中小企業向けIT補助金には何がある?補助内容や活用のメリットも紹介

システム開発

中小企業を対象としたIT化の補助金・助成金を、あなたはいくつご存知ですか?
働き方改革に対応するには「労働生産性の向上」を図ることが重要です。それにはITの利活用が効果的だといわれていますが、「コストが負担できない」「ITを使いこなせない」などとIT導入に不安を抱く企業が多いのが実情です。この記事では、このコスト面の不安をサポートしてくれる補助金について解説します。現在、中小企業・小規模事業者のIT化推進のための補助金には「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「持続化補助金」があります。

ものづくり補助金

中小企業庁ホームページによると「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の目的は、中小企業・小規模事業者等が認定支援機関と連携して、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善をおこなうための設備投資等を支援することです。
上図でお分かりのように、助成対象となる企業のIT化取り組みレベルは「事業スケールアップのため”革新的な”投資が必要な企業」で、最高ランクに位置しています。

詳細

補助額 100万~1,000万円
補助率 最大2/3
補助対象経費 新製品開発のための製造機器購入やシステム構築費

革新的サービスや試作品開発のため、または生産性プロセスの改善をおこなうために、開発を伴うITツールの導入に活用できます。平成30年度は、初の試みとしてクラウドファンディングでの支援金獲得額が加点対象となりました。購入型クラウドファンディングなどで「一定規模以上」の支援金額を集めた場合に、加点されます。

活用のメリット

IT化に限定しての募集はおこなっていませんが、工作機械の導入以外にも生産性向上に資するIT化計画に活用できます。業務改善にITが含まれている場合、活用できるのです。IT専門家に対する謝金などの経費にも活用できます。IT やロボット等の導入支援など生産性向上のために現場改善指導をおこなう専門家の支援チーム「スマートものづくり応援隊」に相談することもできます。
補助対象外の経費としてはIT以外にも汎用性が高い機器の導入や、ソフト開発等の自社の人件費があります。注意しましょう。

成果事例

一例目は、株式会社高橋ふとん店の「スパインフィッターNEO」導入支援です。「寝心地」を計測できるセンサーを活用し、数値に基づく提案型営業を可能にして売上・利益の拡大を目指しました。
二例目はマルコメ株式会社の味噌製造における、IoT監視・制御とAIエキスパートシステムの構築です。従来は職人の経験と勘に頼っていたみそ製造にIoTとAIを活用し、生産性向上と熟練社員の技術とノウハウを形式知化しました。全世界への安定的な製品の拡販を見据えた取り組みです。

IT導入補助金


出典:ミラサボ

IT導入補助金の目的は、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入するための経費を一部補助することです。それにより業務効率化・売上アップのサポートを目的としています。平成28年度補正事業からスタートした本補助金は、制度内容や支援対象となるITツールの変遷はあったものの、平成28年度補正事業では1.4万者、平成29年度補正事業では6.3万者を支援してきた実績があります。

詳細

補助対象者のIT化取り組みレベルは「簡易な電子ツール(HP、会計、決済)が既に導入されている」です。

補助対象者 中小企業・小規模事業者等
(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)
補助対象経費 ソフトウエア費、導入関連費等
本サイトにて公開予定のITツールが補助金の対象です。
補助金の上限額・下限額・補助率 A類型    40万~150万円未満
B類型    150万~450万円
補助率 1/2以下

※補助対象者についての詳細は、IT導入補助金 事業概要をご確認ください。

活用のメリット

上図でお分かりのように、IT導入補助金は、市販のパッケージソフトを組み合わせることで企業の継続的な生産性向上の実現を目指します。
補助対象となるITツールは「機能」ではなく「業務工程=プロセス」から選択できるようになりました。補助事業者の業務の実態をベースに選択するため、業務工程改善に適切なITツールが選択しやすくなったといえます。
プロセスには「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」「調達・供給・在庫・物流」があります。

申請前の確認事項

IT導入補助金2019の申請にあたっては、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」か「★★二つ星」の宣言が、申請要件となります。必ず事前に宣言するようにしましょう。
医療法人、社会福祉法人、学校法人、特定非営利活動法人(NPO)、一般社団法人も申請が可能です。中小企業・小規模事業者の定義外でも生産性向上に取り組む組織・団体であれば、公募要領で昨年申請を受け付けた組織形態を確認のうえ、可能なら是非申請しましょう。
また「おもてなし規格認証2019」の取得や、導入したいITツールがクラウドツールである場合は加点対象になります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、まだIT化されていない小規模事業者のみが対象です。ホームページの開設や外国人対応などの販売促進をおこない、新しいお客を呼び込みたい小規模事業者を支援するのが目的です。
小規模事業者とは、従業員20人以下、商業(卸売業・小売業)・サービス業は5人以下の事業者を指します。中小企業は補助対象となりませんので注意が必要です。なお、小規模事業者は「IT導入補助金」「ものづくり補助金」へも申請可能です。

詳細

販路開拓、新規顧客獲得のためのホームページ開設のほか、翻訳ツール、POSレジなど簡易的ITツール導入のために活用できます。

対象者 商工会議所地区で事業を営む小規模事業者
補助率 補助対象経費の3分の2以内
補助額 原則50万円
※共同申請可(補助上限額×事業者数)

持続化補助金の原則は50万円までですが、以下2つに該当する場合は、補助金額が100万円に引き上げられます。

  • 市区町村による特定創業支援等事業
  • 買い物弱者への対策に取組む事業

活用のメリット

「小規模事業者持続化補助金」の目的は平成25年度補正予算から変わらず、事業者の「販路開拓」です。お店や商品、サービスを、顧客に認知してもらうための取り組みを支援しています。
IT化が進み販路開拓の手段が多様化しています。近隣へのチラシ配布のみならず、ウェブ検索、ネットクーポン、カーナビや地図サービスに位置情報を連動させるなどの選択肢から、事業者が最適な手段を選択できるようサポートします。

成果事例

カバン製造・小売業の株式会社カワニシカバンは、カスタマイズを中心としたホームページリニューアルによる新規顧客獲得のために本補助金を利用しました。カスタマイズバッグ製作の告知をホームページリニューアルとワークショップ開催でおこなった結果、売り上げは前年比 207%アップを達成しました。
小和楽器製造株式会社は、家族5人で手づくりハーモニカを製造しています。カメラとスクリーンで職人の「きめ細やかな技」を見せる仕組みを導入すると、マスコミの取材が増加し、売上と会社の知名度が向上しました。

まとめ

補助金とひとくちにいっても、様々な規模の補助金が存在します。
補助金の額にも大きく差がありますし、審査の内容も違います。あなたの会社が該当するものがあるか、前述のミラサポなどで良く調べてみましょう。
小規模事業者持続化補助金に関しては、今回から創業者も利用しやくなりました。今回の公募要領に「開業したばかりの事業者が行う、集客・店舗認知度向上のためのオープンイベント等」という用途が追記されたからです。該当するなら是非、申請してみましょう。