生じるでしょう。同期処理上は問題なくとも、実は完全なバックアップがとれていなかったというケースもありえます。

データのバックアップをとらないのはご法度ですが、ファイルベースでバックアップを行わなければならないことがエクセルのデメリットとして挙げられます。

在庫管理をより効率化するめにはシステムの活用が鍵

在庫管理をより効率化するためには、業務システムの活用が鍵となります。エクセルでの管理とシステムを活用した管理は、どのような点が異なるのでしょうか。

エクセルと在庫管理システムの違い

まずは、エクセルと在庫管理システムの違いについて解説します。

汎用性の高さ

一つ目の違いとして挙げられるのは、汎用性の高さです。先ほどから何度か述べていますが、エクセルは自由度が高く機能も豊富なため、在庫管理に限らない汎用的な活用が可能です。

一方、業務システムはそれほど汎用性が高くありません。在庫管理のためのシステムであれば基本的に在庫管理にしか使えないと考えた方がよいでしょう。

一見するとエクセルに軍配が上がりそうな特性ですが、業務システムは汎用性が低い分専門分野に特化しているという強みがあります。

デザインや使い勝手

もう一つの違いとしては、デザインや使い勝手などが挙げられます。エクセルはある程度自由にシートをデザインできるものの、エクセルのベーシックなレイアウトから外れることは難しいです。

一方、業務システムはゼロベースで設計されているため、デザインや使い勝手が製品によって大きく異なります。自社に合ったものを見つけることができれば、現場への浸透がスムーズになるでしょう。

エクセルとシステムはどちらを使うべき?

以上を踏まえ、エクセルと業務システムはどちらを使った方がよいのでしょうか?最後に、選択の決め手となる価値観について解説します。

ケースバイケースだが、システムの方がより効率化が見込める

どちらを選ぶかは業務との相性などケースバイケースになりますが、原則的には専門的な業務システムを導入した方が高い効率化が見込めます。エクセル管理で十分な現場もあるでしょうが、エクセルがただデータを入力して管理するのに対し、業務システムはその先の統計や分析まで踏み込むものも多いでしょう。

エクセルでもやろうと思えば可能ですが、フォーマット作成や分析手法の定着に大きな手間がかかってしまいます。また、業務システムは市場環境に合わせたアップデートをベンダーを行ってくれるのも利点です。

自社との相性を考えてツールを決定しよう

ツールやシステムは導入して終わりではなく、活用して結果が出て初めて意味をなすものです。そのため、一番大事なのは「自社業務との相性」になるでしょう。

一般的には業務システムを導入した方が効率化を見込みやすいですが、業務システムはその分高額になりやすい面があります。エクセルで十分な業務をわざわざ効果なシステムに置き換える必要はありませんので、必ずしもエクセルが悪いというわけではありません。

しかし、前述の通り業務システムによって受けられる恩恵は単なる「管理」を超えたものになるのも事実です。自社がシステムやツールにどこまで何を求めるのか、といった部分を明確にし正しい判断を行いましょう。

まとめ

エクセルで在庫管理を行うメリットとデメリットについて解説しました。エクセルの管理に限界を感じた場合は業務システム導入を検討することで、一層の効率化が見込めます。