組織営業で勝ち抜くために必要なものは?システム導入のメリットも紹介
会社の営業力を向上させるために、有効な方法とは何でしょうか。近年、この質問に対する答えとして「組織営業」という言葉がよく聞かれます。しかし、それは単に大人数化すれば良いということではありません。組織営業の目的は、ノウハウや顧客データを共有することで、有能な営業人員を数倍化したり、営業プロセスを分業化してより効率化することです。
この記事では、データの一元化・共有化などの組織営業の実現に必要なものと、組織営業におけるシステムの導入の役割についてまとめていきます。
組織営業とは
近年良く聞かれる「組織営業」とは、どういう意味なのか調べてみました。
組織営業とは組織横断的な情報・ノウハウの共有化を進めながら、全社的な取り組みで受注に結びつける活動の事である。
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このように組織営業とは、組織を挙げて営業力を強化し「売れる仕組み」をつくることです。営業というと営業人員の個人的な力量に頼る印象がありますが、そうではなく組織を挙げて営業をサポートするスタイルが組織営業です。
組織力とは
組織力とは、端的にいえば仕組み力のことです。もし、天才的な営業能力を持たない営業人員が担当してもコンスタントに営業実績を上げているなら、組織力があるといって良いでしょう。その場合、おそらく営業業務の分業がおこなわれ営業をサポートする体制が作られているはずです。
中小企業に多いケースですが、社長が1人で受注を取って会社を存続させているような場合もあります。しかしこれでは長続きしません。社長がリタイアしたら会社は終わってしまいます。
営業力とは
営業力とは何でしょうか。それは「いつでもどんな状況でも、営業目標を達成していける能力」ということができるでしょう。営業力とは、古くは個人の能力、采配によるものでした。しかし今は、旧態依然のやり方では大きな目標は達成できなくなりました。なぜなら、属人的な営業スタイルしか持たない会社は、業績のアップに伴い営業部を増員して規模拡大を図りたい時も、簡単に営業人員を採用できないからです。属人的な営業をおこなう会社は、営業教育にも汎用性がなく実践的でないので、良い人材を絶えず育てていくことが出来ません。
組織的営業力アップとは
組織営業力とは、端的にいえば「組織的に営業実績を上げる仕組みがある」ということです。有能な営業担当はどの会社からも求めてられていますが、そんな人材をヘッドハンティングといった採用手段によらず、社内で育成していければ理想的です。有能な営業担当はマインドのみならず、顧客のポテンシャルをかぎ分ける嗅覚やクロージングテクニックなど、優れたノウハウを持っています。従来は属人的に所有されてきたこれらのノウハウを、データ化し共有化することが、組織的営業力のアップには不可欠です。
組織営業成功の鍵とは
SFA(セールスフォース・オートメーション)という言葉を聞いたことはありますか。
SFA(セールスフォース・オートメーション)とは、IT技術を用いて営業部隊の生産性向上、効率化を進めること。またそれを実現するための情報システムを指す。
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SFAの目的は、営業活動の効率化、営業プロセスの把握(見える化)、顧客管理の一元化、情報共有などです。ITシステムの導入が不可欠となりますが、下記のようなメリットを享受してくれます。
営業活動を見える化
従来の営業スタイルには属人的なものが多くありました。いくら敏腕な営業担当がいても、顧客情報や営業日報、営業マニュアルなどが全くオープンにされずに個人的な営業ノウハウにされていることも多かったのです。それでは営業補佐も後任の教育も難しくなります。営業の「見える化」のメリットには次のようなものがあります。
- 営業情報を共有化でき会議や資料作成の手間を減らせる
- データ化で成功事例・問題点が明らかになるため、後に分析しやすい
- 営業の標準化と最適化の促進
伝達効率を高める
グループウェアの使用も営業活動を大きくサポートしてくれます。例えば、営業マネージャーが部下の報告を受けやすく指示も送りやすくなったり、リアルタイムで状況報告が全体に共有されたりといったメリットが得られます。
従来の営業活動は、受注を営業が会社に持ち帰り営業アシスタントに入力させる、といった手順だったので二度手間でした。しかし、モバイル端末で客先受注ができれば、様々な確認作業も入力しながらおこなえるのでミスが減り、その場で入力が完結します。SFAは、このような効率化ももたらします。
情報の共有
前述の通り、営業ノウハウは個人的に管理され、紙ベースやパソコン内のデータとしてひっそり収められていることが多かったのです。これでは、本来企業の資産であるべき営業ノウハウや顧客情報が、会社全体で十分に活用されません。当然組織営業もおこなえません。
これらの情報は企業の資産なので、SFAの機能で一元管理して共有します。具体的には顧客や受注データベース、進捗管理などをシステム上で共有するのです。まさに、情報を制して営業を制するためといえます。
システム導入のメリット
組織営業を実現させるためには、システムの導入が有効であることを説明して参りました。あなたの周りにも、SFAなど何らかの「営業支援ツール」の活用を始めた会社があるかもしれません。しかし営業に限らず、効率化のためにシステムを導入する場合は、まず自社の業務プロセスを分析し改善点を洗い出す必要があります。会社における営業のボトルネックであることが多いのは「情報の共有・一元化」ですが、これらはシステムが解決してくれます。従来の営業の良い点も残しつつ、システムを活用していく方法を考えてみましょう。
インサイドセールスを可能に
「インサイドセールス」という言葉を聞いたことはありますか?インサイドセールスは、LinkedInなどのビジネスSNSの発展が背景にあるアメリカ発祥の営業方法で、電話やメール、Web会議といった非対面の手段で商談の機会を図ることです。この対義語であるフィールドセールスやアウトサイドセールスは、「外勤営業」という意味になります。外勤営業は、顧客のポテンシャルや商談成立の可能性のあてがない営業活動であることが多く、非効率的といえました。
営業プロセスの分業化
営業支援システムの導入により、営業活動を分業化でき、より効率化できます。
インサイドセールスが可能になると、フィールドセールスの仕事内容が変わり、顧客に出向くときにはほぼクロージングできている場合も多くなります。これまでの営業ノウハウがオープンにされ、情報蓄積をベースにAIがネット上の情報から顧客分析をおこない顧客の見込みを洗い出すことも可能になり、効率的な営業活動が可能になります。データ化によって、営業規模の拡大や後任の教育も格段にやり易くなります。
マーケティングとの効果的な連携
「顔を合わせて営業をしないと、関係がうすくなってしまうのではないか」という声もありますが、そこはITツールを活用して乗り超えていけます。Web会議を導入すればよりアポも取りやすくなりますし、チャットなら交渉履歴が残せるメリットもあります。
また、システム導入はマーケティングも効率化します。営業情報は貴重な分析データとなり、リスティング広告(検索キーワードに応じて上位に出る広告)も高い精度でおこなえるようになります。
まとめ
営業というと「足で歩いて取る」という勤勉な外勤スタイルがイメージとして浮かびますが、それは過去のものとなりつつあります。いまや営業ノウハウは、会社の財産として全体にシェアされるのが一般化しつつあり、このことは組織でなければ営業で勝てないことを立証しているといえます。システム導入は、契約締結の前段階であるインサイドセールでも、マーケティングの段階でも効力を発揮します。質の良い情報共有が可能になれば、実績は何倍にも伸ばすことができるでしょう。